キレイな肌になるために行うスキンケア。
スキンケアには、必須となる化粧品。

でも、時には、肌をキレイにするはずの化粧品が刺激となって、肌を傷つけることがあります。

特に、敏感肌や乾燥肌は、刺激に弱く、化粧品による悪影響を受けやすい傾向にあります。だからこそ、「少しでも安全な化粧品を使いたい」と願う方が多くおられます。

では、ここで質問です。
あなたは、化粧品の安全性を何で判断していますか?

『安全な化粧品』その判断基準は何ですか?

  • 天然由来成分を配合している化粧品を使っている
  • 合成成分を使っていない化粧品を使っている
  • オーガニック化粧品を使っている
  • 美容成分の安全性一覧サイトを参考にしている

 
このような内容で、化粧品の安全性を判断していませんか?

結論から言いますと、このような情報は化粧品の安全性とまったく関係がありません。だから、これらの情報を元に化粧品を選んでも意味がありません。

では、一体、何を元に化粧品を選べばいいのか?

それを知るためには、さきほどの判断材料が間違っている理由を知る必要があります。

あなたにとっての安全な化粧品を見いだすためにも、参考にしてください。

白斑問題から見る、美容新成分が生まれる理由

まずは、なぜ、よく目にする『安全な化粧品を選ぶ条件』が間違っているかを解説していきます。

ここでは、分かりやすいように、『ロドデノール』という原料を例に挙げて説明していきます。

ロドデノールとは、カネボウが開発した美白成分です。白斑現象を起こした元凶とされる成分です。白斑とは、皮膚の色素欠損を起こす部位ができる皮膚疾患のことです。大きな社会問題になったので記憶している方も多いのではないでしょうか。

多くの化粧品会社は、化粧品を売るために日々努力を重ねています。当たり前ですが、他社と同じ化粧品では、競争力に乏しく、販売量もたかが知れています。だから、少しでも独自の性質を持った化粧品の開発に躍起になっています。

その方法の一つが、『新成分』の開発です。

自社で開発すれば、自社の化粧品のみに配合できます。つまり、他の化粧品とは違う、唯一無二の化粧品を作ることができます。

その新成分の効果や必要性が高ければ高いほど、膨大な売り上げを確保できます。そのため美容成分を新しく開発する研究は、ある程度の規模以上の化粧品会社なら、どこもやっていることです。

そんな中、カネボウは天然の白樺(シラカバ)やメグスリノキの樹皮に含まれる4-(4-ヒドロキシフェニル)-2ブタノールという物質に注目しました。

そして、その物質から新美白成分であるロドデノールが生まれました。

天然は安全、合成は危険?

このとき、関係者はうれしかったと思います。まず、先ほども述べたように、新成分の発見なので自社化粧品のみに使える優位性。しかも、白樺(シラカバ)やメグスリノキの樹皮に含まれることで、『天然由来成分』と謳うことができます。

世の中には、「天然は安全、合成は危険」だと信じている人が多くいます。実際に、天然由来成分で作った化粧品は、「安全性が高い」というイメージを持つ人が多くいるおかげでよく売れます。

だから、天然由来成分であるロドデノール発見の喜びは、それはそれは大きかったことでしょう。

さらに、その効果は美白効果です。美白化粧品といえば、『美容液』と双璧をなす化粧品業界のドル箱です。高額でも売れるために、利益率・利益額ともに半端じゃありません。売る方としては、笑いが止まらない商品です。だから、化粧品メーカーは、ラインナップの中に必ずといっていいほど、美白化粧品と美容液を組み込みます。

このように、ロドデノールはカネボウにとって、独自美容成分、天然由来成分、美白効果の一石三鳥の美容成分だったのです。

でも、ご存じの通り、白斑問題を引き起こしました。天然由来成分であるロドデノールが、近年稀に見る大きな社会問題を引き起こしたのです。

ここまでお読みの方ならおわかりの通り、天然由来成分と化粧品の安全性は関係がありません

天然由来成分とは、あくまで天然物に由来する成分なだけで、実際に化粧品に配合されてある天然由来成分は科学の力で作られた合成成分です。

そもそも自然界には、人間にとって危険なものがあふれています。自然界が人間にとってやさしいという思い込みはエゴでしかありません。むしろ真実は逆です。自然界は人間をはじめとする生物に厳しく、それを克服したものだけが繁栄することを許されているにすぎません。

それに、天然に存在する原料が天然由来成分であるなら、”天然由来成分”好きから嫌われている鉱物油も、天然由来成分です。界面活性剤も天然由来成分です。双方とも自然界に存在する成分です。

でも、なぜか、両者は天然由来成分として扱われていません。本当に、天然由来成分の定義は、意味不明です。というか、明確に定義されていないので、販売者に都合のいい名称に過ぎないのです。

だから、天然=安全はうそです。化粧品業界を始めとする販売者たちが、わが商品を売らんがために作り上げた虚像でしかありません。

もちろん、合成=危険もうそです。オーガニック=安全もうそです。未だかつて、化粧品の中から農薬が検出された例はありません。

ちなみに、オーガニックといえば、化粧品よりも繊維業界でポピュラーに使われますが、こちらでもふつうの繊維から農薬が検出された例は過去にありません。

美容成分は安全?

次に、美容成分そのものが、「安全性が高い」と信じている人がいます。

よく、「美容成分Aは安全で、美容成分Bは危険」というように、あたかも美容成分によって危険性があるように一覧で書いてあるサイトや書籍があります。安全性危険性を判断している根拠が明記されていないものが多く、書かれていてもおよそ納得できない内容が多くあります。

そもそも化粧品の美容成分は、厚生労働省によって規制されています。その種類や配合量まで決められており、当然ですが、安全性が担保されたものしか認可されません。化粧品基準として、ここにまとめられています。

だから、厚生労働省に認可された成分は、安全性が担保されたものです。どれが安全で、どれが危険などと言うように、安全性の優劣などないのです。

とは言え、絶対に安全とも言い切れません。

ここで、再度、ロドデノールを例に話を戻します。

ロドデノールのように、厚生労働省によって認可されたにもかかわらず、白斑問題が起きてしまいました。

でも、だからと言って、美容成分に危険性の優劣があると考えるのは早計です。ロドデノールを詳しく見ていきましょう。

安全な成分のはずが、白斑発症のなぜ

ロドデノールによって、白斑が発症した割合はおよそ2%です。同じように使っていても98%の人には白斑ができませんでした。

症状も、よく見ないと白斑が分からない場合もあれば、境界がクッキリと分かるものまでさまざまでした。発症する過程でも、半数はかゆみや赤みを生じていました。

中には、かゆみや赤み、かぶれは生じたものの白斑が発生しない人もいました。発症するまでの期間は、早い場合で2ヶ月、長い場合は3年でした。

その後の経過は、このようにまとめられています。

  • 報道から半年後の2014年1月に行った全国二次調査では、担当医が 経過を観察できた1341例のうち、脱色素斑がほぼなくなった方と半 分以下になった方をあわせると34%、面積は縮小しているものの1/2 以上残る方が38%、不変の方が25%、増えている方が2% でした。
  • 全国二次調査から約1年後の2014年12月から2015年3月までの間に、 この時点でまだ通院している患者さんを対象に行った全国三次調査で は、担当医が経過を観察できた964例のうち、脱色素斑が完全に治っ たか、ほぼなくなったという方が17%, 軽快している方が65%、やや 軽快か不変の方が15%、増えている方が2% で、全体の8割の方が軽 快していることがわかりました。
  • ロドデノール含有化粧品の 安全性について
    公益社団法人 日本皮膚科学会 ロドデノール含有化粧品の安全性に関する特別委員会 2015.8.7作成(VER.7)

ここから分かることは、発症の有無は、『美容成分』どうこうではなく、『個人差』という要素が大きいということです。

ロドデノールによる被害割合は、2%。
その2%の中でも、白斑の濃さ、発症過程、発症期間、その後の経過状況が多岐に渡ります。

つまり、「万人に危険な化粧品成分はない」のと同様に、「万人に安全な化粧品成分もない」ということです。

ということは、配合されている化粧品成分で、その化粧品の安全性を判断することは不可能だといえます。

言い換えれば、どれだけ美容成分の知識を持っていたとしても、あなたにとって安全な化粧品を見つけることはできません。

こんなことを言い切ってしまうと、「ふざけるな!」と怒られてしまいそうですが、これが真実です。

化粧品の安全性を確認するためには、実際に使ってみるしかありません。

それ以外に、あなたにとって安全な化粧品を見つける方法はないのです。

ただ、今回の例に挙げたロドデノールから学べることが2つあります。あなたにとって、確実に安全な化粧品を事前に判断できませんが、肌トラブルと引き起こすリスクを回避することは可能です。

『安全な化粧品』を判断するための2つのこと

まず1つ目は、新しい美容成分に飛びつかないこと。

もちろん、カネボウも安全性のテストをして、その結果を持って厚生労働省も認可したのですが、この段階では、実は少数の人しか使用していません。

先ほど言いました通り、同じ人間でも肌の個人差は計り知れません。数十~数百程度では、その美容成分の安全成分を担保するには不十分だと言えます。かと言って、化粧品メーカーが数万人にテストする費用を捻出できるかと言えば不可能でしょう。

また、新成分そのものが悪いわけではないです。過去には、効果の高い新成分もありました。

ロドデノールは、残念な結果になりましたが、もし白斑ができなければ、美白効果を望む人たちにとっては、歓迎すべき美容成分だったと思います。

だからこそ、少し問題のある言い方ですが、だからこそ、すぐに試さずに数年は待った方が賢明です。数万~数十万の人が数年は試して問題が起きないことを確認してから使っても、けして遅くはありません。

2つ目は、体を守る機能に触れる効果を避けることです。

今回の場合だと、ロドデノールには美白効果がありました。

皮膚などの色の基となるメラニンは、出発材料であるアミノ酸のチロシンがチロシナーゼによって酸化される反応からスタートして合成されます。ロドデノールのメラニン生成抑制作用は、ロドデノールの化学構造がこのチロシンとよく似ているために起こります。つまり、ロドデノールがチロシンの代わりにチロシナーゼと結合し、その結果、チロシンがチロシナーゼと結合できないためにメラニンが合成されないことによって生じる(拮抗阻害)とされておりました。しかしながら、ロドデノールはチロシナーゼと結合するのみではなく、自らもチロシナーゼによって代謝されて、「ロドデノール代謝産物」が作られることが分かりました。

この「ロドデノール代謝産物」は、メラノサイトのチロシナーゼの働きの強さに依存して産生され、メラノサイトに対して細胞毒性を示すことが分かりました。しかしながら、一般に通常の状態でも細胞内では常に細胞毒性を呈する物質は、細胞内で起こっている数多くの代謝の過程で産生されており、我々の細胞はそれらの危険な物質を恒常的に解毒処理する能力を兼ね備えております。グルタチオン・システイン系、ファゴソーム・ライソソーム系な
どが代表的なその解毒処理システムです。したがって、細胞内で産生される「ロドデノール代謝産物」の量が、メラノサイト内で処理できる解毒能力を上回った時には、メラノサイトの元気がなくなり、そしてさらにそれらの状態が進行すると、皮膚のメラノサイトの多くが減少あるいは消失すると考えられています。その結果、メラノサイトが大幅に減少・消失すれば脱色素斑(白く色が抜けた状態)が生じることになります。
引用:ロドデノール含有化粧品の安全性について患者さんからのと質問にお答えします!Q5:どうして色が抜けるのですか?

簡単に言えば、本来、紫外線から肌を守るためにメラニンが生成されるのですが、その機能をロドデノールで騙して停止させてしまいます。

その際に、ロドデノール代謝産物が発生して、これが細胞毒性を示します。本来この毒性は体内で解読処理されるのですが、その処理速度以上にロドデノール代謝産物が発生することで白斑が生じました。

私見ですが、このような体を守る機能を停止させる行為は危険を伴うと考えます。

ロドデノールのように、人為的にその機能を封じる行為そのものが肌トラブルを増やす確率を上げるように感じます。たとえ、白斑ができずに、美白になったとしても、体は傷つき、いずれそのツケを払うときが来ると思えてなりません。

美容成分で化粧品の安全性を判断するためのまとめ

  • 新しい美容成分が配合された化粧品を使わず、美白化粧品を使わなければ、大きな肌トラブルを招く危険性をかなり軽減できる
  • 世の中に溢れる誤った美容成分の危険度で化粧品の安全度を判断してはいけない

以上の2点を頭の片隅に置いておき、化粧品選びをすることをおすすめします。