表面が潤って見えても、触れると肌のゴワつきが感じられる場合、「インナードライ」の可能性があります。自身の肌質を正しく理解せずにいると、肌の問題が解消されにくいものです。インナードライがどのように発生するのかを把握し、適切なケアを行いましょう。
インナードライとは?
インナードライは、肌が外側からは皮脂によって潤っているように感じられる一方で、内部が乾燥している状態のことを指します。
表面がオイリーに見えてベタつくインナードライの肌は、オイリー肌に見える特徴がありますが、それと完全に一致するわけではなく、純粋な乾燥肌とも異なります。
インナードライの肌が示す特徴は以下の通りです。これらが複数当てはまる場合、肌の乾燥は表面的ではなく、内部に問題があるかもしれません。
- 肌がテカテカしてベタつく
- ベースメイクの定着が悪く、時間が経つと崩れやすい
- 肌が部分的にカサつく
- 肌のキメが荒い
- 肌が堅く、ゴワゴワしている
- 化粧水や乳液が肌に馴染みにくい
- 洗顔後すぐに肌が引きつる感じがする
インナードライの主な原因
水分と皮脂のバランスが良好な肌は、ベタつきや乾燥の感じがなく、ふっくらと柔らかいのが一般的です。しかし、何らかの理由でこのバランスが崩れ、知らず知らずのうちに肌の内部乾燥が進行してしまいます。
次に、インナードライを引き起こす主な原因について見ていきましょう。
紫外線
インナードライの一因として最初に思い浮かぶのは、紫外線の影響でしょう。太陽の光が含む紫外線は、肌にストレスを与えるのです。
紫外線に長時間さらされると、肌の水分保持能力が低下し、乾燥が促進されることがあります。肌の内側の乾燥を予防するには、常日頃からの紫外線対策が重要となります。
空調
また、空気の乾燥もインナードライの要因の一つです。
冷暖房が効いた快適な環境でも、低湿度が長く続けば、肌の内部まで乾燥が進んでしまうのです。年間を通して、家庭や職場での乾燥対策は欠かせません。
誤ったスキンケア
意外と知られていないのが、正しいと思われていたスキンケアが、実はインナードライの原因になっているケースです。たとえば、「肌が皮脂でベタつくからといって乳液やクリームを避ける」などというのは、実は大きな間違いです。
これら油分を含む乳液やクリームは、肌の水分を閉じ込めるために不可欠です。それを避けてしまうと、化粧水の保湿成分が失われ、結果的に肌を乾燥させてしまうのです。
肌が光る、ベタつくのは、常にオイリー肌のせいではないのです。保護のため、皮脂が過剰に生成されている場合もあるのです。スキンケアの方法に誤りがないか、改めて確認してみることをお勧めします。
睡眠の不足
睡眠の不足はインナードライの原因ともなります。連続する睡眠不足は肌のターンオーバーを乱し、それが肌荒れを引き起こし、結果的に乾燥へとつながる可能性があるので、警戒が必要です。
ターンオーバーは、「成長ホルモン」という睡眠時に下垂体から放出されるホルモンの作用によって支えられているとされています。質の良い睡眠をとることで、このホルモンが活性化し、細胞の修復が促され、肌の状態が改善されるのです。
しかし、睡眠が不十分な状態が続くと、成長ホルモンの分泌不足に陥り、それによって肌の水分バランスが崩れる危険性が出てきます。肌の乾燥が進行すると、皮脂の過剰な分泌に繋がり、インナードライの状態を引き起こしやすくなるため、注意が求められます。
インナードライ対策とスキンケアの要点
このセクションでは、インナードライに対する効果的なスキンケアの要点をお伝えします。
体質に起因する要素も影響しますが、インナードライは日々の適切なスキンケアによって、改善の見込みがあります。生活習慣に留意し、肌の内部の潤いを保つための工夫を心がけましょう。
洗顔は摩擦を避け、泡で優しく洗う
インナードライの方には、洗顔の手法に特別な配慮が必要です。洗顔剤や石けんをたっぷり泡立て、汚れを優しく取り除くことが大切です。
皮脂を過度に取り除くと、肌の乾燥を促進するため、強くこするような洗顔は避けるべきです。肌にストレスをかけないよう、泡をクッションに見立てて洗うことをおすすめします。内側から外側へと、円を描くように泡を優しく動かすことで、汚れや皮脂が効果的に落とせます。
洗顔の際の時間は20~30秒を目処に、肌の潤いを保ちながら丁寧に行うことが肝心です。小鼻周りなど細部の洗浄を忘れず、迅速に洗顔を完了することが重要ですが、泡を洗い流す際には充分な時間を確保し、丁寧にすすぐことも忘れないでください。
スキンケアによる保湿の重要性
インナードライの肌は、うるおいを維持するために確実な保湿が不可欠です。
化粧水のみでのケアを避け、乳液やクリームを使用して肌に必要な油分を補給することが大切です。うるおいを閉じ込めることで、水分と油分のバランスを保ち、皮脂の過剰な分泌を防ぐことができるでしょう。
肌がべたつく感じや重さが気になる人は、乳液やクリームは少量を使用し、丁寧に伸ばすと良いですね。軽いテクスチャーのスキンケア製品の使用も効果的です。
基本となるスキンケアの詳しい手順については、以下の記事を参照してください。インナードライ肌の適切なケアにも役立ちます。
「基本は5ステップ!スキンケアの正しい手順をマスターしよう」
日常の保湿ケアを忘れずに
インナードライが気になる方にとって、日中のスキンケアも重要なポイントです。日差しの強い紫外線やオフィスのエアコンなど、日々の生活で肌を乾燥させる要素がたくさんあります。朝と夜のケアだけでなく、日中の保湿も重視しなければなりません。
昼間は、ミストタイプの化粧水を携帯し、定期的に肌の保湿を行うと良いですね。ミストならば、どこにいても簡単にスキンケアが可能です。
通常、保湿はメイクを落とした後に行いますが、メイクの上から使用可能な製品もあります。その場合、メイクの上からでも化粧水が利用できます。ただし、直接スプレーすると肌になじみにくいので、皮脂を取る紙で押さえた後、ミストを吹きかけ、軽くパッティングすると効果的です。
特にエアコンが効いている時期には室内が乾燥しやすいため、肌の乾燥やメイクの崩れを感じたら、積極的に保湿ケアを行うよう心がけましょう。
ライフスタイルの改善を考える
以前お話したように、睡眠不足はインナードライの一因となります。適切なスキンケアでしっかり保湿しても、不十分な睡眠は続くと肌が荒れやすく、水分が内部から失われてしまいます。だからこそ、スキンケアと並行して、生活習慣の見直しも必要です。
良質な睡眠は、細胞の修復を助け、皮膚の再生サイクルを正常に保つために不可欠です。深い眠りにつくために、睡眠の質を改善する努力をしましょう。
寝る前に徐々に照明を落とすと、安眠に移行しやすくなります。スマホやテレビの視聴は脳を活性化させ、入眠を妨げるため、早めにスクリーンタイムを終了することが賢明です。
また、入浴して体を温めるのも睡眠導入に効果的です。体温が下降すると自然と眠気が誘発され、より深い睡眠につながります。
ストレス管理にも留意が必要です。職場の問題や人間関係の悩みによるストレスは、睡眠の質を低下させる可能性があります。ストレス解消法を見つけ、ストレスを溜め込まないように意識しましょう。
総括
肌のベタつきや光沢に悩み、自分はオイリー肌ではないかと感じている人は少なくないでしょう。しかし、その実、肌が内部から乾燥している場合も考えられます。もし今回挙げた特徴にピンと来たなら、それはインナードライの可能性があります。
インナードライに対処するには、確実な保湿が重要です。スキンケアはもちろん、日々のライフスタイルの見直しも行い、水分と油分のバランスを整えた健康的な肌を手に入れましょう。
更新日:投稿日:2024.03.02