10万円のクリームの内訳は?

前回は、安い化粧品に潜む危険性について、説明をしました。では、次に『高額な化粧品』はどうか?

「高い化粧品ほど、肌にいいよね?」

これも私がよくされる質問の1つです。

これについては、使用される方それぞれの個人的な主観によるところが大きいと思います。つまりは、「その化粧品が高額な理由に使う人が納得できるか?」ですね。

高い化粧品は肌にいいのか?

化粧品が高くなる理由は、いくつかあります。私が個人的に最も納得性の高い理由は、『研究開発費』です。

化粧品の研究・製造技術は日進月歩で進化しています。こういった技術を自社の商品に活かすために、研究開発費は必要不可欠です。だから、ここにお金を投じることは化粧品メーカーの使命だと思います。あとは、そこで得られたものがその対価に見合うかどうかを使う人が決めるだけです。もちろん、研究開発費を使えばいいというものではありませんが、化粧品を使う立場から見ればもっとも納得性の高いお金の使い道ではないでしょうか?

でも、多くの化粧品メーカーは、研究開発費以外にたくさんのお金を使っています。例えば、超大手の化粧品メーカーの決算を例にしてみましょう。

と、その前に誤解のないように、少し補足を。

こういったことに、『善悪』はありません。どんなことにお金を使おうがその企業の考えであり、使う人たちには、それを踏まえて取捨選択できる自由があります。そう考えると、そもそも私がこのようなことを言う必要もないのですが、実情を知らない方が多くおられることも事実なので、1つの情報として提供させていただきます。

では、進めます。

ある有名化粧品メーカーの決算を例に説明しますね。企業を特定したくないので、ざっくりとした数字で説明します。

売上      70億
売上総利益 50億(粗利益率:71.4%)
営業利益    4.5億(営業利益率:6.4%)

『売上総利益』とは、『原価』を除いた儲け分です。化粧品の場合の『原価』は、商品の研究開発費や中身の代金、容器やパッケージなどですね。

『営業利益』とは、『売上総利益』から、その商品を売るための費用を引いたものです。広告宣伝費や物流費、管理費、それらにまつわる人件費などです。

つまり、この『営業利益』がその企業に残るお金ということになります。

上記を商品に置き換えると、この化粧品メーカーが1万円のクリームを出していた場合、中身にかかる費用は、2,860円。それを売るためにかかる費用が6,500円。このメーカーが1万円のクリーム1つを売って儲かる金額は、640円ということになります。

もちろん、これらの割合は企業によって違います。これは、あくまで一例です。

とは言え、あなたのイメージとは、ずいぶん違うのではないでしょうか?

私は、この業界に入ったとき、ものすごく違和感を感じました。

その違和感とは、ズバリ!
「商品の中身以外に使われるお金がほとんどなんだな~~」
ということです。

なんせ、商品を作るお金の3倍ぐらいを売ることに使っているのですからね。

まぁ~、テレビCMの世界では、車業界と化粧品業界でもっているといわれているぐらいですから、当然なのでしょうけど・・・。

そこそこの視聴率のある番組でCMを打てば、すぐに何千万です。さらに、有名な俳優さんや女優さん、さらにクリエイターを使えば、億を突破します。単純に、CMに1億使って、1万個売れたとすると、その商品をうるための1個辺りのCM費用は1万円です。

だから、当然、その商品は1万円以上で販売する必要があります。

もしくは、もっと数を売るかですね。

このように、売るために使う費用から化粧品の価格を決められることはよくあることです。

何もこれはテレビCMだけに言えることではありません。

例えば、ショップチャンネルなどのテレビ通販。この場合は、テレビ通販の番組で商品を売ってもらう必要があります。その場合、手数料を払います。

商材によって、または、力関係によっても変わるので一概には言えませんが、おおよそ70%ぐらいでしょうか。つまり、1万円の化粧品なら、7,000円をテレビ通販会社に払うことになります。大体、テレビCMとした場合と似た割合ですね。

つまり、売るためにかかる費用を逆算して、コストが決まります。CMやテレビ通販で売る場合70%の販売費がかかると仮定すると、原価と利益を合わせてが30%以下が基本となります。利益をどれぐらい取るかによりますが、原価は5%~20%ぐらいとなります。

私自身も昔は、OEMといって、他社メーカーのブランドを作る仕事をしていました。

今でも、私が過去に協力して存続しているブランドはいくつかあります。ここの例に出したテレビ通販で販売している化粧品メーカーもそのうちの1つです。

このように、化粧品を売ると一口に言っても、いろいろな媒体があります。

その中でも私が最も驚いたのは、エステ業界でした。当時は、私もサラリーマンで、エステ業界用商材を売り込むために某エステ会社へ営業に行きました。その際に、自分の企画したゲル(ジェル)クリームを見本として持って行きました。

商品の説明をしていても何の手ごたえもありません。「ちゃんと聞いてるのかな?」という印象です。一通り、説明が終わって、「何か、質問ありませんか?」と聞くと・・・。

「それって、いくらで売れんの?」と、一言。

私が「売り方にもよりますが、3,500~5,000円ぐらいが適正です」と答えると、「はぁ~???あと0を一つ増やしてくれたら扱ってもいいよ」と。

これを聞いたときは、私の頭の中は、「はぁぁぁぁ~??????」でした。

この人は何を言ってるのか?

意味が分かりませんでした。

つまり、この社長の言いたかったことは、

「5,000円のクリームを売るのも、5万円のクリームを売るのも一緒。だったら、5万円のほうが、さらに45,000円儲かるでしょ!」

ということでした。

まぁ~、そりゃそうですが、あまりにもボッタクリです。私には、理解不可能な考え方でした。

でも、その後、数社エステ会社を営業で回りましたが、言い回しや表現はそれぞれでも、同じようなことを言われました。

また、このような考えの人たちには、共通している部分があります。
それは、見た目を非常に重視するということです。『豪華絢爛!』という言葉が大好きなのです。

例えば、容器です。私は、容器のデザインなんて、どうでもいいと思っています。まぁ~、この極端な考え方にも問題がありますが、中身の品質を保持できて使い勝手がよければOKだと思っています。

でも、こういった人たちは違います。「おしゃれにしたい!高く見せたい!」という部分に強い欲求を持っています。

通常、化粧品の容器というのは、『金型』というものを使います。これは、金属や樹脂をプレスして、化粧品容器を形作る時に使います。プラスティックのような樹脂製の化粧品容器には必須のものです。

金型を作る費用はピンキリで、数百万から数千万です。もちろん、複雑な形ほど技術を必要とするため高額になります。

本来、一般的な形の容器であれば市場に出ている数も多いので、この金型にかかった費用というのは容易に償却されています。つまり、容器に含まれる金型代は、数十円です。

でも、自社のみで使う場合は、おのずと市場に出る量が限られるので、容器代は跳ね上がります。例えば、すごくおしゃれな容器を作るために、金型代が2,000万円かかったとします。そして、その化粧品が10万個売れた場合、容器の金型代は200円です。1万個しか売れなかったら、2,000円です。

この場合、販売計画で10万個売れる場合と1万個の場合、化粧品の価格は2,000円変わります。中身や容器は一緒なのに、です。

これは、容器だけでなく化粧箱(化粧品を入れる箱)にも言えます。

私が今まで見た高額なパッケージは、化粧箱屋さんの製造原価で4,000円というものがありました。さすがに、1箱4,000円もかけるだけあって、普通の化粧箱ではありません。まるでパズルのような仕掛けで化粧箱が変化して、中のクリームを飾る台になります。そのための化粧箱の部品数は、なんと200点!ちょっとしたプラモデルの部品数より多いです。これをせっせと手作業で組み立てるのです。(当然、人件費も上がります。)

箱の素材は、紙だけでなく、ウエディングドレスに使われる上質の生地が使用されていました。詳しく説明を聞けば聞くほど、これは4,000円では安すぎると思える、凝りようです。

実際に、本当の原価を4,000円を超えていました。化粧箱屋さんの社長は、「見積もりを甘くして、作れば作るほど赤字になるよ~」と嘆いていました。

ちなみに、この商品はクリーム状の基礎化粧品で容量は30g。誰もが知っている化粧品メーカーの商品でした。もちろん、容器もオリジナルでそのブランドでしか使用しておらず、すごいお金がかかっていました。

価格は、10万円。

販売当時は、ありとあらゆる女性誌に広告が掲載されていました。

そのせいか、高額にもかかわらず限定数量がすべて完売していました。世の中には、お金持ちってたくさんいるんですね。

で、こんな人たちと付き合うことが精神的に苦痛になって、結局、エステめぐりを辞めてしまいました。何に費用をかけるかは企業の自由だはと言うものの、私の個人的な見解としては、何かお客さんをだましているような罪悪感に苛まれてしまったのです。

 

話はそれましたが、結局、高額な化粧品というのは、中身ではなく、容器や化粧箱、または、売り方によって設定されていることがよくあります。もちろん、見方を変えれば、それは当然のことかも知れません。

化粧品の効果に関係がないとは言え、容器や化粧箱、広告にはお金がかかっているのです。そのためには、商品代金を上げないと赤字になります。この辺の判断は、それぞれ化粧品メーカーの自由です。

でも、少なくとも私個人は、こういった商品を進んで使おうと思いませんし、人に勧めることはできません。ましてや、こんな考え方で価格を設定することはできません。やっぱり、化粧品の中身を重視して欲しいですし、容器は機能性が高ければ問題ありません。容器がおしゃれじゃなくてもOKです。化粧箱もかっこよくなくていいです。というより、ゴミになるので別にいらないです。でも、一方で、豪華絢爛が大好きな方は、満足度が高いと思います。

では、私のように質実剛健な考えの方が1ヶ月辺りの化粧品にかける費用の目安とは、どれぐらいか?あくまでも私の経験則なのですが、顔だけの1ヶ月スキンケア代は、おおよそ2,000円~10,000円が妥当だと思います。

肌が丈夫で健康な方は、そこまで高い機能性がいらないと思うので、最低限のスキンケアでいいと思います。それならば、2,000円~4,000円程度で、普通に売っている化粧品でOKです。

逆に、ある程度年齢を重ねている方や肌トラブルに悩んでいる方は、ある程度の機能性を持っている化粧品が必要だと思います。また、スキンケアに関するアドバイスも親身にしてくれるメーカーのほうがいいでしょう。そうなると、5,000円以上のメーカーになると思います。どんなに高くても、10,000円以上はありえません。

というより、中身に関して言えば、10,000円以上になるとどれも同じだと思います。化粧品が高額になればなるほど、中身以外の容器やパッケージ、広告にお金がかけられているだけです。

もちろん、あなたが容器やパッケージに価値を見出すのであれば、高額な化粧品でも問題ありません。しかし、そうではないのなら、一度、見直してみられてはいかがでしょうか。

ちなみに、当社の場合、1ヶ月辺りのスキンケアにかけていただく金額は、1ヵ月で3,500~5,000円程度が一番多いです。

(著:井上龍弥

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