メルカリなどのフリマアプリで、化粧品を買う危険性

最近では、すっかりポピュラーになった『フリマアプリ』。
フリマアプリとは、『フリーマーケット』のように、個人間売買の場を提供する『アプリ』のことです。

出品者が売りたいものの写真を撮り、値付けし、アップする。
それを見た人が、購入するという簡単な仕組みです。
出品者は販売価格の何パーセントかを手数料として、アプリ側に支払うものが多いようです。
『メルカリ』や『ラクマ』、『ショッピーズ』、『フリマノ』なんかが有名ですね。

フリマアプリ自体、「マネーロンダリングに使われる」とか、”現金”や”領収証”が売られていたり、マナーの悪い人とトラブルになったりと、色々な問題がとりざたされています。

少々の問題があったとしても、簡単に、不用品を個人間で売買できてお小遣いを稼げるのは魅力的なので、私たちにとって非常に身近な存在になりました。

それに、うまく人気商品を買う秘訣を身につければ、ほぼタダ同然で最新の商品を試し続けることができます。
これからも、まだまだ発展するサービスになるでしょう。

個人的には便利なサービスだと思うのですが、一点気がかりなことがあります。

「フリマアプリで購入する」という意味

これは、私が化粧品業界に身を置き、化粧品の企画・開発をしているからだと思うのですが、『使用済み基礎化粧品』の売買については懸念されます。

ご存知の通り、基礎化粧品は肌に直接、塗るものです。
だから、多くの人は化粧品には安全性を求めておられます。

『無添加化粧品』や『オーガニック化粧品』、『天然由来成分配合化粧品』といった分野が存在することがその証拠です。
このような化粧品が通常より安全性が高いわけではありませんが、イメージ戦略を駆使して、安全なように思わせて、今のところその手法は一定の成功を収めています。

でも、それよりも、もっと大切なことがあります。
防腐剤無添加化粧品とか、オーガニック化粧品とか、天然由来成分配合化粧品とか、実はそんなことはどうでもいいのです。

それよりも大切なのは、化粧品の『腐敗』が起こることです。

健康な肌の人でも、腐敗した化粧品を使うと、かなりの確率で肌トラブルを引き起こすでしょう。
敏感肌の方ならなおさらです。
本来、肌トラブルを改善するはずが、その原因となってしまいます。

そして、腐敗する可能性が最も高いのが『使用済み化粧品』です。
腐敗する理由は、化粧品への”菌”の侵入です。
どのような化粧品でも、開封すると同時に、空気中の菌が化粧品内部に侵入します。

つまり、使うたびに化粧品は、腐敗リスクにさらされていると言えます。
こんなことを言うと、化粧品を使うのを怖く感じるかもしれませんが事実です。

ただ、日本では化粧品を製造する際、品質保持が義務付けられています。
具体的には、開封しない場合3年間、腐敗しないだけの防腐効果が必要となります。
化粧品に使用される原料自体にも防腐剤が用いられています。
日本の決まりを守って、日本で販売されている化粧品に防腐剤が配合されていないことはありません。

一部、特殊な容器に小分けにして使い切りタイプのものがありますが、確かに化粧品を製造する段階で防腐剤を配合してないとしても、原料自体にすでに含まれているので、厳密に言うとそういった化粧品にも防腐剤は配合されています。
だから、本当の意味で防腐剤無添加化粧品なんて、存在しません。

そもそも防腐剤が肌に悪いこともありません。
単に、無理やり差別化するために作られたイメージです。
残念ながら、そういった嘘を信じている人が多いのが現状ですが。

腐敗しやすい化粧品

話を戻して、化粧品の中でも腐敗しやすいものとそうでないものがあります。

化粧品の分野でいうと、保湿系のスキンケア化粧品は危険度がアップします。
コラーゲンやヒアルロン酸など、菌が好む原料を配合してある場合が多いためです。

一方、洗浄目的の洗顔料やシャンプー、色物と呼ばれるファンデーションや口紅は使用されている原料の特性上、腐敗しにくいと言えます。

次に、形状ですが水分が多いものほど腐敗しやすい傾向にあります。
化粧水やゲルクリーム、美容液などですね。
逆に、ほぼオイルで作られているクリームのような形状は腐りにくいと言えます。

容器にも左右されます。
一番菌が侵入しやすいのは、口の大きい容器です。
そういった意味では、チューブ容器が一番安全と言えます。
逆に危険なのは、クリーム容器ですね。

さらに使い方でも変わってきます。

指を直接、容器の中に入れるタイプだと、指についている菌が化粧品の奥にも侵入することになるので腐敗しやすくなります。
クリーム類の化粧品に多い容器ですね。

このように菌の繁殖は、その化粧品の特性や容器、使い方にかなり左右されます。
また、防腐剤がどれだけの量が配合されているかでも、腐敗する確率は変わってきます。

でも、その化粧品の防腐剤の配合量なんて、化粧品を作ってる我々が見ても分かりません
完全に把握できるとすれば、自社で作ってる化粧品ぐらいです。
他社が作ってる場合、その化粧品の処方を実際に書いている人しかわからないでしょう。

このように化粧品というのは、腐敗に対して非常に不確定要素が多いものです。
そのため、我々化粧品メーカーは、保管する際は直射日光が当たらないところで、「開封後は速やかに使い切ってください」などと注意喚起をします。

使用者の使い方によって変わる品質

それでも、まれに我々の想像を超える使い方をされる人がいます。

  • 夏の炎天下、長時間、車のダッシュボードに置きっぱなしする。
  • 蓋を開けたまま何日も放置する。
  • 出した中身を再度、中に戻す。
  • 詰め替え用の容器を洗わず、古いものの上から新しいもの入れる。
  • 開封したまま2~3年経過していても、まだ使う。

このような使い方をしてしまうと、どんなに腐敗しにくい特性や容器であっても、しっかり防腐剤などを配合していても、肌トラブルを引き起こす要因になってしまいます。

このように、使用済み化粧品には、目に見えないリスクが存在します。

化粧品の品質だけではなく、以前の使用者がどのような使い方・どのような環境で保存していたかなど不確定な要素が多すぎて、化粧品内部がどのような状況になっているのか、まったく判断ができません。

どうしても使用済み化粧品を買いたい場合は、ここに書いたできるだけ腐敗リスクを参考にしてもらってもいいのですが、私の本音としては使って欲しくありません。
いくら安くても、今は肌トラブルが起きてなくても、いつか後悔する日がくると思いますので…。

どうぞ気を付けて、買い物を楽しんでください。

投稿日:2018.04.24

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アースケア代表・化粧品開発者

井上龍弥

2000年アースケアを創業。保湿に特化したアクシリオの開発・販売を手掛ける。起業家ならではの人生観や自身の超がつく敏感肌・乾燥肌の経験談が愛用者に人気。

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