世の中にオーガニックコスメが溢れる理由

2006年頃に、突如現れた『オーガニックコスメ』という化粧品。出た当初は、珍しさもあり、いろんな雑誌やテレビで騒がれていました。今ではすっかり一般的となり、多くのオーガニックコスメが発売されています。コンビニやドラッグストアでもよく見かけるようになりました。

今更かもしれませんが、あなたは知ってますか?世の中にあふれる『オーガニックコスメ』の真実を。オーガニックコスメとは、一体、何なんでしょうか?

『オーガニック』とは?

単純に考えれば、オーガニックなコスメ・・・ん~、化粧品業界に突如現れた言葉。化粧品業界内では、それまでほとんど聞いたことありませんでした。

そこで、まず、食品の分野で使われている『オーガニック』の意味から調べることにしましょう。食品でいうところの『オーガニック』とは、有機栽培という意味で、化学合成農薬や化学肥料に頼らず有機肥料などにより土壌の持つ力を活かして栽培する農法のことです。日本では、登録認定機関の認定を受けた農家などが生産したオーガニック農産物には、オーガニック(有機栽培)JASマークがつけられ、オーガニック農産物であるかどうかを見分けられるようになっています。よく野菜にJASと書いたシールが貼られていますね。あれがオーガニックな野菜ということです。

ちなみに、この『オーガニック』には以下のような基準が定められています。

<オーガニック(有機栽培)JAS規定>

・3年間農薬や化学肥料を使用しない土地で栽培
・化学合成農薬や化学肥料は原則使用しない
・遺伝子組み換え原材料は使用しない
・放射線照射はしない
・合成添加物の使用制限   など

「自然の循環システムを守り、化学物質による自然環境への負荷をできる限り軽くする」

というのが大まかな趣旨です。まぁ、抜け道はいろいろあるんですけどね。とは言え、とにかく日本国内で画一的に決められた定義があります。

『オーガニックコスメ』とは?

では、この『オーガニック』の後に、『コスメ』がつくとどうなるのか?

単純に想像すると、こういったオーガニックの認定を受けた原材料だけで作られた化粧品かな?と、思います。

もし、そうなら私の常識はガラガラと音を立てて崩れます。

そんな天然の植物から抽出された原料だけで、化粧水や乳液などのスキンケアが作れるなんて?!

万が一、作れたとしても、すぐに腐ったり、安定性が悪すぎて、使うのが怖すぎます。下手をすれば肌トラブルを招く要因にもなります。

もしくは、私の知らない間に画期的な技術革新があって、アースケアや私が、おいてけぼり状態になっているのか・・・。そんな思いを抱きながら、さらに調べてみると・・・な、なんと驚きの事実が?!

じ、実はオーガニックコスメの規定とは・・・
・・・
・・・
・・・

何もないのです。

ん~、どう言ったらいいのかな~?え~、オーガニックで作られる食物のように、きちんとした決まりも何も存在しません。

つまり、食べ物で言うところの『オーガニック』という言葉には、いろんな意味や決まりはあるのですが、『オーガニックコスメ』になると何の意味も決まりもないのです。極端に言えば、ただの水を「オーガニックコスメだ~」と言ったら、その水はオーガニックコスメになるということです。

だから、私が作った化粧品を「オーガニックコスメなんですよ、これ。」と言ったら、その瞬間から、その化粧品は、オーガニックコスメになります。ただ、皆さんからの信頼を失って、取り返しのつかないことになりますが・・・。

残念というか、何というか、日本国内には、『オーガニックコスメ』に関する定義や決まりは一切ありません。もちろん、それを管理したり取締りする機関もありません。ちなみに、懇意にしている化粧品製造工場の方たちに、オーガニックコスメについて聞いたところ、いくつか作ったことがあるそうです。

その中には・・・

『有機栽培をしている某地方の某野菜』から作ったエキスを、全量のうちほんの10%だけ配合し、残りは普通のエキスを使った、でも、オーガニックコスメとして販売している、と、いうものもあるそうです。この化粧品メーカーでは、一部の成分の内のさらに一部だけ、食品のオーガニック規定をクリアしたものを原材料とした成分を使っていることで、『オーガニックコスメ』として販売しているようです。

どうやら、現在、世の中に出回っているオーガニックコスメは、こういったものが主流みたいです。私が最初にイメージしたような「すべて」ではなく、「ごく一部だけ」オーガニックの原料を使っているみたいです。つまり、今までの普通の化粧品に、オーガニックっぽい原料を加えただけです。これなら簡単に作れますね。

オーガニックコスメの規定は特に無い。審査・認定する機関もない。すべてがオーガニックの原料でなく、一部しか使用していない。既存の化粧品に加えるレベル。

これがすべてであれば、今のところは『オーガニックコスメ』という言葉には何の意味もないし、何の価値もないように思います。

一応、各メーカーが独自の規定を持っているようですが、上記の例もあるのであれば、自社規定なんてものに意味はないですよね。第三者機関がチェックしてこその、『規定』ではないでしょうか。

では、こんな不確かで意味のないオーガニック化粧品が、なぜ、突如として現れたのでしょうか?また、なぜ、価値のないオーガニック化粧品を作る化粧品メーカーが増え続けるのでしょうか?

オーガニックコスメが世の中にあふれる本当の理由

『オーガニックコスメ』には、国内で統一された規定がない。それを認定する機関もない。それぞれのメーカーが勝手な規定を設けているだけ。

また、すべてが、100%オーガニックの原料で作られているわけではない。既存の化粧品にオーガニック原料を少し配合しているレベルが多い。つまり、普通の化粧品と何も変わらない

では、なぜ、価値のない『オーガニックコスメ』が、こんなに世の中にあふれるのか?何の意味も無いのに・・・。少なからず手間をかけてまで・・・。

それは、その言葉に、安全っぽいイメージがあるからでしょうね。最近は、輸入食品や激安の飲食店などで食の安全に関する問題が起きています。中には、命に関わることもあり、以前と比べて私たちは『安全』というキーワードに敏感になっています。

これは、化粧品にも同じことが言えます。過去に起こった『お茶石鹸アレルギー問題』や、『カネボウの白斑問題』など、肌に関しても安全の意識が高まっています。つまり、化粧品を使うときに、機能だけではなく、安全性も格段に重視するようになりました。

安全性を重視する。これ自体は、素晴らしいことだし、非常に大切なことです。問題は、その安全性が本当ではなく、「なんだか安全っぽい」といったイメージに過ぎないものが世の中にあふれていることです。

オーガニックコスメという言葉は、安全性とは全く関係ありません。でも、安全っぽいです。知らず知らずのうちに安全なイメージを持っている人がたくさんいます。そして、残念なことですが、それだけイメージで化粧品を買う方が多いのです。

まぁ、プラシーボ効果(※)はあるかもしれないから、あながち否定しきれない部分もあります。しかし、私はあまり良い印象は受けません。
(※プラシーボ効果とは、「効果がある」と思いこむことで、何らかの改善が見られることを指します)

あとは、目立つことぐらいですかね~。今となっては、あまりにたくさんのオーガニックコスメがあるために、あまり目立たなくなってしまいましたが。

「だったら、世の中のオーガニックコスメって、全く意味がないの?」という声が聞こえてきそうです。

実は、そうではありません。海外には、日本で言うところの野菜のようにオーガニックコスメを認定している機関がいっぱいあります。

だから、そういった機関で認定を受けているものは、意味がないわけではありません。ただ、残念ながらオーガニックコスメを定義している機関があるといっても、多くの疑問が残る内容になっています。

例えば、ドイツで作られた『BDIH』というもの。その取り決めの中に、「入手が可能な限り、有機栽培または野生群生の植物から抽出した原料を使用すること」と、あります。「入手が可能な限り」って、非常にあいまいです。また、入手が不可能なら、オーガニックと呼べない原料を使ってもいいということなんでしょうか。

また、野生群生した植物はいいとのこと。もし、野生群生している植物の近くに農薬を使っている畑があったら?など、突っ込みどころは満載です。

でも、もし、こういった突っ込みどころがなかったとしても、こういうのって何だかやりすぎのような気がしています。
「本当に使う人のことを考えて、やっていることなのかな?」
「敏感肌や乾燥肌などの肌トラブルに悩んでいる人の役に立つのかな?」と疑問に思います。

実際に、1つの国に、こういった認定機関が複数乱立しています。本来なら、1つの国に1つでいいはずです。もっと言えば、世界に1つでいいはずです。

それが、乱立しているということは、何か別の意思が働いている証明のように思えます。

そして、別の意思が働くと、本来、大切にしなければならないものがおざなりにされていきます。

実際に、国によっては、同じオーガニック認定機関であるにもかかわらず、ライバル関係になっているところもあります。この結果、消費者からすれば各機関によって定義が違い、どこが正しいのか分からない混乱した状況になります。

また、オーガニックコスメとして申請する際、あいまいでよく分からない基準をクリアするためにお金がかかります。こういった費用は、商品代金にプラスされて、結局、使う人が負担することになります。

うがった見方をすれば、本当は安全性とは無関係であいまいなものなのに「なんとなく安全そうだな」という雰囲気にお金を払うことになります。本当は、使う人の安全性のために作るべき規定が、いつの間にか利害を生み、抜け穴が生まれて、本来の形を失っていく。

その結果、使う人にとっては、意味の無いものになっていく。そして、意味の無いものだから、いずれ使われなくなり廃れていく。結局、オーガニックコスメを販売しているメーカーも損をすることになります。使う人も作る会社も損をしていく。

こんなことをしていて、一体、誰が得をするのでしょうか?

まぁ、オーガニックコスメが廃れた頃になると、また新しい言葉、新しい商品が生まれるんでしょうけれど・・・。

こうした流れで見ると、『オーガニックコスメ』のように、いきなり生まれた新しい言葉や商品が流行るたびに、私は何だか残念な気持ちになります。

追記
『オーガニック』と同じように誤解されている言葉に『無添加』があります。無添加化粧品を安心・安全だと思っていると、肌トラブルを招くことになるかもしれません。敏感肌の人は特に、こちらの記事もあわせて読んで、ご自分の肌を守ってください。

(著:井上龍弥

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