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2017年3月3日、消費者庁が水素水の販売業者3社に、措置命令を出しました。

水素が入っているとする「水素水」や「水素サプリ」について、合理的な裏付けがないのにダイエット効果などを宣伝していたのは景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は3日、通信販売会社3社に対し、再発防止策などを求める措置命令を出した。
数年前からブームになっている水素水について、消費者庁が同法で処分をするのは初めて。(引用元:『水素水商品の広告「根拠なし」 消費者庁、3社を処分』/朝日新聞デジタル

措置命令とは、『不当景品類及び不当表示防止法』という、一般的には『景品表示法』と呼ばれる法律に違反し、商品に過大な『景品』を付けたり、品質が実際よりも優良であるような『表示』をしたりといった、『不当』な方法で消費者を騙した業者に、その行為の撤回や再発防止を命じる行政処分のことです。

2016年12月15日、国民生活センターは消費者庁および厚生労働省に、水素水に関してウソの効果に対する表示改善を要望しました。

これを機に、水素水には健康になる効果は一切なく、『ただの水』であることが周知の事実になりました。この話は、こちら『水素水に美肌効果はあるのか?』でお話ししました。

しかし、その後も、広告内容を是正することなく、以下のような虚偽の内容を宣伝していたとして、「マハロ」「メロディアンハーモニーファイン」「千代田薬品工業」の3社に措置命令が下りました。

●問題となった宣伝内容
「水素水を飲んで1年で25キロやせた」
「炎症を抑える効果で肩こりが軽減」 など。

もちろん『ただの水』である水素水に、このような効果はありません。水素水の効果は、あくまで水分補給の効果です。

今となっては、ただの水をあたかもダイエット効果や美容効果、健康増進効果があると偽ることは、自らの信頼度を著しく落とす行為です。 インターネットがここまで普及しているために、こういった行為は永遠に残ることになります。

水素水がただの水とバレたのにウソをついてまで売り続ける理由

なぜ、こんなリスクを犯してまで、ウソをつくのでしょうか?

水素水が『ただの水』だと判明したときに、大量の在庫を抱えていたためか? 水素水が『ただの水』だということを知らない人がたくさんいて、売れるからか?

たぶん、この両方でしょう。 水素水が『ただの水』だとバレた時点で、水素水の価値は『ただの水』となり、その価値は無くなりました。今更、あなたも、水素水に高い金額は支払わないですよね。

こうなると最も困ったのは、水素水を作っているメーカー&在庫を抱えている小売業者でしょう。もはや誰も『ただの水』である水素水を買いませんし、販売しようとは思いません。

だから、どこの企業も消費者も買ってくれません。おそらくこの時期に水素水の仕入れ値は暴落したはずです。こうなると、在庫を抱えている企業は2種類に分かれます。

一つは、ウソの広告を訂正する企業。この場合は、売れる量はぐんと減って、いずれ賞味期限が来ることで損害を被ることになります。でも、これは仕方がないですよね。価値のない商品を販売した自分たちの責任です。ただ、この方法は損害を被るために、それ以上の程度余裕がないとできません。

では、余裕のない、モラルもない企業はどうするのか? それがもう一つの企業です。それは、そのままウソをついて販売することです。措置命令を受けた3社もこのパターンだと思います。

では、ウソをつき続けたのは、この3社だけなのか?
もちろん違います。

ドラッグストアに行けば、水素水のPOPには、ウソ効果が書かれています。水素水を販売しているサイトを見れば、明らかに消費者の誤解を狙ったギリギリの広告文が書かれています。小さな小さな文字で販売サイトの分かりにくい場所に、『※水素水は水です』と表記されています。

こういった販売法は、例え行政処分を受けなくても、消費者からすれば、ウソをつかれているのと同等であり、そういった企業を信頼することはできないのではないでしょうか。ちなみに、私は水素水を販売しているところからモノを買うことはありません。 あなたも同じではないですか?

ウソをついてまで商品を販売することは、許される行為ではありません。 ただ、残念ですが、自社の利益を優先する企業が無くなることはないでしょう。 会社が損害を受けるぐらいなら、潰れるぐらいなら、一か八かウソをついてでも売り切ってしまおうと考えてしまうのです。

ウソつき企業がなくならない理由

むしろ、こういった状況を好機ととらえる企業もあります。 在庫を抱えて困っている水素水メーカーから、ただ同然で水素水を買い叩いて、ウソをついて、真実を知らない人に高額で販売する。 これをバレるまで、措置命令が下るまでやり続ける。

水素水の価値が下がって、ただ同然で仕入れられること。 水素水のウソがばれて、ライバルが減ったこと。 ある意味、今の業況は一部の企業にとってはチャンスなのです。

行政処分が下れば、会社を処分して、再度、新しい会社を作って同じことを続ける。 会社なんて1円で作れますしね。 こういった手法は、残念ですが化粧品業界でもあります。実際にそうする会社を、私は見てきました。

そのため、いくら行政処分が厳しくなっても、ウソつき企業を根絶することはできないでしょう。 本当に残念なことですが、多くの犯罪行為がそうであるように、罰則だけでウソを根絶することはできないのです。 つまり、販売側のモラルに頼るだけでは、ウソから受ける被害を回避できません。

現在でも、水素水にダイエット効果、美肌効果、健康増進効果があると信じている人がたくさんいます。 だから、ウソをつく企業は、水素水を販売し続けます。

逆を言えば、水素水を誰も買わなければ、どの会社も売りません。 つまり、我々消費者が正しい情報を取得して、騙されないことが一番ウソを蔓延させない効果的な方法と言えます。 そして、できる限り、その正しい情報を自分たちの周りにいる人に伝えることができれば尚いいでしょう。

せめて、自分の周りの人がウソに騙されないために、正しい情報を受け取る努力を重ねて、ウソをつく企業を減らす一助になりたいものです。

井上龍弥

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