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ここ数年、美容に関心を持つ男性が増えたと思います。 男性化粧品(メンズコスメ)のCMや雑誌の特集記事、男性化粧品売り場の増加などを見ても私が化粧品業界に入った20年前には想像もできませんでした。

でも、男性化粧品(メンズコスメ)が売れているかといえば、そうでは無いようです。

男性化粧品(メンズコスメ)市場の真実

男性用の化粧品という考えは、昔からありました。私が化粧品業界に入った20年前でも、チラホラと目にしていました。実際に参入した化粧品メーカーもあったのですが、結果は散々でした。そのため当時は、「時期尚早」と、積極的に展開している企業はごく少数に限られていました。

それから時は流れて、今ではずいぶん男性が化粧品に関心を持つようになりました。『草食系男子』という造語に代表されるように、男性でありながら女性のような部分を重視する人が増えてきたようです。

では、実際に男性化粧品は売れているのか? 市場があるのか? これを探っていきましょう。

まず、男性化粧品の市場規模ですが、全体で約1000億円ほど。年間で1~2%ほど増えています。化粧品全体の市場規模は、2兆3000億円ほどです。化粧品全体の市場規模から見れば、男性化粧品の市場はわずか4.3%ということになります。

世の中、男性が約半分いることを考えると、まだまだ市場が小さいことが分かります。本来、市場というのは小さいほど伸び率が高くなります。これは当然のことで、母数が小さいことと、市場がまだまだ残っているためです。

ですが、男性化粧品の場合は、これに当てはまらず年に1~2%程度です。まだまだ小さな市場にもかかわらず、明らかに売り上げが上がらず、市場規模も停滞しています。

男性化粧品・メンズコスメの検索数を見てみると・・・

次に、Googleでの検索数を見てみましょう。

まず、『男性化粧品』というキーワード。2004年9月がピークとなっており、この時を100とすると2014年6月時点では27となっています。この10年で、なんと4分の1にまで検索数が激減しています。

『メンズコスメ』というキーワードは、2011年12月までは多少の上下はありながらも安定していましたが、ここ3年ほどは徐々に減っています。2割減というところでしょうか。

『化粧品』というビッグキーワードと比較すると、『男性化粧品』『メンズコスメ』は、1~2%程度でした。あまりに差がありすぎて、計測が難しいぐらいです。もちろん、『化粧品』というキーワードの中には、『男性化粧品』も含まれるので、差が生まれるのは当然なのですが、あまりにその差が大きすぎるように感じます。

この結果から推測するに、『男性化粧品』『メンズコスメ』というキーワードで調べる人は、どんどん減っているようです。男性用化粧品の宣伝は、確実に増えているのにも関わらず、インターネットで検索する人は減っているという不思議な現象です。

男性化粧品(メンズコスメ)が売れない理由は?

ここからは私の想像ですが、男性化粧品が売れない理由は、おそらく『男性と女性の性質の違い』だと思います。

例えば、テレビコマーシャルを見た場合・・・女性の多くは、キレイな女優が化粧品を使っていると、「自分もその人みたいになりたい」と『イメージ』が先行します。一方、男性の多くは、恰好良い俳優が化粧品を使っていても、「その効果は本当なのか?」と『性能』について考えます。これはよく言われることですが、女性は感性、男性は論理を重視するという男女が持つそれぞれのの特性だと思われます。(もちろん男女ともにこれに当てはまらない人は、当然おられます。)

この違いによって、男性はイメージだけで商品を購入しない人が多いようです。実際に私も、色々な手法を使って情報を集めます。 また、仕事でもパソコンを使っている人が女性に比べて男性の方が多く、コンピューターリテラシー(コンピューターについての知識および利用能力)が高いと思います。だから、検索を駆使して、男性用化粧品の真実に行き着いて、興味を無くすのではないかと想像しました。

もし、この記事を読むあなたが女性なら、感性だけでなく、論理も重視するタイプなのではないでしょうか。私の書くこんなマニアックなブログを読むという行為は、自発的に何かを疑問に思い、好奇心を刺激されて、その裏付けを調べるという論理的な行動となります。そういった意味では、あなたは女性と男性の特性を有している希少な存在と言えますね。

化粧品メーカーは、男性をなめていなかったか?

男性化粧品が増え始めた初期の頃、男性化粧品は非常に高額なものが多かったです。推察するに、「男だから化粧品のことなんてわからないだろう」から、イメージ先行で、「値段を上げても、買うだろう」ぐらいにメーカーは思っていたのではないでしょうか。

今から20年ほど前、まだ私が化粧品業界でサラリーマンをしている時、あるエステの経営者から教えてもらったことがあります。

その頃は、女性のエステ市場が飽和状態になりつつある時期でした。そのため、どのエステも価格を安くしたり、過剰なサービスを行ったり、日本には導入されていない美容機器を輸入したりと差別化に必死でした。

そんな中、その社長はターゲットを変える道を選びました。それまで女性メインだったのを男性専用のエステに力を入れたのです。これがバカ当りしました。

当時、女性を対象としていた頃は、一人あたりの売上は20~40万ぐらいだったところ、男性の場合は一人あたりの売上が100~200万もあったそうです。そりゃあもう、ウハウハ状態だったらしいです。

当時の男性は知識が足りないために、言いなり状態。また、当時エステに行く人は、『外見に自信のない男』=『女性に免疫がない』ために、「エステティシャンにチヤホヤされるとお金を払う男性が大半」だと言っていました。同じ男としては、否定しきれずに非常に悲しい気持ちになったことを覚えています。

この頃は、男性がエステの相場なんて知るすべはありません。女性に聞くのも、何だか格好悪いですしね。男性化粧品の値段設定も、この延長線上にあったのではないでしょうか。そういった状況の中では、この頃の男性化粧品は少々高額であったとしても、売れたのかもしれません。

ところが今は時代が変わりました。

インターネットによって、情報がどんどん入ってきます。そのためか、今、男性化粧品には安価なものが非常に増えました。男性をなめてた化粧品メーカーがやっと過ちに気づいて、適正な価格にしてきたのでしょう。これから巻き返せるかどうかは分かりませんが、現在、多くの男性化粧品ブランドは苦戦しています。

実際に、男性化粧品が売れてる系のニュースも2011年頃までは、ちょこちょこ出てましたがここ数年はぜんぜん聞かなくなりました。まぁ、市場が停滞しているので、ニュースになりようがないのかもしれませんが。

そもそも男性化粧品なんて本当は必要ないので、安くしたところで大して売れないですけどね。 少々長くなったので、男性化粧品が必要な理由や男性用化粧品市場の話は別の機会に書くことにします。どうぞ次を楽しみにお待ちください。

井上龍弥

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