ビニール肌の間違いと正しい改善法!化粧品開発者が本音を語る

 
ビニール肌とは、一見、肌がツヤツヤで健康そうに見えるのですが、実はその裏で、肌トラブルを抱えている状態です。
その原因は、「角質が薄くなること」だと言われています。
私は、この中に間違いが紛れていると感じています。

この間違いを見抜かない限り、ビニール肌は改善しません。
そこで、今回は、ビニール肌の間違いと正しい改善法をお届けします。

    本記事を読むと…

  • ビニール肌の間違いと本当の原因がわかる
  • ビニール肌の正しい改善法がわかる
  • ビニール肌にスキンケアを行うタイミングがわかる

私は、20年前に美容業界に入り、化粧品の製造、開発研究、販売、美容師へのセミナー講師、OEM(化粧品ブランドの企画、開発、委受託製造)など化粧品にまつわるあらゆる経験をしてきました。

また、2001年には、それまでの美容に関する経験を活かして、自社ブランドの化粧品を開発して、今まで10万人を超える乾燥肌の方に使っていただきました。
現在も愛用者の方たちと協力して、スキンケアの知識と経験を積み重ねています。

今回は、これまでの化粧品、スキンケアの経験を元に説明していきます。

『ビニール肌』という肌状態は、どのような状態を指すのか、決まった定義はありません。

そこで、インターネットで検索すると出てくる『ビニール肌』の記事を読んだところ、「角質(層)が薄くなること」が一般的な見解でした。
でも、「ビニール肌の原因である、角質が薄い状態」に間違いが紛れています。
角質が薄くなるには、大きく分けると2つの現象があります。

ビニール肌の角質が薄い理由①
一番外側の角質がはがれる

単純に外界の刺激や肌の乾燥状態の悪化によって、表皮の一番外側である”角質(層)”を構成する『角質細胞』がはがれしまいます。
当然ですが、はがれてしまうと角質は薄くなります。

そして、上の層がはがれ落ちることで、下の層が表面に出てくることになります。
まだまだ成熟前であった『未熟な角質細胞』が露出してしまうことで、過敏な肌状態になり、ヒリヒリとした痛みを感じやすくなります。
ターンオーバーも乱れることになるので、常に未熟な角質細胞が露出する状態が続きます。

ビニール肌の角質が薄い理由②
生まれつき角質層が薄い

角質細胞は、“層”になっています。
この層は、年齢や部位によって変わります。
また、個人差もあります。

角質が薄いと、水分の保持量も少なくなり、皮脂の分泌も少ないので、バリア機能が低く、乾燥状態になりがちです。
誰もに共通する部位でいうと目の周りは角質層の薄い部分です。

ビニール肌の角質が薄い理由別の改善法

このように、一口に「角質が薄い」といっても2種類の原因があります。
それぞれの原因を正しく把握して、それに合った改善法を行う必要があります。

一番外側の角質がはがれて、角質が薄いビニール肌の改善法

本来、肌を守るために必要な角質がはがれている場合、肌を守る機能がほぼ無いといっていいでしょう。
だから、肌の刺激になることは、一切止めましょう。

外出時は、油分が配合されたクリームを塗りましょう。
本当は、外出は避けたいところですが、日常生活を送るためには仕方ありません。

角質がはがれた肌は刺激だけではなく、乾燥にも弱くなります。
乾燥しがちな冬場や風の強い日は、肌が乾燥します。
だから、油分を皮脂の代わりにして、肌を守りましょう。

日中に外出するなら、季節を問わず、日焼け止めを塗りましょう。
例え、時間帯が朝早くても夕方でも太陽が出ている限り、紫外線を浴びています。
冬も同じです。
特に冬は、雪が降ったら注意してください。
雪の照り返しによる紫外線は、非常に強力です。

また、口元や頬がビニール肌の場合は、ストールやマフラーを巻くことで風による刺激を軽減することも効果的です。
あまり意識されていないのですが、風って肌に良くないんですよね。
特に、冷暖房や冬の乾燥した空気は大敵です。
このように可能な限り、肌への刺激をカットしてください。

最後に、
ビニール肌改善法として、「刺激の少ない化粧品に変える」ことがよく推奨されますが、これは間違いです。
化粧品開発者が「化粧品を変えるのは間違い」なんて違和感があるかもしれませんが、私の本音です。

角質がはがれている肌は多くの場合、炎症を引き起こしやすい状態です。
この状態で新しい化粧品を使い始めるべきではないですし、ましてや化粧品を使ったところで、さほど効果はありません。
化粧品が作用すべき角質がはがれているのですから当然です。

できるとすれば、先ほども言いましたが、肌を保護するために、油分が配合されたクリームを使うことが効果的です。
まずは、炎症を抑えることが一番大切なことです。

生まれつき角質が薄いビニール肌改善法

人の角質層には個人差があります。
年齢によっても変わります。
部位によっても違います。

角質層の数に関しては、1998年に東北大学で発表された『ヒト身体各部位における角層の層数と機能の解析』の中に記述があります。

肌の角質層の数を300例調査した平均値

通常の肌の角質層は14層。
角質層が薄い目の周りで8層。
角質層が厚い足の裏で50層。
もっとも角質層が多いかかとで、100層。

角質層の少ない人で10層程度です。
角質層が少ないと、当然、角質は薄くなります。
ちなみに、赤ちゃんの角質層の数は大人の半分です。
もちろん、もっと角質は薄くなります。

では、この肌状態がビニール肌なのかと言われれば、そうではありません。
赤ちゃんが全員、ビニール肌ってわけではないですよね。
生まれつき角質層が薄い肌をビニール肌と呼ぶのは間違いです。

ただ、ビニール肌ではないですが、乾燥肌になる可能性は高くなります。
角質の層が少ない人は、肌中の水分の量が少なく、皮脂の分泌も減ります。
そのためバリア機能が衰え乾燥肌になります。

乾燥肌になると、顔の部位によっては皮脂の分泌が増えます。
皮脂の分泌が増えることでツヤツヤ肌に見えるときがあるので、このことを指しているのかもしれません。
でも、これはビニール肌ではなく、ただの脂性肌です。

脂性肌は肌の乾燥が原因です。
つまり、現在行っているスキンケアで保湿ができていないということです。
だから、これまでのスキンケアを見直して、もっと保湿に特化したスキンケアを行いましょう。

正しい『ビニール肌』とは?

このように、ビニール肌を角質層の薄さで決めることは、間違いです。
あくまでも、角質が薄くなり、皮脂によるバリア機能が弱い状態がビニール肌だと認識しましょう。

また、『ツヤツヤ肌』と言われていることにも違和感があります。
これは表現の仕方に間違いがあると思います。

角質がはがれることで、肌が乾燥状態になります。
乾燥状態になると、肌は刺激に弱くなります。
すると、肌を守るためにいつも以上に皮脂を分泌します。
そのため、肌表面は皮脂でベトベトになります。
この状態をツヤツヤと言ってるのですが、正しくはベトベトです。

角質の薄い部分ほど、水分量が少ないためにこの現象は起きやすくなります

キメがないというのも語弊があります。
キメがないのではなく、肌が炎症を起こしているため、肌が腫れあがって盛り上がりキメが隠れているだけです。
肌の腫れと表面に油分が分泌されていることでテカリます。

だから、角質の薄い部位で皮脂の分泌が多い部分がビニール肌になりやすいと言えます。
顔でいうと、頬ですね。
実際に、ビニール肌の画像を見ても、頬の写真が多かったです。

ビニール肌の画像には、通常の肌との比較写真がたくさん掲載されていましたが、ツヤツヤ感を出すために、いろいろ工夫されていました。
ビニール肌の写真の拡大率を落としたり、わざと光を当てて光らしたりと。。。

そのため実際のビニール肌を見ると、写真とずいぶん違うと思います。
一番近いイメージは、冬の風が強い寒い日に長時間出ていると、頬が赤くカサカサになります。
その後、何もせずに放置していると、皮脂が分泌されてテカテカになります。
子供が雪遊びした後、こんな状態になります。

その状態が、一番、ビニール肌という現象に近いと思います。

正しいビニール肌改善法

つまり、正しいビニール肌とは、角質の薄い状態をいうのではなく、何らかの状態で角質がはがれて炎症を起こしている状態です。
だから、基本的には、ビニール肌への刺激を一切与えないのが、もっとも効果的な改善法です。

できれば、メイクを止めて、外出を避けて、家の中でもできるだけ日光に当たらないほうが良いでしょう。
この時は、スキンケアを控えましょう。

どうしても乾燥状態でヒリヒリする場合は、油分の入ったクリームを塗りましょう。
間違っても化粧水は使わないでください。
化粧水は98%水なので、確実にしみて痛くなります。
また、油分がほぼ入ってないので、肌を守る効果もありません。
使うだけ損です。

ビニール肌には、刺激を与えないことが一番です。
通常なら、それで炎症は収まっていくでしょう。
もし、炎症が続く場合やクリーム使用の際にも痛みを感じるなら、クリームの使用をやめたほうが良いでしょう。
肌に傷がついた状態でも、普通はクリームを塗ってもしみることはありません。
にもかかわらず、痛みを感じる場合は、肌の炎症がかなり進んでいる可能性が高く、ビニール肌どころではない可能性が高いので、皮膚科で治療することをおすすめします。

ビニール肌にセラミドクリームは使ってはいけない

クリームというと、最近はセラミドクリームが有名です。
角質層に存在するセラミドと化粧品に配合されているセラミドが直接接触することで、体内のセラミドは増えたり、すごい美肌効果があるように語られていますが、現状ではそのような事実はありません。

むしろ、セラミドに関する実験内容を調べてみると、いろいろ矛盾点や肌に刺激を与える疑いがあります。
ビニール肌は、肌が非常に無防備な状態なので、セラミドクリームは避けましょう。

油分が配合された通常のクリームでOKです。

ビニール肌にスキンケアを行うタイミング判別法

ビニール肌にクリームを塗ると、肌の痛みが治まり、症状が軽減します。
そこで、あなたが美肌を手に入れるために大切なことがあります。

それは、あなたのスキンケアを見直すことです。
先ほど、化粧品を使ってはいけないと言いましたが、ビニール肌に痛みを感じる場合は、まだ早い状態です。

ビニール肌に水分がついても痛みを感じなければ、スキンケアを再開しても問題ありません。
痛みを感じないということは、ある程度、角質が正常化している証拠です。

そもそもビニール肌になったということは、2つの可能性が考えられます。

ひとつは、『ビニール肌の原因となるスキンケアを行った』ということです。
その場合は、今まで行っていたスキンケアを止めましょう。

もうひとつは、あなたの肌が、『ひどい乾燥状態にある』ということです。
肌が乾燥してると、角質を守る力が弱く、またビニール肌に苦しむことになります。

だから、しっかり保湿を行いましょう。

ただ、保湿にも『効果のある保湿』と『効果のない保湿』があります。
『効果のない保湿』をいくら頑張っても保湿はできません。

それどころか、効果のない保湿は、ビニール肌の原因になる可能性があります。
だから、『効果のある保湿』を行ってください

『効果のある保湿』と『効果のない保湿』をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

投稿日:2019.02.28

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アースケア代表・化粧品開発者

井上龍弥

2000年アースケアを創業。保湿に特化したアクシリオの開発・販売を手掛ける。起業家ならではの人生観や自身の超がつく敏感肌・乾燥肌の経験談が愛用者に人気。

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