暑くて汗ばむ時期に、強烈なかゆみを伴う『あせも』が顔を出すことは、多くの人が経験しているでしょう。この「あせも」は、大量の汗と肌の炎症が組み合わさり、発疹(プツプツ)が形成される現象を指します。あせもの発生を阻止するには、正確に保湿し、皮膚の防護機能を維持することが肝心です。
今回、「あせも対策って具体的にどうすれば?」と思っている方へ、正しい保湿の手法や様々な保湿アイテムに関して説明いたします。
あせもを避けるための、保湿の正確なステップ
あせものリスクを低減させるためには、きれいな肌を保持しつつ、十分なうるおいを補給することが重要となります。特に、お風呂上がりにはきちんと保湿を実践することが必須となります。暑さで汗を大量にかく季節でも、日常的にちゃんと保湿を心がけてください。
この部分では、あせも予防をサポートするための保湿のステップをご案内いたします。
肌を清潔に維持するための方法
保湿の前段階として、やはり体の清潔さを確保することが不可欠です。外出から帰った際は、汗を残したままにしないよう、早めにシャワーを利用して清潔にしてください。
汗を取り除く際に、肌に強く摩擦を与えることは、皮膚の防護機能を減少させるリスクがあるため、控えるようにしましょう。防護機能が弱まると、逆にあせもが出やすくなることがあります。体を洗うときには、よく泡立てた石けんやボディウォッシュを使って、優しく洗ってください。
外出中でシャワーをとれない際には、タオルやボディペーパーなどを使用して、こまめに汗を拭き取ることがおすすめです。
汗をかくのは、私たちの体が温度を調節する際の自然な反応なので、過度にその反応を避ける必要はありません。とはいえ、あせもの予防として、「汗を長時間放置しない」を心掛け、日常の中で肌をきれいに保ち続けることが大切です。
シャワーを浴びたあと、保湿クリームでしっかりケア
シャワーを使って汗や汚れを洗い落とした後、肌には保湿クリームでのお手入れが必要です。保湿クリームやローションには、肌の水分をしっかりと補給してくれるものや、水分の蒸散を阻止してくれる種類が揃っています。これらの製品を用いて肌をしっかりと潤すことで、皮膚のバリア機能をサポートし、あせもを予防する土壌を作ることができます。
バスタイムの後、速やかに肌に潤いを与えることが重要です。実は、入浴した直後から肌の水分はじわじわと失われてしまうのです。保湿クリームやローションは、脱衣所に置いておき、すぐに手が届くようにしておくと良いでしょう。
保湿製品には、ローションやクリームのような異なるテクスチャーがあり、各製品の感触や効果にはバリエーションがあります。自分の肌質に合った、使い心地の良いものを選びましょう。高い保湿力を持つものや、伸びの良いものなど、用途や部位に応じて選ぶことも大切です。
特に季節の変わり目や体調の変動時には、肌のバリア機能が弱くなりがち。そんな時期は、特に丁寧な保湿ケアを意識してみてください。
あせも対策にピッタリの保湿製品の選び方
ローションやワセリン、クリームといったさまざまな保湿製品が市場に溢れており、「どれを選べばよいのか」と迷ってしまう方も少なくありません。全てが保湿を目的とするものではありますが、感触や効果はそれぞれに違いがあるので、自分の肌の状態や好みに合わせて選ぶことが鍵となります。
次に、各製品の特徴や選び方のポイントを詳しくお伝えします。
保湿ローションの特徴
保湿ローションは、さっぱりとした使い心地の製品で、暑くジメジメした夏の季節でも、使いやすく、肌にベタつきを感じにくいのが特徴です。広い範囲にもスムーズに塗布できるので、全身ケアにもおすすめです。
ローションは、肌の水分をしっかりと補給する役割があり、高い保湿効果が期待できます。ただ、ローションだけの使用で長時間の潤いを保つのは難しいため、油分を多く含むクリームやワセリンとの併用がおすすめです。
また、敏感な肌を持つ方や、肌に炎症を感じる方は、使用する際には注意が必要です。肌の状態をよく観察し、適切なケアを心がけてください。
ジェルの魅力
ジェルはその名の通り、ゼリーのような感触の保湿アイテムとして知られています。肌に触れると、まるで水分を感じるような爽やかな変化を見せ、乾いた肌にしっかりと水分を届けてくれるのです。特にジェルは、肌への密着感が高く、体のどの部分にも使用しやすいというメリットがあります。また、水系のジェルならば、ベタつきを気にすることも少なくなりますね。
しかし、ジェル単体での使用では、ものによっては十分な保湿力を感じられないことも。そんな時は、クリームを上から重ねて塗るという方法を試してみてはいかがでしょうか。
クリームの特色
クリームは、水分と油分が絶妙に混ざり合った保湿アイテムです。ローションに比べてコクがありながらも、ワセリンよりはさっぱりとした塗り心地が楽しめます。ワセリンに比べてベタつきにくく、なめらかに伸びるため、一年中手放せないアイテムとして多くの人に愛されています。
ただ、患部や炎症が起きている場所には控えた方が無難です。また、各商品には独自の成分が配合されているため、自分の肌質や好みに応じて選ぶことが大切です。お肌との相性を大切に、最適なアイテムを見つけましょう。
ワセリンの力
ワセリンは、主に油脂から作られる保湿アイテムとして知られています。ただし、ワセリン自体が保湿成分としての効果を持つわけではなく、以下のような特性から保湿アイテムとして選ばれることが多いのです。
- 肌の上に油のヴェールを作り、水分の蒸発を抑える。
- この油のヴェールが、外部からの刺激を防ぎ肌を保護する役割を果たす。
ワセリンが作り出すこの油のヴェールは、水分を閉じ込め、肌を柔らかく保ってくれます。その高い保湿性と、ほとんどの人に刺激を与えない優れた特性が魅力。一方で、塗る量によっては少しベタつきを感じることもあるかもしれません。ただ、肌の保湿という観点では、ワセリンだけでは水分を供給することは難しいため、先に水分を補給するためのローションや化粧水を使用し、その後ワセリンを重ねて使用することで、より効果的な保湿が期待できますよ。
あせも対処法:できてしまったらどうする?
あせもが発生してしまうこともありますが、肌をきれいに保ち様子を観察するのが大切です。軽いあせもであれば、清潔に保つことで何日かで自然に回復することが多いです。
特に、小さく透明なプツプツの「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」がある場合は、基本的なスキンケアを続けることで改善されます。あせもの予防としては保湿が効果的ですが、あせもが発生した後も保湿を怠らないようにしましょう。
あせもに対する保湿以外の効果的な方法
あせもを防ぐための対策は保湿だけではありません。日常的に取り組める様々なあせも対策を紹介しますので、実践できるものがあれば試してみてください。
通気性と吸水性に優れた服装の選び方
肌に触れる服は、通気性や吸水性が良いものを選ぶことが重要です。例として、木綿のような吸水性に優れた素材や、速乾性のあるファブリックが挙げられます。
汗をかいた状態が続くと、あせものリスクが高まります。汗をかいたら、なるべく早くお風呂やシャワーで洗い流すことが理想ですが、常にそれが可能なわけではありません。特に外出時には、長時間同じ衣服を着続ける必要があるかもしれません。そんなときは、汗をすぐに吸収し、肌をサラサラに保つ素材の下着や衣類を選ぶと良いでしょう。
また、寝具選びにおいても通気性や吸水性を重視することが大切です。夏場などは寝ている間にも汗をかくため、着替えができない睡眠中は、吸水性に優れた敷き布団や敷きパッドを使うと快適に過ごせます。
暑さと湿度から身を守る工夫
夏の暑さで汗をたらすのは自然なことですが、あせもを避けるためには、連続して大量の汗をかかないよう心掛けることが肝心です。特に、暑くて湿度の高い時間帯の外出は、なるべく避けてみてはいかがでしょうか。
お子さんとのお散歩や公園デート、買い出しなどは、直射日光が強くなる時間よりも、涼やかな時を選んで計画すると良いでしょう。どうしても蒸し暑い時間に外出する場合は、十分な水分を取ること、汗を拭き取るためのタオルや、予備の下着の持参を忘れずに。
そして、家での過ごし方にも工夫が必要です。部屋の気温や湿度を適切に保つことで、あせもを予防しましょう。風通しの良い、涼しい場所を作ることが大事です。エアコンを使う場合、適切な温度設定に注意し、体を過度に冷やさないようにしましょう。
あせもが治らないとき、皮膚科への相談を
もし、数日たってもあせもの症状が改善されないなら、迷わず皮膚科に相談しましょう。あせもは多くの人が経験する、一見ありふれた肌のトラブルですが、それを過小評価することはできません。
特に、赤くなっているあせもは注意が必要です。「水晶様汗疹」や、赤く炎症を起こしている「紅色汗疹」など、あせもにはいくつかの種類があります。
紅色汗疹は、赤いプツプツができてかゆみが強くなるのが一般的で、炎症が長く続くことも。かゆさのあまり、肌を引っかいてしまうと、さらなる感染のリスクが増大します。特に、「とびひ」という状態になると、自宅でのケアだけでは対応が難しくなります。あせもを甘く見ないで、必要であれば専門家の意見を求めることが大切です。
最後に
汗を大量にかくことが続くと、あせものリスクが高まります。その痒みや不快感を避けるためにも、湿度の高い時期でも、しっかりとした汗のケアと、保湿を心がけたいものです。
保湿する際、重要なのは「正しい方法での保湿」と「肌質に合わせた保湿製品の選択」です。ローションやジェル、クリーム、ワセリンなど、それぞれの特徴や使用感を理解して、適切にケアをしましょう。日常生活の中で、適切な時間に外出をしたり、こまめに汗をとることで、皮膚の健康を維持するよう努力しましょう。
更新日:投稿日:2024.03.02