子供が夜中にかきむしる原因とその対策

皮膚のかゆみには大人でもなかなか我慢が難しく、つい掻いてしまうことがあるでしょう。小さな子供にとっては、さらにその我慢が困難に感じることもあるでしょう。

しかしながら、大人と比べて敏感な子供の肌には、掻き続けることでのダメージが大きいのです。掻くことでさらなるかゆみを引き起こすこともあり、強く掻いてしまうと、肌にダメージが残ることも。このような状況を避けるためにも、かゆみの背後にある原因を理解し、適切に対応することが求められます。

今回は、子供が夜中に体を掻き続けることに悩む保護者の皆さんのために、かゆみの起こる理由やその原因、そして対策方法についてご紹介いたします。

目次

子供が夜中に体を掻く時、まずはその原因を明らかにしましょう

夜、深い眠りの中でもかゆみは我慢できず、大人でも子供でも知らず知らずのうちに掻いてしまうことがあるのです。夜中に掻き続ける結果、体のいろいろな部分に掻き跡ができてしまうことも。

ただ、同じ「掻きむしる行動」であっても、一因に限らないのです。まずは、症状の正確な把握をし、家庭での適切なケアを考えることが大切です。

もし、広範囲に湿疹が見られるような、重い症状の場合や、具体的な原因が分からない場合は、速やかに皮膚科を訪れることをおすすめします。

子供のかゆみ1.「あせも」

汗をかく季節がやってきたとたん、子供がかゆがることが増えたと感じたら、あせもの可能性が高いですね。特に6月から9月の間に、子供の肌の悩みとしてよく耳にするのが、この「あせも」です。

このセクションでは、あせもに関する基本的な情報、その症状や原因、そしてどのように対処するかについて詳しく説明いたします。

あせもの典型的な症状

あせもの症状として、以下のように特定できる特徴があります。

  • 透明、白、あるいは赤い小さな丘疹(ブツブツのようなもの)が現れる
  • 首の辺りや脇下など特定の部位によく出現する
  • 炎症が進行すると、かゆみを伴う場合がある
  • 症状が進行すると、赤みが増して範囲が拡大することがある

あせもを引き起こす要因

あせもの主な原因は、過度な発汗によって汗管(汗を通す経路)が塞がり、正常に機能しなくなることにあります。

この汗管が詰まると、汗は外に出られず、代わりに周囲の組織に滲み出します。このため、肌に炎症が起き、かゆみ、赤み、水ぶくれの原因となります。

暑い夏は言うまでもなく、子供は大人に比べて容易に汗をかくので、冬の厚着時期も特に注意が求められます。

あせもへの効果的な対策

軽度のあせもの場合、まずは石けんやボディシャンプーを用いてしっかりと汗や汚れを洗い落とし、清潔な肌の状態を維持することが大切です。「あせもには乾燥させるべきだから保湿は不要」との認識を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、清潔にした後は、皮膚の健康をサポートするため、保湿ローションやジェルで肌の潤いを保つことも大事です。さらに、こまめに衣服を変えることや、風通しを良くして蒸れを防ぐ工夫が大切です。

もし、あせもの症状が広範囲に渡り出現したり、炎症が強くなったりする場合は、セルフケアだけでなく、早めに皮膚科での診察を受けることをおすすめします。炎症を和らげるための軟膏などが適切に処方されることがあります。

子供のかゆみ2.「乾燥」

「子供の肌は大人よりもしっとりしているのでは?」と一般的に考えられるかもしれません。しかし、子供の肌は成熟していないため、実は大人よりもきちんとした保湿の手間が必要とされます。

適切な保湿を行わないと、わずかな刺激にも敏感に反応し、強いかゆみを感じることがあります。肌が乾白くなり、ざらざらした感触を持つ、そしてあせもや虫刺されのようなものとは違う症状が現れたら、それは乾燥が原因かもしれません。

乾燥がもたらす症状

乾燥による主な症状は、次のように挙げられます。

  • 皮膚の荒れやざらつき
  • 白く粉をふきやすい
  • 継続的なかゆみ感
  • 湿疹の出現

進行すると、かゆみや湿疹だけでなく、指先のささくれや皮膚のひび割れなども生じることが考えられます。

乾燥を引き起こす要因

生後数か月後から思春期の前までの子供の皮膚は、大人のそれに比べて皮脂の生成が低く、乾燥しやすいという特性を持っています。

日常的な保湿のケアを怠ると、季節に関係なく乾燥のリスクが増加します。特に乾燥する冬の季節は注意が必要です。肌が乾燥すると、皮膚のバリア機能が弱まり、些細な刺激に対してもかゆみを起こしやすくなったり、炎症を伴ったりすることがあるのです。

乾燥肌のケア方法

乾燥からくる皮膚のバリア機能の低下を修復するためのケアが欠かせません。日常的に保湿クリームや保湿乳液を使用して、きちんとした保湿を続けることが大切です。さらに、ワセリンを薄く塗布して肌を守るアプローチも効果的です。

肌を守るためには、外的刺激の最小化も大切。体を清潔にする際、強くこするのは避け、肌に優しい製品を選択するようにしましょう。「手のひらで優しく泡立てて洗う」という方法も効果的です。

湯船に浸かるときも気をつけましょう。直後の熱湯や高温のお湯は、肌の乾燥を進行させる恐れがあるので、適切な温度での入浴がおすすめです。さらに、保湿成分を持つ入浴剤を使用して、やさしい温度設定でゆっくりとお風呂を楽しみましょう。

それにも関わらず症状が続く、もしくはかゆみが強くなる場合、アトピー性皮膚炎のリスクも考えられます。周期的に良好と悪化する症状や強いかゆみを伴う湿疹がある場合、皮膚科専門医の診断を受けることを考慮しましょう。

子供のかゆみ3.「虫による刺激」

子供たちが経験する虫の刺す痛みやかゆみは、大人でも知っているつらさです。

屋外での遊び時間が限られる子供は、「実際には虫の生息地に近づいていないのに」と驚くこともあるでしょう。だけど、お家の中にも害虫が潜んでいることがあり、それが原因であることも考えられます。

一般的に夏にはよく見られる現象ですが、冬でも暖房を使用した部屋に虫が寄ってくることがあり、その結果、虫に刺されることも無きにしも非ずです。

特徴的な症状

虫に刺されることによるかゆみや反応は、虫の種類や個人の体質によって変わってきます。たとえば、同じ場所で遊ぶ2人の子供が同じ虫に刺されても、1人は強い反応を示す一方、もう1人はそれほどのこともない場合があるのは、その個人のアレルギー反応などの違いからです。

虫の刺し傷による主な症状としては、次のようなものが挙げられます。

  • 皮膚の赤くなる部分
  • 刺された箇所が腫れて盛り上がる
  • 強烈なかゆみの発生
  • 水泡の形成・掻きむしった結果、細菌感染を招くことで化膿

たとえば蚊など、普段身近に感じる小さな虫でも、過度にかきむしると細菌感染の原因となったり、発熱やリンパ節の腫れなどの症状を引き起こすことがあります。適切なケアと注意が必要です。

原因となる虫たち

外で遊んでいる時や家の中でも、さまざまな虫たちが肌トラブルの原因になることが考えられます。特に注意したい身近な虫たちは、次のようなものが挙げられます。

  • ノミ
  • ダニ
  • ブユ(ブヨ、ブト)
  • シラミ
  • ムカデ
  • ハチ
  • アリ
  • 毛虫

例えば、ムカデが放つ毒に体が反応してしまう場合や、毛虫特有の毛がアレルギー反応の原因となり、かゆさを引き起こすこともあるのです。

どのように対応すればいい?

虫に刺された際のかゆみは、市販の薬を用いて速やかに対処することがポイントとなります。ただ、虫によっては毒を持っていたり、病原体を運んでいたりする可能性があるので、症状が強い場合や心配な場合は、迷わず皮膚科への受診を考えてください。

症状やその原因に応じて、ステロイドのクリームなどが出されることも。もし、かゆみがとても強い場合には、抗アレルギーの薬も合わせて処方されることがあります。

入浴に関しては普段通り楽しんでいいのですが、かきむしりすぎて細菌に感染してしまったり、広がる「とびひ」のような状態の場合、プールなどは避けた方が安心です。

さらに、再度の虫刺されを避けるための予防策も大切。屋外や室内での活動に応じて適切な虫よけ対策を心がけましょう。さまざまな虫よけ商品が販売されているので、ぜひ試してみる価値がありますよ。

子供のかゆみ4.「アトピー」

子供たちがかきむしり続ける様子を見ると、アトピー性皮膚炎、通称「アトピー」を思い浮かべる親御さんも少なくないかと思います。

アトピーに関する研究は日々進化しており、そのケアのアプローチも変わってきています。古い情報に囚われず、アトピーの疑念がある場合は、最新の情報を持つ皮膚科の専門医に相談し、適切なケアを受けることがとても重要です。

サインと特徴

アトピーの典型的なサインは、頻繁に現れる湿疹とそれに伴うかゆみです。乳児期や幼児期、学童期と、年齢によってその表れる症状は変わります。それぞれの時期での特徴は以下のようになります。

・乳児期 … 顔や頭部を中心に、赤い湿疹や肌の乾燥が目立つ

・幼児期、学童期 … 皮膚が乾燥し、四肢関節の内部に赤みや小さな丘疹が見られる

離乳食を始める時期には、口元や頬に湿疹が出ることがよくあります。また、幼児期や学童期には、耳の裏などの目立たない場所に湿疹や切れた部分ができることがあるので、気をつけてチェックしてください。

発症の背景

アトピーになる背後にはさまざまな要因が存在し、それは人それぞれ異なるものです。遺伝的な体質や、かゆみを悪化させる「かき壊し」の影響、そしてハウスダストやカビなどのアレルギー源が、アトピーの発症に寄与しています。

また、正しくないスキンケアがさらなる肌のトラブルを引き起こすことも。だからこそ、正確なスキンケアの方法を知り、その知識を活用して皮膚を丁寧にケアすることが重要です。

取り組むべきアプローチ

アトピーのためのアプローチとして、主に医療施設での薬物治療が行われます。症状の重さやタイプに応じて、以下のような対症治療が選択されます。

  • 外用薬を使っての皮膚の炎症の緩和
  • 内服薬による痒みのコントロール
  • 保湿クリームでの皮膚の保護バリアのサポート

家庭でのケアとしては、まずは肌の清潔さを維持し、適切な保湿を心掛けることが基本です。汚れた肌の上からのケアは、肌への負担を増やす可能性があるので、ボディソープや石けんを用いて優しく洗浄した後、保湿ケアを忘れずに行ってください。

皮膚科で受け取った薬は、自分の判断で勝手に中止することなく、指示された期間と量を守って正しく使用することが、症状を良くするための鍵です。皮膚専門の医師のアドバイスをしっかりと守り、継続的なケアを心がけることが必要です。

総括

子供が深夜に体を掻きむしってしまうのを見ると、親としては心が痛むばかりですし、子供たちも不快感や恐れを感じることでしょう。かゆみというのは大人でもなかなか我慢するのが難しいもの。子供にそのような辛さを経験させたくないですよね。

かゆみを和らげるための市販のクリームを迅速に使ったり、専門の皮膚科で正しい診断と治療を受けること、そして家庭でのケアを通して肌の状態を整えるなど、早期の介入が大切です。

この記事で触れてきた通り、かゆみを引き起こす要因は多岐にわたります。子供の具体的な症状をしっかりと観察し、必要があれば皮膚科への相談や家庭でのケアを適切に行いましょう。

更新日:投稿日:2024.03.02

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