数年前から、美容ドリンクがブームですね。
『コラーゲンドリンク』から『ヒアルロン酸ドリンク』、最近は、『プラセンタ』までドリンクになりましたね。どれも体内にあり、美容を維持するために必要な栄養素ではありますが、加齢と共に減少していきます。
「少なくなったら摂ればいい」という単純な発想の元、今では美容ドリンクはずいぶんと定着しました。
美容ドリンクが本当に効果があるかどうかは議論の分かれるところですが、今回はそこではなく、「そもそも本当に美容成分が含まれているのか?」にスポットを当てたいと思います。
当社のお客さんからも美容ドリンクの要望が多くいただくため、一応、研究・開発を続けています。(今は、思うような原材料が集まらないため、中断しておりますが。)
今回は、その中から、コラーゲンやヒアルロン酸と共に人気の高い、『プラセンタエキス』配合の美容ドリンクを題材にします。
プラセンタとは?
プラセンタとは、別名:胎盤エキスとも呼ばれる通り、私たちヒトや哺乳類の赤ちゃんが生まれる際に子宮の中で形成される母体と赤ちゃんをつなぐ器官です。
プラセンタには、美白、美肌、アンチエイジング、アトピー性皮膚炎・花粉症の症状の改善、疲労回復など、さまざまな効能があると言われています。また、プラセンタをはじめとする『効果があるとされる美容成分を組み合わせた美容ドリンクもあり、その種類や容量、メーカーは多種多様です。
今、これら美容ドリンクの競争は激化の一途をたどり、ついには美容成分の配合量競争に発展しています。
プラセンタドリンクとは?
世の中にたくさんある美容ドリンク。最近は、『プラセンタエキス』が大量に配合されたドリンクのインターネット広告をよく見かけるようになりました。某ショッピングモールでも、1本200円程度の安価ということもあり、かなり売れているようです。
売れているのはいいことなんですが、私にはいくつか不思議なことがあります。某ショッピングモールにある売れ筋ランキング上位の某ドリンクの説明文には、こう書かれています。
50gの中に、30,000mg以上のプラセンタ配合
まず、プラセンタドリンクの説明に使われている単位が紛らわしいですよね。通常、こういった説明をする場合は、お客さんに分かりやすいように単位を合わせるべきです。今回の場合だと、gかmgに統一するのが普通です。
正しくは、「50gの中に、30g以上のプラセンタ配合」もしくは、「50,000mgの中に、30,000mg以上のプラセンタ配合」となります。
そうすれば分かりやすいですよね。
なのに、なぜ、こんな分かりにくいことをするのでしょうか?
こんなややこしい表示をする理由は、ただ一つ。「プラセンタがたくさん入っているように思わせたい」からです。
単位については、意外に苦手な(知らない)人が多いです。うちのスタッフでも、数学が苦手で、はるか昔に覚えた単位について知らない場合が多々あります。一般の方ならなおさらでしょう。
だから、何となく数字を見て、雰囲気で「多い」と感じます。それを利用しているわけですね。
全体量が50gに対して、30,000mgと書いてあったら、単位より数字の桁数に目が行きます。その結果、本来の含有量よりもたくさんのプラセンタが入っているように錯覚するんですよね。
1g=1,000mg
今回の例の場合だと、『全部で50gのドリンク中、30g以上がプラセンタ』ということになります。覚えておいてください。
まぁ、この手法は、プラセンタだけじゃなく、コラーゲンやヒアルロン酸などのドリンクや錠剤でも一般的によく使われています。
次に、有効成分の含有量です。
今回の場合だと、プラセンタドリンクに含まれるプラセンタの量ですね。一般的に、美容成分の含有量が多ければ多いほど、効果が高いと認知されています。ですから、「どうせ買うなら、効果があるとされる美容成分(プラセンタ)が多いものを選ぶわ」という方は、非常に多いと思います。
例えば、同じ価格で・・・
A:プラセンタ10,000mg入りドリンク
B:プラセンタ30,000mg入りドリンク
この2つが同じ売り場に並んでいた時、味やドリンクメーカーの好き嫌いがあるとしても、『B』を選ぶ方が大半だと思います。
実際に、これまでは私自身も、ドリンクを買うときは美容成分が少しでもたくさん含まれているものを選んでいました。特に最近は、どんな商品も似通っていて、他に「これ」といった選択基準もありませんしね。ついつい、書いてあることを鵜呑みにして買ってしまいます。
しかし、私は自社の美容ドリンクを作るにあたり、さまざまなことを調べました。だから、このプラセンタドリンクの広告を見た時、まず、疑問に思ったのです。
「果たして、こんなにたくさんのプラセンタや美容成分を配合して、ドリンクの形状(液状)になるのか?」と。
実は、プラセンタの本当の原液というのは、ドロドロしていて、とても液状とは呼べないものです。ですから、効果は高いとされるものの、扱いにくい成分です。そんなドロドロしたプラセンタを半分以上配合して、ゴクゴク飲めるドリンクの形状を維持できるとは到底思えません。
その時、「何か裏がありそうだな~」と、ピンときました。過去に、化粧品でもこれと同じような疑問のわく商品がありました。そのからくりは、『化粧品選びの7つのポイント』という冊子でもお話しした化粧品の『原液』についてです。
簡単に説明すると、『原液を水で薄めたもの(=水溶液、と呼ばれる)』を、あたかも『100%原液』であるように思わせて、販売するという手法です。
例えば、『100g中3%ヒアルロン酸Na配合』と説明している化粧品があるとします。そのまま解釈すると、これは、『100gの化粧品中、3gがヒアルロン酸Na』で構成された化粧品です。でも、実際はそうではありません。巧妙なからくりが存在するのです。
そのからくりとは・・・
配合されているのは、【ヒアルロン酸Na原液】ではなく、ヒアルロン酸Naが1%と水が99%の【ヒアルロン酸Na1%水溶液】を3g配合しているに過ぎませんでした。
この場合、実際のヒアルロン酸Naの配合量は全体量100gに対して、わずか0.03gですね。たぶん、3gのヒアルロン酸Naが配合されていると勘違いして使っている方がたくさんいると思います。
まぁ、嘘だとは言い切れませんが、意図的に勘違いさせようとしているのだとしか思えません。これって、ほぼ騙しだと思いませんか?
世の中の原液と名がつく商品には、よくこの手法が使われています。
そんな事例がありましたので、興味と今後のドリンク開発の参考のために、今回もしっかりと調べてみました。
すると、悪い意味で予想通りの結果になりました・・・。
調査結果は、『プラセンタドリンク驚きの中身!配合成分を徹底比較』をご覧ください。
また、プラセンタはドリンクだけでなく、化粧品にも配合されています。肌に塗ることで、プラセンタの効果が肌に発揮されることが期待されています。でも、これにも大きな誤解があります。気になる方は、『プラセンタ原液で、本当に肌は潤うのか?』も読んでみてください。
投稿日:2013.10.18