なぜ化粧品メーカーは、百貨店で高い化粧品を販売するのか?

一昔前は、百貨店で高い化粧品がガンガン売れていました。

いわゆる、『百貨店ブランド』の化粧品は、業界でも花形でした。しかし、現在は、そんなに売れていないそうです。

実際に百貨店をブラブラしてみても、メイクなどしてもらっている人は大勢いるものの、購入した紙袋を持っている人は非常に少ないです。

「百貨店は自分の肌に合う色を見てもらうところで、実際に買うのはインターネットで、格安で。」という人も少なくありません。

もちろん、例外はあると思いますが、今は、百貨店の販売そのもので利益を出している化粧品メーカーは少ないようです。

それどころか、赤字の店舗も増えてきているせいか、入れ替えも頻繁に行われているように感じます。

大阪・梅田の三越伊勢丹も業績不振で、売り場面積が半分になるし・・・。

私の知り合いも業種は違えど、百貨店からの出店要請で通常よりもかなり好条件にも関わらず、断っていました。

理由は「売れないから」です。

そう考えると不思議じゃありませんか?では、なぜ、こうまでして化粧品メーカーは、百貨店に出店するのか?

例え赤字でも、化粧品メーカーが百貨店に出店する理由

もちろんすべてではありませんが、一部の化粧品メーカーでは、自社の化粧品価値を高めるために出店している化粧品メーカーがあります。

つまり、ブランディングの一貫ですね。

(個人的には、こういったことはブランディングにならないと思いますが。)

人とは不思議なもので、『某一流百貨店でも販売されている化粧品』とか言われると、少々高くても納得してしまう方が一定数います。いわゆる『百貨店ブランドに弱い人』です。

こういった人たちをターゲットにしてる化粧品メーカーは、とりあえず有名な百貨店・デパートに、赤字覚悟で出店します。

そして、ホームページや化粧品のカタログなどに、店舗のご案内として某一流百貨店の名前を掲載します。

つまり、

百貨店で販売している = 一流百貨店に認められた化粧品

と、主張するわけですね。

すると、少々価格が高くても、売れます。

つまり、百貨店の赤字分が、化粧品の価格を上げることでペイできるどころか、利益を生みます。

最近は、百貨店でも場所の良い化粧品売り場ではなく、「あれっ、こんな目立たない片隅で化粧品を売ってるんだ」という場合もあります。

この場合は、自社の化粧品を『百貨店ブランド』として売り出すために出店している可能性が高いと思います。

本社の所在地で、価格が変わる?!

『百貨店ブランド』として売る・・・こういったことは、化粧品業界にはよくあることです。

例えば、本社が銀座にあるというのも同じ目的です。

なぜか、「化粧品メーカーと言えば銀座!」というイメージが強いようで、化粧品メーカーはやたら本社を銀座に置きたがります。

「銀座に本社のある化粧品メーカーは、一流だ!」と考える人が一定数いるからです。

本当に、銀座に本社のある化粧品メーカーもありますが、それ以上に、小さなマンションの一室に転送用の電話が置いてあるような化粧品会社もたくさんあります。

一時期、流行ったドクターズコスメなんかもそうです。本来、医師は化粧品に詳しくありません。皮膚には詳しいんですけどね。

最近は、医師も懐が寂しいのか、化粧品にすごく絡んできています。

で、これまた世の中には、「医師はすごいんだ~」と思っている人が一定数います。
このような人たちは、「普通の化粧品よりもドクターズコスメのほうがすごい」と考えるようです。

このように、世の中には、根拠なく無条件で『◯◯はすごいんだ~』と考える人が一定数います。いわゆるイメージ先行型とでもいいましょうか。

こういった方には、論理的なことよりもイメージのほうが優先します。だから、百貨店・銀座・医師など、『高級』とか『何だかすごそう』と思えるイメージとくっつけたほうがよく売れます

ターゲット以外の人からすると、頭のなかに無数の『?』が浮かぶのですが、実は、思い込みの激しい人は意外に多いんですよね。

でも、よく考えると、化粧品のCMもイメージ優先のものが多いですよね。

もしかしたら、化粧品という商材そのものにイメージ優先の傾向があるのかもしれませんね。

そういった意味では、百貨店に損をしてでも出店することはイメージを重視しているのですが、その効果によって、さらに儲かるという計算を裏でしているので非常に合理的とも言えます。

つまり、百貨店に出店するということは、イメージ重視な人に高額な化粧品を売る合理的、かつ効果的な手法ということですね。

更新日:2014.09.27投稿日:2014.09.17

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アースケア代表・化粧品開発者

井上龍弥

2000年アースケアを創業。保湿に特化したアクシリオの開発・販売を手掛ける。起業家ならではの人生観や自身の超がつく敏感肌・乾燥肌の経験談が愛用者に人気。

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