クリームもダメ!化粧水もダメ!
乾燥肌を改善するための水分補給とは、一体どうしたらいいのか?
乾燥肌には、油分でなく水分が必要です。
でも、水分だけを補給すると、過乾燥が起きます。
過乾燥を防ぐためには、たっぷりの水分を与えると同時に、 良質な油分によって、肌に水分を閉じ込める必要があります。
つまり、水分だけでもダメ! 油分だけでもダメ!
でも、2つを同時に与えれば、本当の保湿ができます。
ところが、私が化粧品業界に入った当時は、そういった化粧品がありませんでした。
そこで私は、たっぷりの水分を良質の油分で閉じ込めるスキンケアの開発を行うことにしました。
世の中に無かった!
保湿に特化したスキンケア化粧品
『保湿に特化した化粧品』を作るため、あらゆる研究材料を検討して試行錯誤を繰り返しました。
化粧水のように液状のもの、もう少し粘度のある乳液や美容液、さらに粘度の高いクリーム状など、それまでの形状をいろいろ試した結果、行き着いたのが、『ゲル(ジェル)』状でした。
ゲルクリームと言えば、今は当たり前にあるものですが、私が化粧品業界に入った当初は、まだまだ一般の化粧品としては認知されていないマニアックなものでした。
そのような中で私が『ゲル』状を選んだのは、このゲル状という形状が、非常に優れていて、乾燥肌の人にはうれしい特性を持っているからです。
それは、適度にヌルヌルとしているために、肌への摩擦を最小限に抑えるという点です。
ですから、乾燥によって、肌が外界の刺激に敏感になっていても、安心して使うことができるのです。
また、肌に刺激を与える可能性のある石油系の合成界面活性剤、 アルコール(エタノール)、合成着色料、合成香料を配合せずに作ることができました。
もちろんキャリーオーバー成分(配合しても表示時なくていい成分:消費者にはわからない成分)も徹底的に調べました。
とにかく安全性には徹底的にこだわりました。
私自身も率先して試作品を使いました。
実は、私は稀に見る乾燥肌です。
さらに、刺激にも弱く敏感な肌質です。
朝起きると、肌が乾燥しすぎて、顔には白い粉が吹いていて、スーツを着るとまるでフケのように肩に積もります。
ひげをそると、その刺激で肌に痛みが走り、赤く炎症を起こします。
肌が弱すぎるために、日焼けすると水ぶくれが出来て、やけどのような症状になります。
もうここ何十年も、夏の海に行ったり、日焼けはしていません。
今まで、私以上に乾燥肌のひどい人には会ったことがないほど、悲惨な肌です。
ですから、私の肌にトラブルが起きなければ、多くの人は安心して使ってもらえると考えました。
だから、まず最低限、私の肌で使えることが第一の目標でした。
さらに、化粧品の安定性を高めるために、防腐剤を2種類配合しました。
2種類の防腐剤を使用した理由は、配合量を減らすためです。
防腐剤は化粧品を腐敗させないために必要不可欠なものですが、 直接乾燥肌を改善する効果があるわけではないので配合量を少しでも減らしたかったのです。
防腐剤を2種類入れることにより、1種類だけしか配合しないより、相乗効果によって使用量を少なく出来るのです。
種類が多いと使用している量も多いと誤解される可能性もあるのですが、あえて配合量を少なくすることにこだわりました。
見た目は、防腐剤が2種類書いてあると配合量が多いように感じるのですが、実は逆です。
2つ配合してあるほうが、防腐剤の量は少ないのです。
最後に、保湿力です。 これには、最後まで苦労しました。
「十分な水分とそれを維持する適切な油分の配合比率は、どれが一番効果があるのか?」
簡単に説明すると、水分:油分の比率です。
この簡単な問いに答えを出すまでに気が遠くなる試作を繰り返しました。
50:50、60:40、70:30、80:20、90:10
実際には、これより細かい数字を追いかけたので無数のパターンが生まれます。
最終的に約80:20が、最も効果がありました。(厳密にはもっと細かい割合ですが内緒です)
偶然にも、赤ちゃんの体内に含まれている水分の割合と同じになりました。
もしかしたら、何か関係があるのかもしれませんね。
本当に苦労の連続だったのですが、そんな中、うれしい誤算もありました。
なんと、基礎化粧品がこれひとつでOKになったのです!
もちろん、私の考えでは基礎化粧品なんてたくさんいらない。
保湿さえ出来れば、ひとつでいいんだという考えはありました。
でも、当時は、その考えは非常識で、なかなか受け入れられませんでした。
そんな時、研究の過程で試作品を使っていただいた方から、 ほとんどの方が「基礎化粧品は、このゲル1つで十分だ」と言われました。
だから、化粧水や乳液、メイク下地、などがいらないのです。
この時期になると、私自身の肌を使った実験によって、かなり安全性は高まっていました。
そこで、第二段階として一般の乾燥肌で悩んでいる方を募集して、試してもらいました。
基礎化粧品がひとつでいいという事実は、お使いいただいた方に、すごく喜ばれました。
特に働いている女性や年配の方からの反響がすさまじかったです。
30代の事務職をしている女性からは、 「朝忙しいときに、何種類もの化粧品を使うのは時間がもったいない。1つで済む化粧品を探していた」と喜びのお声をいただきました。
年配の女性からは、「種類が多いと使い方もややこしく、覚えられない。1つで塗るだけだったら簡単で何も覚える必要も無い」と。
多くの方から、「スキンケアにかかる時間が少なくなることで、自分の時間が増えた。」 と、喜んでいただけました。(スキンケアに1,2時間掛けている方が意外と多かったのには、本当に驚きました。)
その他にも、多くの声を頂きました。
そして、気がつけば30回を超える試作品と2年の月日が流れ、 乾燥肌を解決する保湿に特化した基礎化粧品 『アクシリオ アクアテクトゲル』が完成しました。
多くの研究員をはじめ、試作品を快く試していただいた多くの方の協力、 挫折しそうになる私を励ましてくれた取引先の社長のみなさん、 本当に多くの方の協力があったからこそ、私もわがままを通してやってこれました。
私一人だけだったら、絶対に完成しなかったと思います。
本当に、感謝してもしきれないほどの手助けをしていただきました。
こうして、私と同じ乾燥肌でお悩みの方に自身を持ってお勧めできる化粧品ができたのですが、ひとつだけ どうしても改善できないことがありました。
正直に言います。
それは、使用感です。
特に今まで多くの基礎化粧品をたくさん使っておられる方ほど、「使用感に違和感を感じる」と言われます。
単純に、いままで何種類か使っていたものが1つになります。
だから、「物足りない」と感じる方もおられるのです。
また、石油系の合成界面活性剤を入れれば、物足りなさを無くして、使用感のよい化粧品をつくることができるのですが、それだと安全性に問題が残ります。
ですから、あえて「使用感」は無視しました。なぜなら、使用感はその人の嗜好性が強く出ます。
それまで、何を使っていたかによって、大きな差が出ます。
だから、全ての人が感じる使用感を良くすることそのものが不可能であり、あまり意味の無い行為なのです。
もし、どうしても使用感が気になる方は、1度実験をしてみてください。
今お使いになっている化粧品がありましたら、少し残しておいてください。
そして、1ヶ月だけ「アクアテクトゲル」を使ってみてください。
その後、また以前使っていた化粧品をお使いになってください。
すると、「あら、不思議!!!」 アクアテクトゲルを初めて使ったときと同じように、以前の化粧品に対して違和感を感じます。
これは、肌の感覚が慣れているかどうかだけであって、乾燥肌を改善することは、何の関係ありません。
これで乾燥肌を解決するスキンケアがやっとできると喜んでいたのですが、これで終わりではありませんでした。
他にも大きな問題があったのです。
間違った洗顔とメイク落しで
乾燥肌は作られる!
その1つが、洗顔とメイク落としです。
乾燥肌の方は、非常に肌が敏感になっています。
だから、洗顔やメイク落としもできるだけ、刺激の少ないものを使ったほうがいいのです。
でも、ここにも大きな間違いが潜んでいました。
「洗顔は、汚れをきっちり落として、キュッキュと音がするぐらいの方が肌に良い!」と誤解している人が大勢いたのです。
そもそも洗顔の目的は、汚れを落とすことです。
確かに汚れは肌にとって異物でしかないので、しっかりと落としてしまったほうがいいです。
でも、落としてはいけないものもあります。
それは、皮脂です。
なぜか、この皮脂も悪者にされていて、「きれいに落とした方が肌にいい!」と勘違いされています。
これは大きな間違いです。
皮脂は本来、肌を外界の刺激から守ってくれるものです。
また、貴重な水分の蒸発も防いでくれます。
さらに、肌をプルプルの柔らかい状態に保ってくれます。
とってもいい奴なんです。
ただ、過剰に分泌されるとニキビの原因になったりして悪影響を与えます。
ここで大切なのは、皮脂そのものが悪いのではなく、過剰に分泌されることが問題だということです。
だから、皮脂を全部落とすのではなく、過剰に分泌された分だけを落とすのがもっとも肌にいいことなのです。
泡立ちの洗顔料は、汚れがよく落ちると思ってませんか?
よくCMなどでもモコモコと泡立てて、それを手のひらに載せてひっくり返している光景を見ます。
手をひっくり返しても泡は落ちません。
それを見るたびに、思わず「だからどうした…」とつぶやいてしまいます。
世の中には、泡立ちがいいほど、汚れが良く落ちると勘違いしている方がたくさんいます。
結論から言いますが、泡立ちのよさと汚れが落ちることは関係ありません。
もちろん、安全性とも無関係です。
本来の泡立ちの目的は、クッションです。
洗顔はどうしても体をこするので、その刺激を和らげるために泡立てる処方を組んでいます。
通常の洗顔成分の多くは泡立つ性質を持っていますが、ひっくり返した手から泡が落ちないほどの効果はありません。
よく考えてみてください。手をひっくり返しても泡が落ちないっておかしいですよね。
不自然です。
ということは、無理やりそういった機能を持たせているのです。
異常な泡立ちを得るためには、強力な機能を持った石油系界面活性剤が必要不可欠なのです。
これを入れれば入れるほど、ものすごく泡立ちます。
ただ、刺激に強い健康な肌の方にはいいですが、乾燥肌の方には勧められません。肌に刺激を与える可能性があるためです。
石油系の界面活性剤が配合されている異常に泡立ちのよい洗顔料は避けたほうがいいでしょう。
また、メイク落としも問題です。
メイク落としは、その名のとおり、メイクを落とすもの。
だから、これもスッキリ落ちるものの方が良いと考えられています。
確かに、肌にとってメイクは異物以外の何物でもありません。
肌から見ると、外界のゴミと同じです。
全部落としてしまった方が肌にいいのは確実です。
そのため、強力なメイク落しを使う人が多いのです。
特に最近は、10数年前と比べて、落ちにくいメイク、くずれないファンデーションが開発されています。
こういった化粧品は、専用の強力なメイク落しでないとスッキリと落ちません。
そのため、石油系の合成界面活性剤がたっぷり含まれたメイク落しを使ってる方がたくさんいます。
乾燥肌にとっては、大敵です。
そもそも乾燥肌の方は、メイクそのものをあまりしないほうがいいです。
とは言え、女性にとってメイクをしないことは困難だと思います。
せめて、多少機能性が劣っても落ちやすいメイクを使用してください。
先ほども言いましたが、私は極度の乾燥によって肌が非常に敏感です。
- 肌が突っ張る
- その後、白い粉のようなものが吹き出てくる
- 最後は、赤くなってかゆくなる
これは、すべて私自身のことです。
通常の洗顔料を使うと、このような悲惨な状況になります。
散髪屋さんに行って、顔そりなんかしてもらうと、あごの辺りから必ず血が出てきます。
事前に、「よく血が出るので注意してください」といってるにもかかわらずです。
その後、2~3日ヒリヒリが続きます。
散髪屋さんがヘタクソなわけではありません。
私の肌が弱すぎるのです。
物心ついたときから、ずっとこの敏感肌に悩まされてきました。
男なので、「化粧品なんか使うのはかっこ悪い」と思い、見て見ぬ振りをしてきました。
スキンケアなんかしたことありませんでした。
でも、何の因果か、こうして化粧品を研究することになりました。
そして、私と同じ悩みを抱えている方(極度の敏感肌)から多くの相談を受けました。
「しっかりと洗顔・メイク落としが出来て、刺激の少ない洗顔料が欲しい」これが、私を含める極度の乾燥肌の方からの願いでした。
「洗浄力は必要以上に強くしないけど、メイクはしっかりと落とせることはできないか?」
洗浄力が強すぎると、本来、肌を外界の刺激から守ってくれる皮脂までも落とすことになります。
これは、肌にとって悪影響を及ぼします。
確かに、強い洗浄力だとスッキリして気持ちいいように感じますが、肌にとっては無防備な状態になるのです。
だから、洗浄力はあくまでも肌についた汚れや余分な皮脂を洗い流す程度にすることを決めました。
メイクに関しては、できるだけしっかりと落とせる機能を持たせることにしました。
先ほども言いましたが、本当はメイクをしない方が肌自体にはいいのです。
でも、男性ならともかく、女性はそういうわけにはいきませんよね。
特に外出する際は、紫外線から肌を守るという意味でもメイクは必要です。
だから、帰宅後はすぐにしっかりとメイクを落とすことが必要になってきます。
メイクを落とす力が弱いと肌の上に残ってしまい、肌トラブルを引き起こします。
また、メイクが落ちにくいとゴシゴシをこすって摩擦が起きて、肌に刺激を与えてしまいます。
だから、しっかりとメイクを落せるようにすることに決めました。
この他にも、この研究を進めていく中で、気づいたこともありました。
「乾燥肌の方は、できるだけ肌に刺激を与えないようにしなければならない」 ということです。
肌の刺激について、私たちは分かっているようで、意外に分かっていません。
私自身、乾燥肌に悩んでいたにもかかわらず、あまり気にしていませんでした。
例えば、洗顔方法もそうです。
それまで、私はゴシゴシと顔を洗っていました。
でも、顔をこすると、少なからず摩擦が起きます。
摩擦は、肌への刺激になります。
この刺激が肌トラブルを引き起こします。
だから、私は、「洗顔とメイク落としを一度に済ますことができないか?」と考えました。
そうすれば、洗顔をするときの刺激が半分になるのでは?という単純な発想です。
【たくさんの種類の洗顔料を使うこと】と【皮脂やメイクの汚れがしっかりと落ちること】とは別問題です。
また、私自身があれもこれも使うのは面倒くさいので、その方が便利だと感じました。
こうして、私の洗顔料作りが始まりました。
処方そのものは、そんなに難しいことではありません。
できるだけ刺激の少ない洗顔料の原料とメイク落としの原料を選び出し、それを安定して維持すればいいのです。
ただ、原料を選ぶためにひたすらテストを繰り返す必要がありました。
刺激の少ない原料で処方を組み、その後、実際に私が試す。
それで、ヒリヒリしたり、赤くなったりと刺激を感じなければ、今度はメイクをしているスタッフに試してもらう。
こう言うと簡単なようですが、実際は大変でした。
まず、私の肌が刺激を感じないというハードルが予想以上に高かったのです。
通常の人が使うと刺激の少ない原料でも、私が使うとヒリヒリします。
刺激が感じない試作がやっと出来たと思ったら、今度はメイクが落ちません。
そんなことを何十回と繰り返して、やっと洗浄力とメイクを落とす力のバランスが取れたクレンジングゲルが生まれました。
ウォータープルーフのメイクでもしっかりと落とすことが出来ます。もちろん、私自身も毎日、愛用しています。
おかげであのヒリヒリや赤くなることも、かゆくなることも無くなりました。
白い粉もこの十数年、一度も出ていません。
たまに、出張に行って忘れると、ヒリヒリ感を味わうこともありますが・・・。
本当に満足できる商品を作ることができました。
これで、洗顔、メイク落し、保湿、すべてが揃いました。
これで今度こそ、乾燥肌に効果のあるスキンケアができる!
昔から2度あることは、3度あると言います。
まだ、大きな問題が残っていました…。
悲惨!
乾燥肌はターンオーバー(代謝)が乱れている!
- 肌がくすむ
- メイクのノリが悪い
- シミ・シワが増えてきた
- 年齢を重ねるたびに、肌がゴワゴワしてきた
乾燥肌の方は、肌の機能が衰えているために、その他の肌トラブルまで引き起こします。
特に年齢を重ねると出てくるシミやくすみは、ターンオーバーが乱れてしまうことが大きな原因です。
ターンオーバーとは、肌細胞が真皮(肌の深い部分)から表皮(肌の表の部分)に 上がってきて、最後は体外に排出されることを言います。
健康な肌であれば、28日間で新しい肌に生まれ変わります。
ですから、肌表面にトラブルを抱えた肌も、28日後には、キレイな肌になるのです。
でも、残念なことに多くの方は、ターンオーバーが正常に行われていません。
つまり、28日の周期が、60日、120日、240日と、長くなっているのです。
本来、排出されるべきはずの角質がそのまま残っているため新しい角質が生まれても表皮に出ていけない。
そして、やっと表皮に出られたときには、時間がたち過ぎてすでに古い角質になっている。
その結果、常に古い角質が表皮に出てしまうという、悪循環に陥ってしまいます。
このように、本当は体外に排出されていないとダメな角質細胞がずっと肌に残っているために、シミやくすみ、ゴワゴワ肌を引き起こしてしまいます。
特に、「最近、シミやくすみが増えた。」「肌がゴワゴワして硬く感じる。」という方はターンオーバーの乱れが原因かもしれません。
保湿に特化したアクアテクトゲルを開発した当時、私は多くの方から、このような悩みをいただきました。
この頃は、アクアテクトゲルで苦労して完成した経緯もあって「保湿さえしっかりしていればどんな肌トラブルも改善できる!」というのが私の考えでした。
私自身も保湿をしっかりすることによって、シミやくすみを改善することに成功しました。
でも、それにはある程度の時間がかかります。
「できることなら、少しでも早く改善したい・・・」という切実なメールや手紙もいただきました。
また、私の想像以上にターンオーバーの乱れが深刻な方も、たくさんおられました。
私の場合、超乾燥肌で激敏感肌、肌も薄いのですが、ターンオーバーに関しては比較的マシだったようです。
そこで、私は保湿をしっかりとする以外に 「ターンオーバーを正常に戻す方法はないか?」と考えました。
そして、同業者や研究員から情報を集めた結果『ピーリング』という言葉にたどり着きました。
ピーリングとは、フルーツ酸などで肌の表皮の部分だけを溶かし強制的に新しい角質細胞に生まれ変わらせるものです。
初めてピーリングを知ったときは、驚きました。
いくら新陳代謝を強制的に促すとは言え、肌を溶かすなんて・・・。超敏感肌&激乾燥肌の私には、考えられませんでした。
でも、私は何でも自分で試さないと納得できないので 実際にいくつかのピーリング剤を取り寄せて試してみました。
ピーリングという言葉がやっと出てきたころは、一般的に売られていなくて、海外の商品や一部のエステで使われているものを取り寄せた記憶があります。
そして、実際試してみると・・・
結果は、散々なものでした。
どれを試しても、肌がヒリヒリと痛くなりました。
私は、自分の肌が弱いので、通常の使用濃度よりも、かなり薄いものを使っていました。
それでも、ヒリヒリと痛みが走り、ぬった部分が赤くなるのです。
「こんな刺激の強いものを使っても、問題にならないのか?」と疑問に思いました。
ピーリングをすると、「シミが消える」「ニキビが無くなる」というのですから、それはもう話題になりました。
このとき、私は「刺激に関する問題を解決できたんだな。」と思っていました。
なぜなら、「そのまま使えば、100%危険だ」ということは、 誰だって判断できると思っていたからです。
ブームが訪れて、数ヵ月後・・・。
私の悪い予感は的中しました。
エステでピーリングを施術した人が顔一面やけどの症状になり、顔中を包帯で覆われ、「一ヶ月間外に出て紫外線は浴びてはいけないから外出できない。」という悲痛な声が、 新聞各紙、ニュースなどで取り上げられたのです。
肌トラブルで悩み、それを解決したいと切実に願っている人に、 こんな問題を起こすなんて、あまりにもモラルがないとしか言いようがありません。
その他にも、一般ではあまり知られていない真実があります。
そもそもこのピーリングという技術は、シミやニキビを改善するものではなく、 シワを目立たなくするために開発されたものです。
簡単に言うと、シワというのは肌の表面にできた溝です。
溝は、表面と溝の高低差があればあるほど目立ちます。
この高低差を少なくすれば目立たなくなります。
だから、この高低差をなくすために、ピーリングによって高い部分を溶かして、 低い部分にあわせるという原理です。
でも、日本に入ってくるときに、ピーリングの目的は シミ・ニキビの改善に変わっていました。
これには、理由があります。
一口に女性の悩みといっても、国によって様々です。
単純に、日本と欧米の女性が感じる肌の悩みも違います。
欧米の女性が感じる肌の悩みは・・・
1位:シワ 2位:シミ
だから、そばかすとかも日本ほど嫌われません。逆にチャーミングと表現されています。
日本の女性が感じる悩みは・・・
1位:シミ 2位:ニキビ
色白は七難隠すと言われるぐらいですから・・・
だから、日本の女性の悩み1位であるシミに効果があるというふうに、変えられたのです。
変えた理由は、その方がたくさん『売れる』からです。
いつものことながら、こういうことがあると 「化粧品業界にモラルはあるのか?」と悲しくなります。
そして、このモラルのひどさが、先ほどのニュースのようなことを引き起こすのです。
もちろん、シミやニキビを改善する効果はあります。
でも、本当はシワを改善するために生まれたものです。
つまり、目的は古い角質を落とすことではなく、あくまでも肌を溶かすことなんですね。
それは、しっかりとピーリングの施術知識を持った人は、当時の日本には、わずか50名程度しかいなかったということです。
でも、施術しているエステは何千店舗とありました。
恐ろしい話です。
本来、ピーリングをするときは、施術する方の肌質を調べ、その方に合った濃度でピーリング剤を調合して使います。
まず、顔の目立たない部分で少し試して、何日か経過を観察します。そして、異常がなければ顔全体に使います。
もちろん、一度で施術は終わりません。
肌にもっともよい影響を与える濃度のピーリング剤を、数週間に1度程度行い、経過を見ながら、それを半年くらい繰り返します。
こうして、肌のターンオーバーがきちんと行われているか、濃度に問題はないか、検証していくのです。
ここまでくれば、化粧品というより、医療行為の範疇ですね。
こうして経過観察をしていかないと、私のように人より肌が薄い人の場合、肌の厚みが普通の人と同じことをしたら、確実に肌トラブルになります。
私が痛みを感じた理由は、ピーリング剤の『溶かす』という刺激とは別に、私にピーリング剤を使いこなす知識がなかったからです。
でも、当時のエステで行われていたピーリングは、肌質を調べることなく仕入れたピーリング剤をそのまま使っていたそうです。
こんな使い方をしていたら、肌トラブルが起きるのは当然ですよね。
そして、その後、ほとぼりが冷めるのを待ったかのように、 化粧品メーカー各社からピーリング化粧品が出ました。
このとき私は、「今度こそ刺激が改善しているかな?」という期待をこめて試してみました。
すると、2種類に分かれました。
- 相変わらず、ヒリヒリして赤くなるもの
- 何も起こらないもの
前者は、明らかに敏感肌の人のことを考えていない商品です。
簡単に言うと、細かく砕いた固形物が入っているのです。
その固形物が、肌の角質を除去するというのが、こういった商品の説明内容です。
でもね。
古い角質を除去することと肌を傷つけることは違うのです。
こういった商品に関しては、話になりません。
ただ、肌を痛めつけているだけです。
後者は、「ピーリングの刺激が改善したものなのかな?」と思い、研究所に持っていって調べてみました。
すると、意外な答えが…「井上さん、これはフルーツ酸が配合されているというだけです。」
一瞬、私は言われている意味が分かりませんでした。
その後、詳しく聞くと… 「つまり、確かにフルーツ酸は配合されていますが、ほんの少しだけです。 この配合量ではピーリング効果はないでしょう」
本当に、がっかりしました。
要は、見せかけだけの商品だったのです。(もちろん、試行錯誤をしながらお客様のために作っていたメーカーもあったことは事実です。 すべての化粧品メーカーがこのような考えではありません)
ピーリングという効果には確かにシミや肌のくすみ、ニキビ、ゴワゴワ肌を改善する効果があります。
でも、肌を溶かすという特性上、敏感肌の方には刺激が強くて、試せないのです。
それどころか、逆に肌を傷めてしまい、トラブルを誘発してしまいます。これでは、本末転倒です。
そこで、いつもの「なければ、自分で作る」という考えがムクムクと起き上がってきました。
「敏感肌の方でも安心して使えるピーリング剤を作れないか?」と考え 開発に取り掛かりました。
「どうにか安全に肌を溶かす方法はないか?」と考えましたが、 肌を溶かすという行為そのものが肌に刺激になるので、何ともなりません。
すぐに暗礁に乗り上げました。
頭の中にモヤがかかった状況のまま、数ヶ月が過ぎました。
そんなある日、保湿を重視した化粧品アクアテクトゲルのバージョンアップテストをしていました。
これは、秘密裏に定期的に行っています。
別に隠しているわけではありませんが、大々的に公表しているわけでもありません。
新しい原料、製造技術が年々開発されるので、それを試し、 良い成分・良い技術を導入しています。
そのテストをしている時に、ものすごくバランス(安定性)の悪いアクアテクトゲルができてしまいました。
いつもなら失敗作なので捨てるのですが、何となくそれを手の甲にたっぷり塗ってみました。
そして、その後、手の甲を軽くこすってみると、 ポロポロと消しゴムのようなカスが出てきました。
しかも、そのカスが黒っぽいのです。
早速、そのカスを調べてみると、ゲルの成分と角質でした。
これには驚きました。
通常、テストをする前は、念入りに手を洗います。(汚れをしっかり落としておかないと、正確なデータが取れないためです。)
だから、たとえカスが出ても、黒っぽくなる理由がわからないのです。
不思議に思い、早速、この黒っぽいカスを調べてみると、 なんと、アクアテクトゲルの成分と『角質』だったのです。
そこで、今度は自分の顔で試してみました。
すると、手の甲と同じように、洗顔後の顔でも黒っぽいグレーのカスがポロポロと出てきます。
この結果から、この不安定なアクアテクトゲルは、 石けんや洗顔ではとれない角質を、ポロポロと排出する特性があると分かりました。
そして、「なぜ、こんな現象が起きるのか?」と不思議に思い調べてみました。
するとゲル特有の理由を発見しました。
石油系界面活性剤を使わないゲルクリームには、ひとつの特性があります。
それは、肌に必要以上の水分が入るとあふれてくるというものです。
分かりやすく説明しますね。
まず、コップをイメージしてください。
空の状態で、水を入れていきます。
どんどん水を入れていくと、いずれコップは水で満たされ、あふれ出します。
ピーリングゲルは、その状況と同じです。
ピーリングゲルを塗り広げると、水分や有効成分が肌に浸透します。
しかし、肌に浸透できる水分量は決まっています。
肌に入りきらずにいっぱいになってあふれ出たピーリングゲルは、 その特性から、マッサージによって固まり、ポロポロになるのです。
このポロポロになった時、本来取れるべき古い角質も一緒に巻き込んでくれるのです。
思わぬところで、解決方法が見つかりました。
ゲルの特性を活かして角質を除去するので 肌を溶かす方法に比べると比較にならないほど低刺激です。
これこそ、私が理想としていたピーリング剤です。
「これで完成したも同然だ!」と喜んでいたのですが・・・そうは問屋が卸しません。
考えてみてください。
これは、失敗作なんです。
安定性が悪いのです。
安定性が悪いということは、品質が悪いということに繋がります。
内容物が変質しやすかったり、分離したり、 色が変わったりする可能性が高いということです。
その結果、作るたびに違うものができます。
このようなレベルの低い商品を出すわけには行きません。
でも、安定性が悪くないとピーリング効果は期待できません。
完全に、ジレンマです。
あっちを立てれば、こっちが立たず状態です。
「不安定なものをしっかり安定させてつくる」 なんだか訳のわからないテーマです。
いつもながら、壁にぶつかりました。
でも、これまたいつものことながら、根気よくコツコツと試作と検証を繰り返すしかありません。
気が遠くなるほどの試作と、打ち合わせを繰り返しました。
煮詰まったときは、「こんなに苦労して作って、お客様に使っていただけるのだろうか?」 「よく考えたら、健康な肌の方は普通のピーリング剤を使うだろう。敏感肌でピーリング剤を使いたい方ってそんなにいるんだろうか?」と不安になったこともありました。
こんな時は、お客様からいただいたメールを見て、励まされたものです。
そんなことを繰り返しながら、半年ほど経過して、やっと完成しました。
使ってみると、ポロポロと消しゴムのカスのようなものが出てきます。
しかし、製品としては、きちんと安定しています。
抜き取りテスト(作ったものを色々な所で保管し、安定性などをテストするもの)をしても 分離や変質は起きません。
私をはじめ敏感肌でお悩みの方に試していただいても、ヒリヒリしたり赤くなったりすることはありません。
肌を溶かすという発想を捨てたおかげで、毎日でもピーリングを行うことができます。
(使用頻度は、2~3日に一回くらいが目安です)
また、「使ってもらえるかな?」と不安に思っていたのですが、実際に発売すると、お客様の60%以上に愛用していただきました。
敏感肌でありながらターンオーバーが正常じゃない方がこんなにも多いことも驚きのひとつでした。
お使いいただいたお客様からのお声をいただく度に、「本当に諦めずに最後までやり遂げてよかった~!」と心の底から思います。
本当に製造者冥利に尽きます。
もし、あなたが・・・
- 肌がくすむ
- メイクのノリが悪い
- シミが増えてきた
- 年齢を重ねるたびに、肌がゴワゴワしてきた
そして、敏感肌で悩んでおられましたら、ぜひご使用ください。
こうして、今度こそ本当に乾燥肌を改善するスキンケアが完成しました。
保湿に特化したゲルクリームであるアクアテクトゲル。
肌に必要な皮脂は落とさずに、メイクをしっかり落とすダブルクレンジングゲル。
肌を溶かさない安全性の高いピーリングゲル。
このわずか3アイテムだけでOKです。
他には何もいりません。
もし、あなたが「よし、本当の保湿スキンケアをしてみよう!」と思ったなら、ぜひお使いください。
とは言え、いくら今まで10万人を越える乾燥肌に悩む方たちが使ってきたと言っても、無名の化粧品を使うのは不安でしょう。
そこで今回は、お得な「スキンケアお試しセット」をご用意しました。
私の提案があなたの役に立つことを心から願っています。
更新日:2018.10.02投稿日:2013.07.10