『ノンケミカル』と呼ばれる日焼け止めがあります。

以前は聞きなれない言葉でしたが、ここ10年ほどで、世の中にもずいぶん浸透したようです。なんとなく肌に良さそうなイメージがある言葉ですよね。

実際に、多くの人がノンケミカルの日焼け止めを好んで使用しています。

特に、敏感肌の人は、あえて「ノンケミカル」であることを基準に日焼け止めを選ぶことも多いです。

でも、そうやって選んだ、敏感肌の方から、

「ノンケミカルの日焼け止めだったのに、肌にブツブツが出始めました」

「ノンケミカルなら安心だと思っていたのに、肌荒れがします」

というような声も伺います。

これはなぜでしょうか?

そもそも『ノンケミカルの日焼け止め』とはどういう日焼け止めなのか、考えてみましょう。

『ノンケミカル』ってどういう意味?

辞書でひいてみると、こんなふうに書いてありました。

ノンケミカルとは
人工的な化学合成を用いないこと。または、そのような物質のこと。(三省堂・デイリー 新語辞典)

日焼け止めに関して言うと、一般的に、使用されている紫外線カット剤の種類によって、次のように呼び名が変わります。

ケミカルノンケミカル
紫外線吸収剤』を使用した日焼け止め紫外線散乱剤』を使用した日焼け止め

 
紫外線吸収剤』とは、1つ目の誤解「SPF30以上の日焼け止めを使っていませんか?」の中で言った「SPFを上げるために使うある種の紫外線カット成分」のことです。

すでにお話したとおり、肌の上で化学反応を起こすため、特に敏感肌・乾燥肌にとっては刺激になりやすい成分です。

一方、『紫外線散乱剤(ノンケミカル)』は、その名の通り、受けた紫外線を外側へ散乱させてブロックし、肌を紫外線から守ります。

確かに『紫外線吸収剤』と比べて刺激が少ないため、敏感肌・乾燥肌用の日焼け止めによく使われています。ですから、「敏感肌にはノンケミカルの日焼け止めがよい」と言われます。

でも、本当でしょうか?

本当にノンケミカルの日焼け止めは敏感肌にいいのでしょうか?

そもそも、この「ケミカル」「ノンケミカル」という分類に、私は疑問を感じます。

『ノンケミカル』の不思議

ノンケミカルとは、「ケミカルではない」という意味です。

ケミカルとは、化学物質全般を指す言葉です。

ですから、ノンケミカルの本当の意味は、「化学物質を使わない」ということです。

では、ノンケミカルの日焼け止めに使われる「『紫外線散乱剤』は化学合成なしに作られるのか?」というとそんなことはありません。

『紫外線散乱剤』も化学合成で作られる成分です。

つまり、どちらも立派にケミカル(化学合成成分)なのに、吸収剤は『ケミカル』で、散乱剤は『ノンケミカル』なのです。

どうしてこんなおかしな分け方が生まれたのでしょうか?

ケミカルとノンケミカルの違い

おそらく、いつの間にか世の中に広まっている「化学的なものは悪いもの」「天然のものはいいもの」というイメージのせいではないかと思います。

現在、化粧品業界は『ナチュラル』志向です。その証拠に『天然』『無添加』『自然派』『オーガニック』と名のつく化粧品がたくさんあります。なぜ、このような言葉が世の中にあふれているのでしょうか?

化粧品業界の中にいる者として、こんなことをいうのは不自然かもしれませんが・・・簡単に言うと、「そう言ったほうが商品を売りやすいから」です。特に最近は、環境や自然に対する意識の高い方が増えています。

そういった方たちに買ってもらう(悪い言い方をすれば、つけいる)ためには、『無添加』とか『天然』 は本当に便利な言葉です。

『ノンケミカル』もそういった言葉のひとつです。

たとえ化学合成した成分を使用していても、『ノンケミカル』という言葉だけで、なんだか肌によさそうな、高い安全性をイメージさせることができます。

だから、化粧品でいわれるノンケミカルという言葉は、本当の意味とはまったく違うものです。

また、このように、あたかも安全性の高い成分とされている『紫外線散乱剤』には、あまり語られないデメリットがあります。それは・・・

あまり語られない
『ノンケミカル(紫外線散乱剤)』のデメリット

まず、『白くなりやすいこと』です。

紫外線散乱剤自体が白い粉状の成分なので、そのまま日焼け止めに配合すると真っ白になります。そのため、肌に塗ると、いわゆる『白浮き』が起こりやすくなります。

また、『はがれやすい』というデメリットもあります。

これも粉状であることが影響しています。

『紫外線吸収剤』は、油溶性であるため、肌なじみがよく、クリームや乳液ともなじみやすい特性を持っています。そのため、伸びがよく、使い勝手や使用感のいい日焼け止めによく使用されています。

これに比べて、粉状の『紫外線散乱剤』は、はがれやすく、水や汗で落ちやすいため、こまめな塗り直しが必要となります。

吸収剤散乱剤
【油溶性】肌なじみがよい・落ちにくい【粉状】白浮きしやすい・はがれやすい

 

さらに、一番のデメリットは、『酸化しやすい』という点です。

酸化した散乱剤が肌にくっつくと、シミやシワを作ったり、ニキビを悪化させたりして肌トラブルを引き起こします。

最近は、『肌老化』『光老化』と呼ばれて注目されている現象なので、ご存知の方も多いと思います。

雑誌やインターネットなどで日焼け止めを特集している記事を見ると、「紫外線吸収剤と比べて肌に刺激が少ないため、敏感肌の方は紫外線散乱剤の日焼け止めを使いましょう」ということがよく書かれています。

もちろん『紫外線吸収剤』よりも肌に刺激が少ないのは事実です。

でも、あくまでも紫外線吸収剤との比較であり、『紫外線散乱剤』にも『活性酸素』を発生させやすいなどのデメリットがあることはほとんど語られません。

日焼け止め選びのポイント3
『紫外線散乱剤』にも酸化するデメリットがあるため、『ノンケミカル』だから安心とは考えない

『紫外線散乱剤』は、優秀な紫外線カット成分です。

でも、良いことばかりではありません。

自分の肌を守るためには、『ノンケミカル』というような耳触りのいい言葉で判断するのではなく、実際に肌に対してどんな働きや影響があるのかを、しっかり吟味することが大切です。

そもそも本当の意味で『ノンケミカル』で日焼け止めを作ることは不可能です。

 

さて、最近は『高機能』を謳う日焼け止めがたくさん販売されるようになってきました。

なかでも人気なのが、『美白効果』があるといわれる日焼け止めです。

紫外線カットと美白が一度にできるなら、とても便利で嬉しい商品です。

でも、本当に『美白効果』があるのでしょうか?その真相は、今すぐこちらをクリック!