敏感肌・乾燥肌に不可欠だと言われる『セラミド』。多くの化粧品に配合されています。

セラミドは、世間一般に言われるようなすごい効果を持っているのでしょうか?

敏感肌・乾燥肌の人が、セラミド配合化粧品を使う前に知っておくべき本当の効果についてお話します。

セラミド化粧品って、
乾燥肌・敏感肌に本当に効果があるの?

<目次>

  1. セラミドの効果が乾燥肌・敏感肌に最適を言われる理由
  2. 乾燥肌・敏感肌には不可欠?セラミドの効果とは
  3. ・体内における『セラミド』のポジション
    ・『ラメラ構造』による効果
    ・『細胞脂質』の働きによる効果

  4. 化粧品成分のセラミドは、体内のセラミドに吸収されて増える効果があるのか?
  5. 『化粧品成分のセラミド』は、『体内のセラミド』に吸収されて増えることはない2つの理由
  6. ・「化粧品成分のセラミドが、体内のセラミドを増やす」は薬事法違反
    ・セラミド効果の大いなる矛盾

  7. 化粧品に配合されるセラミドは、アトピー性皮膚炎を改善するほど効果があるのか?
  8. ・化粧品成分『セラミド』の効果とは
    ・アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016で検証
    ・アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008からも検証

  9. もしかして、セラミドの効果って、そんなにすごくないのでは?
  10. そもそも「すごい効果があるのはセラミドではない」という事実

セラミドの効果が乾燥肌・敏感肌に最適と言われる理由

本来、肌は適度な水分と油分によって、守られています。

しかし、外界の刺激(紫外線やホコリ、ウィルスなど)、体調不良、生まれつきの肌質などにより、水分が不足してしまい、『乾燥肌』になることがあります。

乾燥肌になると、肌が持っているバリア機能が衰え、あらゆる刺激がダイレクトに肌を傷つけます。 その結果、少しの刺激や体調不良など変化に対して過敏に反応してしまう『敏感肌』になります。

つまり、乾燥が原因となり、 肌が敏感な状態になることです。そのため、乾燥肌の方は、全員が敏感肌(乾燥性敏感肌)であるとも言えます。

乾燥性敏感肌と言うと、ちまたで効果があると言われているのが、『セラミド』です。

セラミドは、その名前と効果が有名になるにつれて、乾燥性敏感肌用の化粧品に配合されることが増えてきました。

この記事では、

数多くある化粧品成分の中でも、なぜ、セラミドがこんなにも有名になったのか?

本当に、セラミドの持つ効果は、乾燥性敏感肌を改善するのか

この2点を様々な角度から検証していきます。

乾燥肌・敏感肌には不可欠?
『セラミド』の効果とは?

セラミドの効果と言えば、『バリア効果』『保湿効果』です。

「化粧品成分のセラミドは、この2つの効果が、既存にある化粧品成分よりも効果が高い。だから、肌が乾燥してバリア効果が落ちている乾燥性敏感肌に必須の成分」

とされています。

一般的にこのように言われるには理由があります。それは、『体内にあるセラミド』がもたらす効果によるものです。

ここで、体内にあるセラミドの効果について、簡単に説明しておきます。

体内における『セラミド』のポジション

わずか0.02mmの食品用ラップと同じ厚さである角質層に、セラミドは存在しています。

そんな極薄の角質層ですが、10〜20層の角層細胞と細胞間脂質で構成されています。構成比率でいうと、角質層の90%が角層細胞。残りの10%が細胞間脂質です。

角質層にある細胞間脂質にセラミドが存在します

そして、この細胞間脂質は、セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸、コレステロール硫酸で構成されています。

構成比率でいうと、セラミド約50%、コレステロール約25%、遊離脂肪酸約21%、コレステロール硫酸約4%。細胞間脂質の約半分をセラミドは占めています。

細胞間脂質は、セラミド・遊離脂肪・コレステロールエステル・コレステロール・糖脂肪から成り立っています。

『ラメラ構造』による効果

次に、その構造を見ていきましょう。

セラミドが含まれる細胞間脂質は、『ラメラ構造』になっています。ラメラとは、『層状』という意味です。

細胞間脂質は、セラミドを始めとする体内成分によって、水分と油分が交互に層になっています。ミルフィーユを思い浮かべていただくとイメージしていただきやすいです。

ラメラ構造は、水分と油分の層が交互に重なって構成されます。

細胞間脂質の成分であるセラミド、脂肪酸、コレステロールは、それぞれが水になじみやすい親水基と、油になじみやすい親油基という特性を持っています。

この特性のおかげで、水分と油分を規則正しく並べて、緻密な層状に配置することが可能となります。用途は違うものの、界面活性剤とよく似た特性と言えます。

『細胞間脂質』の働きによる効果

次に、セラミドが含まれる細胞間脂質の役割・効果を見ていきましょう。

肌(角質層)は、『角層細胞』という細胞がたくさんくっついて構成されています。そして、角層細胞同士は、細胞間脂質によって繋ぎとめられています。簡単に言えば、接着剤のような効果ですね。

また、細胞間脂質はラメラ構造によって、外界からの刺激成分の侵入を防いでくれます。水溶性の刺激成分は油分の層が、油分の刺激物は水分の層が防いでくれます。

また、万が一、1層が突破されても、10層程の多層になっているため、次の層で防いでくれます。非常にバリア効果の高い構造と言えます。

さらに、このラメラ構造は、体内の大切な水分を逃さない働きもしています。

このように、セラミドが含まれる細胞間脂質は、私たちにとって必要不可欠な役割を果たしています。

だから、

『化粧品に配合されているセラミド』が『体内のセラミド』と接触して吸収することで『体内のセラミド』が増える

『体内のセラミド』が増えることでバリア効果や保湿効果も高まる

このように誰かに言われると、たとえ化粧品であっても、セラミドの効果に期待するのは当然でしょう。体内のセラミドと同じ効果を望む人が多いことも、納得できます。

でも、化粧品成分のセラミドに、そんな効果があるのでしょうか?

もしかしたら、ここまで読んだだけであなたは気づいてしまったかもしれませんね。セラミド効果の真実に・・・。

それでは、これからは乾燥肌・敏感肌で悩む方が期待するセラミド効果について検証していきましょう。

化粧品成分のセラミドには、
体内のセラミドに吸収されて増える効果があるのか?

体内のセラミドは、加齢とともに成分量が減少していきます。

他にも、肌のうるおいを保持する成分や水分なども、総じて減少していきますので、年齢を重ねるとともに、肌は乾燥しがちになります。そして、これが老化の原因となります。

だから、「減少するなら、化粧品で補いましょう!」という売り文句をされているセラミド入りの化粧品があります。

果たして、化粧品成分のセラミドを塗ることで、減少していく体内のセラミドが増えていくのでしょうか?

私は100%無理だと断言します。

と言ったところで、無名な私の言葉なんて信じてもらえないのは当然なので、説明しますね。

『化粧品成分のセラミド』は、『体内のセラミド』に吸収されて増えることはない
2つの理由

『化粧品成分セラミド』に『体内のセラミド』を増やす効果がない理由1
「化粧品成分のセラミドが、体内のセラミドを増やす」は薬事法違反

そもそも、この表現は薬事法違反です。薬事法とは、厚生労働省が定めた、化粧品の法律です。

「化粧品は体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で、皮膚等に塗布等するもので、作用の緩和なもの」と定義されています。

その理由は、化粧品のように毎日使うもので、健康被害が起こっては大変なことになるからです。

記憶に新しいものでは、2013年に発覚したカネボウのロドデノールによる白斑問題です。これは医薬部外品でしたので、ある程度の副作用の可能性はありましたが、その多すぎる被害人数に社会問題となりました。

ほかには、悠香の茶のしずく石けんを使用したことによるアレルギー問題など、いくつかの事例があります。こうしたことを起こさないために、化粧品にも決め事があります。

ですから、「セラミド入りの化粧品を塗るだけで、体内のセラミドに吸収されて、セラミドが増える」なんてことは、化粧品の範疇を逸脱しています。もし、セラミドにそんな効果があったら、もはや化粧品ではなく『薬品』です。

『化粧品が体内の成分を増やす』 → 真実なら、深刻な健康被害のおそれが!

※化粧品の効果に関する詳しいことは、厚生労働省のサイト(2012年版化粧品等の適正広告ガイドライン)をみてください。

化粧品工業の発展、国民生活の向上を目指して設立された『日本化粧品工業連合会』のサイト(化粧品等の適正広告ガイドライン)も詳しくて分かりやすいですから、興味のある方はぜひ読み込んでください。

本来はどんな化粧品会社であっても、化粧品の効果として、「体内のセラミドが増える」と、露骨に宣伝はできません。(一部、しているところありますが。)

ただ、体内のセラミドが増える効果があるようなイメージ画像や動画が、薬事法違反ギリギリの表現でミスリードをする広告はよくあります。

もし、本当にセラミド入り化粧品に体内のセラミドを増やす効果があれば、厚生労働省に認可されるはずです。今後、もし認可されたとしても、化粧品ではなく、医薬部外品になるでしょうね。

そういった意味でも、化粧品で体内のセラミドを増やす効果を持たせることは不可能です。

『化粧品成分セラミド』に『体内のセラミド』を増やす効果がない理由2
セラミド効果の大いなる矛盾

化粧品成分のセラミドが体内のセラミドを増やす効果があるとするなら、大きな矛盾が生じます。

セラミドの最大の特徴は、『バリア効果』と言われています。前述のとおり、体内のセラミドを含む細胞間脂質は、ラメラ構造によって優れたバリア効果を発揮しています。

バリア効果とは外部からの侵入を防ぐことです。ですから、化粧品成分のセラミドの侵入でさえも、この優れたバリア効果によって防がれてしまいます。

以前に、

セラミドは、角質層まで浸透する。つまり、細胞間脂質がある場所まで浸透する。ということは、セラミドは細胞間脂質に直接触れることになる。細胞間脂質は半分以上、セラミドでできているので親和性が高いはず。だから、セラミドが増えるのでは?

という質問をいただきました。

何となく、一理あるような気がしますが、実は全然違います。

まず、『細胞間脂質』と『セラミド』はまったく別物です。

もし、そんな単純に理屈が通用するなら、肌に鶏肉(タンパク質)をくっつければ、肌に吸収されて肌が分厚くなります。実際になるのでしょうか?爪に鶏肉を擦り付ければ、爪が伸びるのでしょうか?そんなこと有り得ないですよね。

だから、セラミドと細胞間脂質は別物なので、例えくっついても、同化することはありません。

それに、万が一、そんなことが起きたら、細胞間脂質を構築するセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸、コレステロール硫酸のバランスが崩れてしまいます。

こうした『バランスが崩れる』ことによる問題は、私自身、駆け出しのころ、化粧品を作っているときによく経験しました。

化粧品は、ちょっと配合量を間違えるだけで、ぜんぜん別の化粧品ができてしまいます。また、配合量は同じなのに、ビーカーで作ったものと1トン釜で作ったものと違うものができたりします。特に、基本となる成分をいじるとこういった現象は顕著に起きてしまいます。

細胞間脂質も同じです。

いくらセラミドが細胞間脂質の半分を占める重要な成分とは言え、セラミド単体の量が増えることは、細胞間脂質内の成分バランスを狂わせることになります。

その結果、細胞間脂質は『変質』してしまい、まったく異なる物質になってしまいます。もちろん、変質すると細胞間脂質と別物になるので、その最大の働きであったはずのバリア効果も失われます。

つまり、「化粧品成分のセラミドが外部から吸収されて、体内のセラミドが増やせる」と仮定した場合、セラミド化粧品を使うと、細胞間脂質のバリア効果が消失することになります。もちろん、こんな事例は今まで確認されていません。

もっと言うと、こんなに単純なことなら、セラミド50%・コレステロール25%・遊離脂肪酸21%・コレステロール硫酸4%を混ぜても、細胞間脂質は作れるのでしょうか?

そして、混ぜたものを角質層に注入すれば、細胞間脂質が増えて、若々しい肌になるのでしょうか?あまりにバカげた単純な論理です。

それに、化粧品成分のセラミドが体内のセラミドに吸収されるということは、細胞間脂質のバリア機能を突破していることになります。もし、セラミドが細胞間脂質を突破すると、体内にも侵入してしまいます。
セラミドが肌の奥に浸透して血中にドバドバ入ると大変です。
セラミドは油分です。
油分が血管に入ると、血管が詰まる可能性があります。

そうなると命に関わるリスクが生じてしまい、セラミドは”危険な美容成分”ということになってしまいます。当然、厚生労働省がこんな危険な成分を認可するわけがありません。セラミドが化粧品原料として認可を受けてからもう何十年も経っているということは、こうしたリスクのない”安全な美容成分”という証明と言えます。

このように、化粧品成分のセラミドが体内のセラミドを増やすと仮定すればするほど、セラミドの効果はなくなり、リスクが増大するという矛盾が生じてしまうわけです。

次に、「セラミドはすごい保湿効果がある」という主張について検証します。

化粧品に配合されるセラミドは、
アトピー性皮膚炎を改善するほど効果があるのか?

「セラミドには、すごい効果があるんだ〜だから、セラミド化粧品にもすごい効果があるんだ〜」と宣伝しているサイトにもれなく書いてあることがあります。

それは、

アトピー性皮膚炎を患っている人の体内には、セラミドが少ないという結果がある

という話です。これは、事実でしょう。エビデンスもあります。厳密にいうと、細胞間脂質が少ないことだと思いますが。

でも、セラミド化粧品を使ったところで体内のセラミドが増えないことは先ほど述べましたので、お分かりいただいたと思います。

ということは、もしこの話が真実ならば、「セラミド化粧品は、肌の上で生じた何らかの効果によってアトピー性皮膚炎が改善できる」ということになります。

では、今さらですが、化粧品成分としてのセラミド単体とその効果を見ていきましょう。

化粧品成分『セラミド』の効果とは?

セラミドは、スフィンゴ脂質の一種です。ですから、油分の一種です。

保湿効果とは、『水分が保たれた状態を生み出す効果』を指します。セラミドは油分なので、それ単体では保湿はできません。水分が含まれていないので、単に油分を塗った状態になるだけで、セラミド単体に保湿効果があるとは言えません。

そのため、セラミドを使って、保湿効果を望むなら水分が必要となります。水分を補給して、油分であるセラミドが過乾燥を防ぎ、水分が保たれます。そのため私から見ると、セラミドはただの化粧品原料で、油分に属する一成分です。

だから、化粧品成分のセラミドには、水分の蒸発を防ぐ効果があります。
あとは、外部の刺激からの保護、肌を柔らかくする効果です。一般的な油分と大差ありません。

化粧品に配合されるセラミドの効果は、水分蒸発・刺激からの保護・肌を柔らかくする。油分の働きと大差がない。

でも、セラミド効果が一般的な油分と同等では、ここまでアトピー肌に効果があると噂になるのはおかしいです。何か、噂の元があるはずです。

そこで、元となる情報を探してみました。

そして、「セラミドがアトピー肌に効果がある」という元を2つ見つけました。

『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016』で検証

アトピー性皮膚炎を患っている肌について、もっとも信頼できる『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』から検証してみましょう。

アトピー性皮膚炎診療ガイドラインは、公益社団法人日本皮膚科学会が作っています。その名の通り、アトピー性皮膚炎を診療する際の指針が書かれており、医師に対する指針なので、かなり信頼性の高いガイドラインです。

例えばここに、「セラミドを塗布することがアトピー肌の劇的改善につながる」と書かれていれば、セラミドの効果は揺るぎないものになるでしょう。

そこで、最新版である2016年に発表されたガイドラインを読んで見ました。もしよかったら、あなたも読んでください。『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2016)

どうでした?
セラミドがアトピー肌にいいという趣旨のこと、書いてました?

一カ所だけ『セラミド』という言葉を見つけたのですが、その内容は「セラミドなどの角層細胞間脂質は、バリア機能を維持するために重要であると知られている3つある要素のひとつである」というものでした。これを根拠にセラミドがアトピー肌に効果があるとすると、弱い根拠です。

さすがに、それはないだろうと思ったので、乏しい想像力を働かせて、再度、ガイドラインを読んでみました。

すると、セラミドがアトピー肌に効果的と言われている根拠として使われていそうな文面がありました。その場所は、P13とP27の外用薬について書かれているくだりです。

乾燥した皮膚への保湿外用薬(保湿剤・保 護剤)の使用は,低下した角層水分量を改善し,皮膚 バリア機能を回復させ,皮膚炎の再燃予防と痒みの抑 制につながる(CQ9:推奨度 1,エビデンスレベル: A)75)76).また,抗炎症作用のある外用薬などの治療で 皮膚炎が寛解した後にも,保湿外用薬を継続して使用 することは,寛解状態の維持に有効である77)78).保湿外 用薬による維持療法中に皮膚炎の再燃がみられた部位 には,炎症の程度に応じてステロイド外用薬やタクロ リムス外用薬などを使用し,炎症の早期の鎮静化およ び維持療法へと回帰することを目指す.一方で,保湿 外用薬の副作用としての接触皮膚炎の発生には注意が 必要であり,アトピー性皮膚炎の再燃との鑑別は重要 である.引用:13ページ『4.皮膚バリア機能の異常に対する外用療法・スキンケア』より

皮膚炎の症状のある状態に対しては,ステ ロイド外用薬と併用して保湿剤を外用することが勧め られ,皮膚炎の症状がない状態でも保湿剤を継続的に 外用することが勧められる. 推奨度:1,エビデンスレベル:A 解説:皮膚の乾燥はアトピー性皮膚炎の主症状の一 つであり,表皮のバリア機能の破綻の原因の一つであ る.保湿剤の外用が,乾燥症状の軽減とバリア機能の 改善に効果的であることは,多くの基礎研究や臨床研 究によって示されている173)~182).特に,治療によって皮 膚炎が寛解した後に保湿剤の外用を継続することは, 皮膚炎の再燃を予防し,かゆみも軽減した状態が保た れる183)184).皮膚炎症状に対しては,保湿剤単独の使用 のみではあまり効果が期待できないが,ステロイド外 用薬と併用することで,乾燥症状やかゆみが改善する のみならず,皮膚炎症状が軽快した後の寛解状態の維 持にも効果的に影響する185).また,ステロイド外用薬 に保湿外用薬を併用することでステロイド外用薬の使 用量を減少させる可能性がある186).ただし,保湿剤に よる接触皮膚炎などの有害事象が起こりうることにも 注意しなくてはならない.引用:27ページ『CQ9.アトピー性皮膚炎の治療に保湿剤外用は勧 められるか』

要約すると、

  • 保湿外用薬(保湿剤・保護剤)を使うと、アトピー肌の症状を治すとはまではいかないけど、抗炎症作用のある外用薬(ステロイド)と併用することで副作用を抑えてあり、使用頻度を減らせる
  • 治療後に使うことで、アトピーのダメージやかゆみ・痛みが軽減できる
  • でも、接触皮膚炎を起こす可能性があるから注意して

といったことが書かれています。

外用薬がアトピーに一定の効果があることは書かれているのですが、今のところ、セラミドとその効果については一切出てきません。

『アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008』からも検証

続いて、臨床医による具体的な治療に関してまとめた『アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008』から引用します。

主な保湿外用薬は、ワセリン、亜鉛華軟膏、浸水軟膏、尿素含有製剤とありますので、油分たっぷりなクリームが一般的だというところでしょうか。これは医師が処方して病院や薬局で受け取りますので、もちろん保険が効きます。

まだ、セラミドとその効果については、ぜんぜん出てきません。

そこで、この保湿外用薬をさらに調べてみました。すると、薬だけのことをいうのかと思ったらそうでありません。実際には、『保湿外用薬=保湿剤』となっていました。だから、ガイドラインにも、わざわざカッコ書きで保湿剤と書かれていたのですね。

そして、保湿剤で調べるとチラホラとセラミドの文字が。でも、特に、「セラミドが保湿剤として優れている」という記述があるわけでもないし、健康保険は効きません。

『保湿剤』を広い意味で捉えれば、保湿を目的としたすべての原料や化粧品も含まれます。その中でセラミドの存在意義が高いかと言えば、必ずしもそうとは言えません。

しかし、この章の冒頭で書いたように「アトピー性皮膚炎を患っている人の体内には、セラミドが少ないという結果がある」という事実と並べることで、あたかもセラミドに薬効並みの効果があるようにイメージづける意図を感じます。

セラミドに薬並みの効果があるのではなく、あるように見せかけているのです。見せかけだけでは、セラミドにアトピー肌を改善するような高い効果がある根拠にはなりません。

セラミドにアトピー性皮膚炎に特別な効果があるという根拠は見つからない

結局、ガイドラインからは、セラミドによるアトピー肌改善効果を立証する確たる根拠を見出すことはできませんでした。

でも、知識のない人が何となくこのような情報に触れてしまうと、「セラミドは一番効果がある。何と言ってもアトピー肌にも効果がありそうだからな」と一部の内容を曲解する危険性を感じました。

もしかして、セラミドの効果って、
そんなにすごくないのでは?

セラミドに、薬効並みの効果(ステロイドなど)があると仮定してみましょう。

もしそうなら、セラミドはすでに医療用の製剤として世に出てるはずなんですよね。

化粧品原料の中にも「これ化粧品原料にして大丈夫かよ」という成分があります。その効果は絶大、医薬品で使われているレベルで化粧品に使うとトラブルを引き起こす可能性も絶大なので、配合比率や容量によって規制されています。

だから、セラミドも化粧品で使われている既存の油溶成分と比べて絶大な保湿効果があったら、医薬品になっているはずです。そして、それがいろいろな経緯と思惑を経て、化粧品原料として降りてくるはずです。

でも、セラミドはそうじゃありません。最初から現在まで、ずっと化粧品原料です。

そこで、『製薬会社』の観点からセラミドを見てみましょう。

セラミドは『安全』なのに・・・

セラミドは化粧品原料として認められているので、安全性はかなり高いです。これは間違いありません。

セラミドだけではなく、基本的に化粧品原料は効果より安全性が重視されています。逆に、薬品は効果が重視されており、ある程度の副作用が許容されています。

もし、外部からセラミドを塗ることで、高い保湿効果を発揮して乾燥肌やアトピー肌が改善できたとしたら、こんな大きなメリットはありません。セラミドの効果と既存薬品の効果が同程度だとしても、いや半分程度でも安全性の部分でかなり優位に立てます。

特に、ステロイドの副作用を嫌う方は多いので、セラミドの効果が医薬品よりも低くても好んで使う人が多いと思います。

実際に、私のところにも「ステロイドを使わなくていい方法を教えて欲しい」「ステロイドと同程度の効果を望める方法はあるか?」という質問をたくさんいただきます。

このように、ステロイドなど既存の薬品に比べて効果はともかく、セラミドが安全である優位性は揺るぎませんから、売れることは保障されているも同然です。

安全性の観点から見て、セラミドにそこそこ効果があれば、薬品にするはずだと思います。

次に、期間と知名度の観点から見て見ましょう。

セラミドは『有名』なのに・・・

セラミドは1950年に発見されたと言われており、1980年ごろから注目され始めました。

実際に、直近10年のセラミドの検索数をGoogle Trendsで見てみましょう。

この10年で化粧品メーカーが莫大なコストをかけて有名にした美容成分であるコエンザイムQ10とアスタキサンチンで比較してみましょう。

「セラミド」が検索された回数・2008年~2018年の10年間の遷移青色の折れ線がセラミドの検索回数を表しています

ダントツの知名度と、いい感じの右上がりです。

私が化粧品業界に入った20年前から『化粧品の三大美容成分』と言われるコラーゲン・ヒアルロン酸・プラセンタには及びません。でも、現状、セラミドの化粧品原料としての知名度はベスト5に入るのではないでしょうか?

少なくともスキンケアに興味を持っている方に、「セラミドって知ってる?」と聞いて、「いや、聞いたことない」と答える人は少数だと思います。

ここまで歴史があり、知名度があるからこそ、セラミドにすごい効果があれば製薬会社が興味を示すと思います。

製薬会社は、いかに独自の薬品を開発するかがすべてです。(一部、ジェネリック薬品のように、そうでない場合もあります)薬の特許存続期間は25年なので、もし、セラミドにすごい効果があって、薬品として認められれば、25年間、その利益を独占できます。これはすごいチャンスです。製薬会社の多くは、そういった薬品数種類で利益を確保しています。

だから、笑いが止まらないほど儲かると思うんですよね。でも、今のところ、表立ったその動きは見受けられません。

先程、医薬品の特許の存続期間が25年と言いましたが、一般的な特許は20年です。なぜ医薬品だけ5年長いのかというと、安全性を確保するための試験や国の審査によって時間がかかるためです。だから、その期間を考慮して最大で5年間の延長が認められています。

つまり、それだけ医薬品の特許には手間と時間がかかります。少しでも医薬品になる可能性があるなら、効果や安全性に関するエビデンスや論文、実験結果があってもおかしくありません。論文などの引用もガンガンされているはずです。

でも、化粧品成分として、ある程度の知名度を確保したセラミドですが、研究関係では非常に静かです。もちろん、まったく研究されていないわけではないですが。

つまり、セラミドの効果というのはその程度と言えるのではないでしょうか?

実際に、化粧品に頻繁に使われるプラセンタやヒアルロン酸は医薬品になっています。

薬品として認可されていないことから、既存の化粧品原料と比べてセラミドに突出した効果がないと推察します。

そもそも「すごい効果があるのはセラミドではない」という事実

セラミドにすごい効果があるという根拠を探していて、ふと思ったのですが、よく考えると、本当にすごいのはセラミドというより、『細胞間脂質』じゃないですか?

高いバリア効果や保湿効果は、セラミドではなく細胞間脂質が有しているものです。ラメラ構造もセラミドではなく、細胞間脂質の構造により得られています。セラミドだけではなく、コレステロール、遊離脂肪酸、コレステロール硫酸が適切な割合で結びついて、はじめて成立します。

セラミド単体では、ラメラ構造を構築できません。もちろん、セラミドを配合した化粧品に、肌上にラメラ構造を構築する効果はありません。

なのに、いつの間にか、セラミド=細胞間脂質になっている気がします。細胞間脂質に含まれるセラミドの含有量が多いからなのか、理由はわかりませんが、大きな勘違いをしているのでは?

まとめてみましょう。

いつの間にか陥っている大きな勘違い

私たちが生きる上で欠かすことのできない細胞間脂質のバリア効果&保湿効果。
そして、その効果を発揮しているすばらしいラメラ構造。

 ↓

その効果は絶大で、深刻な肌トラブルであるアトピー肌にも深く関わっている。
どうやらアトピー肌は、細胞間脂質の半分を占めるセラミドが少ない特徴があるらしい。

 ↓

アトピー肌の原因がセラミドの減少なら、セラミドを塗ればいい。
何と言ってもすごいバリア効果&保湿効果をもつ細胞間脂質の半分を占めているセラミドだから。

 ↓

いつの間にか、世間では、
細胞間脂質の効果=セラミドの効果

 ↓

さらに、いつの間にか、
細胞間脂質の効果=セラミド化粧品の効果

どうですか?
あなたが信じているセラミドの高い効果は、実は細胞間脂質の有する効果が根拠になっていませんか?

もう一度言います。

セラミド単体と細胞間脂質はまったくの別ものです。万が一、体内で同化すれば、細胞間脂質が有する優れた効果は消滅します。それどころか我々の体にとって深刻なリスクをもたらします。

そして、セラミドの真の姿は、化粧品の一成分であり、一般的な油溶性成分の働きと大差ありません。ラメラ構造でもありません。このことを知った上で、化粧品を選びましょう。

この話があなたのキレイ肌作りに繋がれば、幸いです。

最後に、誤解がないようにはっきり言いますが、セラミドは、油溶成分としてはとても良い成分です。私はセラミドの効果がないと言っているわけではありません。一部の、あたかも薬効、もしくは、既存の化粧品原料よりも格段の効果があると喧伝する行為は間違いだとお話しているだけです。

誤解があってはいけませんので、セラミドの効果について検証した記事も作っています。そこでは原料としてのセラミドから見た私の見解を書いています。興味がある方は、こちら『セラミド化粧品の効果を検証してみる』も、ぜひ参考にしてください。