editorial_01

なぜ、百貨店の化粧品は高いのか?

百貨店で販売されている化粧品って、すごく高いと思いませんか。

私が初めて化粧品会社に就職した時、化粧品のことを何も知らない私は、勉強のためにいろんな売り場を回りました。
商店街にある化粧品屋さん、ドラッグストア、百貨店など。
この中でも、百貨店で販売されている化粧品が群を抜いて高額でした。

また、以前、私はOEMという化粧品のブランドを企画製造する仕事をしていました。
OEMで作った化粧品の価格は、販売チャンネルによって決まります。

そのため、主要な販売チャンネルが百貨店の化粧品メーカーから依頼されたOEM化粧品は、非常に高額でした。

では、なぜ、百貨店で販売される化粧品は高額なのでしょうか?
その方が儲かるから?
中身がすごいから?
おしゃれだから?

いろいろと理由はありますが、化粧品を製造する立場から見ると、3つの理由が考えられます。

理由その【1】 化粧品の見た目にすべてを注ぐから

私が受けたOEMで、依頼者からの要望で一番お金をかけたところは・・・

『容器』と『パッケージ』です。

すごく珍しい形、可愛い形、目立つ形、特殊な色などなど、とことんデザインを追求する依頼者がとても多かったです。

新しい容器を作るには、『金型(カナガタ)』というものが必要となり、これが大体、数百万、多い場合には数千万ます。
これがあって、初めて、容器を量産できるのです。

この場合、10,000個売れたとしても、その商品の価格のうち数百円~数千円は容器代ということになります。

パッケージも同じです。 私が今まで経験したもっとも高額なパッケージは、1つ4,000円のものでした。
たかだか化粧品のパッケージ、開ければ終わりですが、その部品数は200点!
素材は、ウエディングドレスに使う生地をふんだんに使っていました。
その化粧品のパッケージには、トランスフォーマー並みのギミックが内蔵されていました(笑)。

ちなみに、私が今まで見た中で、一番高額な容器とパッケージを使った化粧品の販売チャンネルは、一番目は百貨店、二番目エステサロンです。
中でも、特に高額だったのが・・・
内容量60g程度の油分が多めのクリームです。
販売価格は、な、なんと驚きの10万円!

その後、製造元にきくと、10万個が1ヶ月を待たずして完売したとのことでした。
当時は、「世の中には、お金持ちがたくさんいるんだな・・・」と、なんだか虚しくなったのを覚えています。

理由その【2】 化粧品の中身を豪華にするパターン

次に、依頼者の要望によりお金をかけたのは、『化粧品の中身』です。

もちろん、化粧品は中身が命です。
こだわればこだわるほど、そのメーカーの化粧品を愛用している人にとって、良い商品になります。
でも、ここで言う『中身へのこだわり』は、少し意味合いが違います

「とにかく珍しい原料を配合してくれ!」と、依頼されることが多かったのです。
ここでいう珍しい原料とは、言い換えれば、『高額に見える原料』です。

分かりやすいところで例えるなら、金粉やパール、シルクなどです。

確かに、どれも『高そう』なイメージです。 でも、肌にとっては、何の価値もありません。
配合するだけお金の無駄です。

本音を言えば、こういった要望に応えることはしたくなかったのですが、当時はしがないサラリーマン。
会社の命令とあれば、やるしかありません。
当時を振り返ると、「こういった仕事が多かったなぁ~」とゲンナリします。

ちなみに、こういった化粧品も、例のごとく売れるんですよね~。
本当に百貨店というのは不思議な場所です。

理由その【3】 百貨店への出店コストが高い

百貨店にとって、化粧品というのは花型商品の一つです。

大きな集客源でもあり、百貨店の顔にもなります。
だから、化粧品売場は一番良い場所に陣取っています。

もちろん、良い場所なので、出店コストは高額になります。
10年以上前の情報なので、今は変わっているかもしれませんが、当時は家賃+マージン(歩合)でした。

マージンは、百貨店側から出店要請がある場合で、売上の10~20%程度。
化粧品販売者から出店を希望する場合で、売上の20~30%程度でした。
平均すると、おおよそ20%ぐらいが相場でした。

こういった家賃+歩合に加えて、美容部員の人件費がかかります。
百貨店の化粧品売り場には、その化粧品メーカーが直接販売員を送り込みます。
そのため、人件費は化粧品メーカー負担です。

百貨店の美容部員20代後半の平均年収は、300万円と言われています。
規模や平日・休日などにもよりますが、平均すると4名ほど配置されています。
この場合、年間で約1,200万円が人件費になります。
この人件費は固定ですから、お客さんが来ても来なくても、化粧品が売れても売れなくても、もちろん同じだけの費用がかかります。
当然、一日中4人全員が、お客さんの相手をしているわけではありません。

家賃+マージン(約20%)+人件費1,200万円+やたらとくれるサンプル代+その他もろもろ。
このように、百貨店に出店するのは非常に高い出店費用がかかります。
だから、化粧品の価格を上げるしか無いんですよね。

でも、最近は、そんなに儲からないようです。
私の知り合いも、化粧品ではないのですが、最近、某一流百貨店から出店要請があった際、断っていました。
彼曰く、「とてもじゃないけど、今の百貨店の集客力では採算が取れない」とのことでした。

あと、「働いてもらう人の確保が大変」とも言っていました。
百貨店は、ほぼ年中無休です。 開店している時間は、常に人を配置しておく必要があります。
人の確保が困難になっている昨今、出店する側にとっては非常に大きなデメリットとなっているようです。

まとめ

「百貨店に売っている商品はどれも高級である」という消費者側の思い込み&見た目や中身の豪華さを満たすためと、高額な出店コストが相まって、百貨店ブランドの化粧品価格は高額です。

化粧品の中身に関しては、容器やパッケージが異常に凝っていたり、高価そうな効果が普通の成分が配合されていることはありますが、通常の化粧品と大して変わりません。

そもそも、一つのメーカーで、価格帯の違うシリーズ化粧品を抱えていますよね。
百貨店用・ドラッグストア用・コンビニ用・・・と、それぞれの販売チャンネルによって、ブランド名と価格を変えているだけで、化粧品の効果としての違いはさほどありません。

まぁ~、どこでどんな化粧品を買うのかは、もちろん、その人の自由です。
でも、「百貨店ブランドだから、安心・効果がある」という思い込みを持つことは、もったいなく感じている今日この頃です。

井上龍弥

この記事があなたのお役に立てたならうれしいです。
下記をクリックしてもらえたらもっとうれしいです。
この記事があなたのお役に立てたなら、おなたのお友達にも教えてあげてください。
下記をクリックするだけでOKです。


ページトップへ