シワに効くレチノール化粧品『ダーマエナジー』販売停止から学ぶ!

先日、第一三共子会社の第一三共ヘルスケアの化粧品『ダーマエナジー』の販売中止が発表されました。(参考:『肌トラブル多発、化粧品を販売中止 第一三共ヘルスケア』/朝日新聞デジタル

第一三共ヘルスケアの化粧品『ダーマエナジー』は、2012年7月から販売を開始。 その約1年後の2013年10月に、保湿クリーム(モイストリフトクリーム)、保湿化粧水(モイストリフトローションII)、ミルク状美容液(エッセンスパーフェクションM)を追加。これによりダーマエナジーシリーズは、メイク落とし、洗顔料、保湿化粧水、ミルク状美容液、保湿クリームの5品目8品種で展開。

商品の特徴としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEを配合しており、通常劣化しやすいビタミンAやビタミンCを独自の『高分子乳化技術』で安定配合している、とのこと。 さらに、この技術によって、肌の奥までビタミンが浸透するそうです。なんでも、通常の乳化技術と比べて、150%~270%も浸透力がある、とのこと。

私の個人的な意見ですが、通常の化粧品を製造する技術でもビタミンの劣化は防げますし、乳化技術と肌の奥まで浸透することは、関係ありません。ぼんやりしてて、具体的ではない説明ですね。

また、ローションには、次に使う美容液の成分がすいすい肌に入る『ブースト効果』があるそうです。ローションを塗ることで、肌が整い、ターンオーバーサイクルが改善して、肌の奥まで成分が届きやすくなるそうです。(参考:『第一三共ヘルスケア、4年めどに黒字転換 通販事業、社長直轄で組織』/通販新聞

ブースト効果・・・。最近よく耳にしますね。(何だか強そうな名前です。)私たちの肌には、外界からの異物侵入を防ぐために、バリア機能があります。ブースト効果というのは、瞬時にこの機能を破壊して、外界からの異物を肌に取り込む状態にするということなのでしょうか?もしそうなら、ものすごい機能ですね。

発売3~4年目、つまり、2015~2016年度に黒字を目指して販売計画を練っていたようです。でも、残念ながら、発売2年目にして販売停止。 今まで、累計で13万個以上販売していました。商品の平均単価は、約5,000円。 売り上げは、6億5000万円ってとこでしょうか?私のような中小企業だったらすごい金額なんですが、第一三共のような大きな会社からするとまだまだなんでしょうね・・・。

 

販売中止の原因は、高配合の『美容成分』

販売中止の原因は、高配合の『美容成分』

さて、残念ながらダーマエナジーが販売中止になってしまった原因は、『レチノール』という美容成分だと発表されています。レチノールとは、ビタミンAの一種で、主に以下の働きがあります。

・ターンオーバー促進
・線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやエラスチン線維の生成促進
・皮脂分泌抑制  など。

どれも、すばらしい働きです。主に、シワに効果があるといわれてます。ただ、世の中そんなに甘くありません。美しいバラにはトゲがある。 汚いバラにもトゲはありますが。

確かに、レチノールにはすばらしい効果があるのですが、その反面、肌に強い刺激を与えます。 つまり、レチノールをたくさん配合すれば、それだけ美容効果を高めることができるけれど、同時に肌に対する刺激は、どんどん強くなる、という傾向があります。

そのため、レチノールは、2001年4月の薬事法改正前である承認・許可制の際には、0.075%までの配合しか認められていませんでした。しかし、薬事法改正後、ポジティブ・ネガティブリスト制になった際に、配合上限が撤廃されました。

なぜ、レチノールの配合上限が撤廃されたかは謎です。憶測ですが、高配合したい人たちがあれこれ頑張ったのかもしれませんね。

こういった配合上限が変わる美容成分はたくさんあります。 例えば、コエンザイムQ10もそのひとつです。 最初は、0.03%でしたが、いつの間にか0.3%にアップしています。これもなんででしょうね・・・。

話がそれましたが、そもそも、レチノールはシワへの効果が高いことが知られており、NHKやテレビ番組でもたびたび特集されていました。 だから、目にした方も多いのではないでしょうか。

そのため、知名度が高く、シワ以外にも、「クマを解消する」という定評もありました。

しかし同時に、化粧品に携わる私たちの間では「高配合は刺激が強い」ことも知られていました。 問題のダーマエナジーに、どれほどの濃度が配合されていたのかは分かりませんが、ライバル化粧品よりも圧倒的な効果を出したいがため、ドカンとレチノールを配合したのではないかと推察します。

ここで知って欲しいのは、レチノールだけの話ではなく、他の美容成分にも同じことが言える、ということです。

肌への効果が高いものほど、基本的に、刺激は増します。 肌に絶対的な強さを自負している人には大した問題はないかもしれませんが、敏感肌や乾燥肌で悩んでいる方は、避けたほうが賢明です。

また、「美容成分がグングン浸透する」という技術にも同じことが言えます。本当に肌の奥深くまで浸透するかどうかは別にして、もし、本当に肌の奥に入るなら、それはものすごく危険なことです。

肌の表面よりも深いところで起きた肌トラブルは、表面で起こるものより深刻になり、長期化します。 肌の下には毛細血管がありますし、もし、この毛細血管に化粧品成分が入ったら大変です。肌に塗って大丈夫でも血中に入ったらトラブルを起こす成分はたくさんあります。

だから、『高濃度』『美容成分がグングン浸透する』には、要注意です。

 

製薬会社だから安心?

製薬会社だから安心?

また、ダーマエナジーの発売者である第一三共ヘルスケアの親会社である、第一三共は製薬会社です。 そのため、「医薬品で培った技術で作った化粧品」としても宣伝していました。

これには、「薬を作っている企業だから安心してください」というメッセージを込めているのでしょう。実際に、ダーマエナジーを購入された方の中には、「製薬会社の化粧品だから安心」と思った方も少なからずいると思います。

でも、製薬会社であることと、化粧品の安全性は、まったく関係ありません。医薬品と化粧品は、まったくの別物です。 医薬部外品という化粧品のカテゴリーがあるために、同一視する方が多いのですが、それは大きな誤解です。それどころか、今回の問題は、製薬会社だからこそ起きたことかもしれません。

もともと薬品は効果を求めるものです。 副作用は、効果との天秤にかけて容認されます。逆に、化粧品は安全性を求めます。 効果よりも安全性に重きがおかれます。 (最近は、化粧品も医薬品に近い考えを持っている企業が増えているような気がしますが・・・。)

つまり、医薬品を作っているがために、化粧品にもかかわらず、安全性よりも美容効果を重視してしまい、その結果、レチノールの高配合につながった可能性もあります。

以前の記事にも書きましたが、『製薬会社』という何となく安全性の高そうなイメージを盲目的に信じるのではなく、安全の理由をしっかりと調べ、自分が調べたことを信じましょう。たとえ、自分のわかる範囲であったとしても、これを続けていれば、やがては知識も増えていきます。

今回の件でも、この記事を書くために調べている中で、こんな記事を見つけました。

同社は2006年、健康食品で一度、通販に参入している。当時は店販事業の一部門として事業部を組織。大豆イソフラボンを配合する健食「ナチュラルビトン」シリーズを展開していた。 だが、キッコーマンがガンマ線照射の可能性のある原料を供給。 食品衛生法に抵触する可能性があることから同社も商品を自主回収し、通販事業からも撤退していた。(引用元:『第一三共ヘルスケア、4年めどに黒字転換  通販事業、社長直轄で組織』/通販新聞

もし、購入した方がこの事実を知っていたら、少しは「この会社の商品は大丈夫かな?」と購入も慎重になったのではないでしょうか?

誤解しないでいただきたいのですが、「一度ミスがあったから、その会社を信じてはいけない」と言っている訳ではありません。 人が営むことなので、時には意図しないミスを起こすこともあります。 私も今まで数え切れないミスを起こしています。

そうではなくて、客観的な視点を持ち、その企業や商品についての知識を深めることで、回避できる困難がある、ということです。

特に、化粧品やスキンケアという分野は、何十年も付き合っていくものです。だから、少しの間違いを長く続けることで、取り返しのつかないことになる可能性もあります。 ですから、少しでもそのリスクを減らすことは必須です。

特に、敏感肌の方は、自分の肌を守るために明確な基準を持って化粧品を選ぶことをお勧めします。 私も大変な敏感肌ですから、肌トラブルの深刻さはよくわかります。だからこそ、慎重な化粧品選びをしていただけることを願ってやみません。

もしあなたが敏感肌でお悩みなら、敏感肌の化粧品選びが分かる『敏感肌の人が知るべき7つのポイント』を読んでください。『敏感肌の人が知るべき7つのポイント』はこちら

(著:井上龍弥

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