やってはいけない手荒れケアとは

  • 手荒れによって肌が硬くなり、ひび割れが起きる
  • 手のひび割れに水が触れると、ヒリヒリして痛い
  • 手のひび割れからは血がにじんでいる
  • 痛くて手を使った作業ができない
  • 手荒れケアをしても、手荒れが治らない

前職で、美容室にシャンプーやスキンケア商品を卸す会社にいた私は、日本中の美容室を回って、シャンプー剤や化粧品、スキンケアの講習を行っていました。北海道と沖縄以外は、ほとんどの地域を回りました。

その際、このようなひどい手荒れに悩む美容師をたくさん見てきました。

時間があれば講習後に質問会を行うのですが、その際、一番多かった美容師の悩みが『手荒れ』です。

美容師の手荒れの原因は、主に『水』と『洗剤』です。美容師はシャンプーやカラー剤などを一日に複数回、長時間使うので、手荒れは職業病となっています。

手荒れに悩む美容師の多くは、手を使う仕事のため、手荒れによってボロボロな手が目立つこと、悪化することで仕事を続けられなくなる可能性もあること、などに大きなストレスを感じてました。

そして、多くの美容師は、「どれだけケアをしても、手荒れが治らない」と嘆いていました。

しかし、話をよくよく聞くと、美容師の手荒れが治らないのは当然でした。なぜなら、彼ら、彼女らは『やってはいけない手荒れケア』を行っていたからです。

治らない手荒れケアその1
消毒をする

ケガと同様に、手荒れした部分に消毒液を使って消毒をしている人がいました。手指がひび割れ、血が出てくるので、「雑菌が入ってしまうから消毒しよう」という考えからくるようです。

手荒れから防御機能が衰え、雑菌が侵入することで症状が悪化することは確かにあります。この場合は、消毒で悪化を防ぐことはできます。

ただ、一般的な手荒れの原因は、乾燥状態によるバリア機能の低下や洗剤などの刺激によるものです。消毒は菌を殺すために行うものですから、消毒による手荒れを治す効果はあまりありません。

だから、手荒れがひどくなって、あかぎれになったり血が出ても、消毒の必要はありません。

また、美容師は接客業という職業柄、頻繁に手指をアルコール消毒している美容師もいました。

薬局やスーパーの入口、O-157とかが流行るとあちこちの店頭に置かれるプッシュ型の容器に入ったアレです。最近は、トイレなどにもよくあります。あれを頻繁にプシュプシュと塗っているとのこと。

アルコールは水よりも揮発性が高いために、どんどん蒸発します。アルコールだけが蒸発するならいいのですが、水分も一緒に蒸発します。手指に付けていた場合、アルコール蒸発と同時に肌の水分も蒸発してしまいます。

手荒れが治るどころか、悪化する可能性があるので、手荒れを起こしている人は、頻繁に使用するのは止めましょう。

治らない手荒れケアその2
ハンドクリームを塗る

ハンドクリームは油分が多い構成になっているため、塗った部分に油膜を作ります。そのため、水仕事をする前にハンドクリームを塗る、という方法がハンドクリームの効果的な使い方です。

しかし、ハンドクリームは油分のため塗るとしばらくはヌルヌルし、美容師のようにハサミを使った繊細な作業をする際には向いていません。

さらに、ハンドクリームを塗っても、少し作業をすれば物理的に取れてしまいます。シャンプーもしょっちゅうしますので、仕事中にはハンドクリームを有効に使うことができません。

だから、美容師でハンドクリームを使っている方は、仕事中は使えず、終わってから使用していると言っていました。油分で保護をすると痛みが和らぎますが、この使い方だとせいぜい一時しのぎで、これからも仕事中にどんどん手荒れが悪化してしまうでしょう。

根本的に、ハンドクリームは手荒れを治すものではありません。手荒れした部分にハンドクリームを塗ると、油分の特性上、水をはじいてくれます。そのため、水に触れた際の手荒れの痛みが緩和されます。これを手荒れの症状が改善したと感じるかもしれません。

でも、水をはじいてくれるものの、手荒れを治すのに必要な保湿ができるわけではありません。油分だけで保湿は行えませんので。

ですから、美容師のように手を多用したり、水に触れる機会の多い仕事の人は、一時的な手荒れの痛みを緩和する目的ならハンドクリームもいいのですが、治すとなるとあまりお勧めしません。

治らない手荒れケアその3
安全な洗剤を使う

手荒れに刺激は大敵です。だから、「洗剤は、刺激の少ないものが安全」と考え、低刺激を謳う洗剤を使う人が多いです。

でも、低刺激で安全ということは、洗浄力が弱いということです。つまり、洗い物の汚れ落ちが悪くなります。すると、洗い物をしている時間が長くなります。洗い物をする時間が長くなると、洗浄力が強い洗剤を使っているよりも、肌に刺激を受ける時間が長くなります。

こうなると、洗浄力が弱いものを使うメリットが薄れてしまうわけです。本当は、洗浄力が強く、刺激が少ない洗剤があれば手荒れにいいのですが、そんなに都合のいい洗剤はありません。

頑固な汚れは油分なので、汚れ落としの機能を高めるにはどうしても油を落とす機能を上げるしかありません。油を落とす機能は、肌の皮脂膜を壊す効果と比例するので、どうしても刺激が強くなり、手荒れの原因となります。

逆に、油を落とす機能は、皮脂膜を破壊する効果は少ないのですが、汚れを落とすのに時間がかかってしまいます。いくら刺激が弱いからと言って、長時間使用していると、皮脂膜は破壊され、手荒れが悪化する原因となります。

  • 強い洗剤を短時間使う
  • 弱い洗剤を長時間使う

どちらも手荒れの原因となります。

結局、弱い洗剤は肌への刺激が少なくなりますが、その分、使用時間が長くなるために、手荒れが治りません。

治らない手荒れケアその4
お湯を使わず、水で洗う

水よりお湯のほうが、汚れは落ちやすくなります。だから、高い温度のお湯で食器洗いをする方がおられます。

お湯は蒸発しやすいために、過乾燥を起こしてしまいます。過乾燥を起こすと、肌表面のお湯が蒸発する際に、肌内部の水分も持っていくので、より肌が乾燥します。

高い温度のお湯は手指の皮脂も奪いますので、この状態が繰り返されると、健康な手指の人でも肌荒れを起こします。手荒れをしている人ならなおさらで、手荒れの悪化は免れません。

だから、「手荒れケアのために、お湯ではなく水で洗う」という美容師がいました。

確かに、水はお湯より過乾燥を起こしにくく、乾燥状態になりにくいといえます。このことを知っている人は、多少冷たくても水を使われます。

しかし、極端に冷たい水だと血管が収縮し、血行が悪くなるので、しもやけの原因になります。

また、水だと汚れを落とす力が弱いために、長時間、水に触れることとなります。水に触れ時間が長いということは手指の角質層に多くの水分を含ませてしまい、ふやけるということです。ふやけた角質細胞は非常にもろくなっているので、刺激を受けやすく、結局は手荒れの原因となります。

さらには水の場合、汚れが落ちにくいために、強い洗剤を使う場合ものあります。こうなると、本末転倒です。

  • お湯を短時間使う
  • 水を長時間使う

どちらも手荒れの原因となります。

刺激の少ない洗剤と同じように、「お湯よりも水を使う」ことは手荒れは治りません。

治らない手荒れケアその5
保湿ケアの目的で無添加化粧品を使っている

手荒れは、肌が乾燥状態になることが大きな原因です。だから、保湿をすることが最良の手荒れケアです。

この知識があると、手肌が触れる化粧品でも低刺激を求めて、『無添加化粧品』を使う人がいました。

当時の美容室は、物販に力を入れており、『無添加』ブームだったので、『無添加化粧品』を銘打った商品を取り扱う店が多くありました。

お店では、「無添加化粧品だから、安心、安全」と言って販売していたので、美容師たちも、自身の保湿ケアのためもあり、それを信じて使っていました。

私が美容室巡りをしていた1998年ごろの『無添加化粧品』は、表示指定成分が配合されていない化粧品のことでした。今では、界面活性剤・防腐剤・香料・着色料が入っていない化粧品を、無添加化粧品と称している会社が多くあります。そして、「普通の化粧品よりも、無添加化粧品のほうが安全だ」と主張する人はたくさんいます。

でも、結論を言うと、無添加化粧品であることと安全性は全く関係ありません。化粧品を売るための宣伝文句です。無添加化粧品ついては、ここに詳しく説明しましたのでこちらをご覧ください。

界面活性剤などの成分は、化粧品の品質を安定させたり、菌の繁殖を防ぐなど、安全性を高めるための成分です。これらを配合しなければ、化粧品は不安定になり、腐敗しやすく、使いづらいものになります。

だから、実は、『無添加化粧品』にも、界面活性剤や防腐剤、着色料などによく似た成分がこっそりと配合されています。

例えば、防腐剤を配合していない化粧品を作ろうとします。本当なら防腐剤をほんの少し配合すれば済む話です。でも、「防腐剤は危険だ」と主張しているので、配合することができません。だから、防腐剤と表記されない防腐効果がある成分を配合します。この場合、防腐効果はあるものの、本当の防腐剤と比べれば弱い効果になるため、大量に配合する必要があります

化粧品は、無限に有効成分を配合できるわけではありません。当然ですが、容量によって、配合できる有効成分は限られています。だから、防腐効果の弱い、防腐効果のある成分を大量に配合するために、効果的な成分の配合量はおのずと減ります。つまり、本来、化粧品に期待する効果が少なくなっていくということです。

人気の『オーガニック化粧品』も同様で…

今で言うと、『オーガニック化粧品』もそうです。

界面活性剤、防腐剤、香料、着色料の入っていない化粧品であり、さらに、オーガニック成分を配合したものが、『オーガニック化粧品』と呼ばれているようです。美容室でもよく販売されていますね。

オーガニック化粧品は、あたかもオーガニック成分のみで作られているようなイメージがありますが、そうではありません。オーガニック化粧品に配合されているオーガニック成分は微々たるものです。だから、オーガニック化粧品の正しい説明は、『天然物から抽出したオーガニック成分が少しだけ入った化粧品』です。まぁ、普通の化粧品ですね。

そもそもオーガニック化粧品の概念はあいまいで、決められた基準はありません。だから、極論を言うと、どんな化粧品も、「これは、オーガニック化粧品だ」と言えば、その瞬間からオーガニック化粧品になりえます。オーガニック成分も同じで、化粧品成分にオーガニックという基準はありません。一応、自然物から抽出した天然由来成分のことを指している場合が多いのですが、このような成分だけで化粧品を作ることは不可能です。必ず合成成分が必要となります。

そもそも天然物から抽出したものの方が不純物が混ざるので、手荒れを起こしている肌には向いていないのです。むしろ、合成成分の方が、不純物ゼロで低刺激で、手荒れに適しています。皮膚科で処方されるワセリンがその最たるものです。

このようにオーガニック化粧品は、無添加化粧品と同じように、手荒れに対して効果的な要素がありません。だから、手肌が触れるからと言って、このような化粧品を使っても、手荒れは治りません

治らない手荒れケアまとめ

当時、私が美容師から聞いた手荒れケアは、この5つでした。もし、あなたが長期間続いている手荒れに悩んでいたら、このような行動はとらないでください。いつまでたっても手荒れが治りません。

もし、手荒れを治したければ、違う方法を試しましょう。

ここでは話しきれなかった、手荒れに効果があるケアの方法や、私が美容師に手荒れについて質問された時の回答を近日中に書きまとめますので、完成したら、そちらもぜひ参考にしてください。