寒い冬が過ぎ、春が訪れると、ヒリヒリした肌や小さな発疹に悩まされる人が目につくようになります。
この時期の肌トラブルの原因は一体何なのでしょうか。
本稿では、春の特有の肌荒れの理由とその解決策を紐解いていきます。
肌の不調に苦しんでいる方は、ぜひ参考にしてください。
春に起こる肌荒れ、その多彩な症状
春には特に肌荒れしやすいものですが、その症状は人それぞれでしょう。
春特有の肌荒れの典型的な表れをご紹介します。
かゆみを感じる
肌荒れの症状の一つであるかゆみには、ヒスタミンという神経メディエーターが関係しています。
これは、肌が何らかの刺激に反応して分泌されるものです。
かゆみを伴う場合、肌を擦るのは絶対に避けましょう。
それによってかゆみが増し、炎症の原因を作り出すことになってしまいます。
肌の赤み
肌荒れで赤みが出るのはよくあることです。
この赤みや腫れは、肌の下にある微細血管の拡大が原因です。
刺激により肌に炎症が発生している可能性が高いです。
肌の乾燥
肌の乾燥が進行すると、カサカサした肌質になることがあります。
角質層がはがれたり、粉を吹いたような状態になるのは、正常な肌の更新プロセスが行われていないからです。
このような状態が持続すると、皮膚の防御力が弱まり、乾燥はさらに悪化する傾向があります。
発疹やニキビ
発疹やニキビの出現も、肌荒れの兆候の一つです。
再発しやすく治りにくいニキビは特に厄介ですが、原因は肌のターンオーバーのサイクルの乱れにあります。
春の肌荒れ 原因は「バリア機能の衰え」
春に多くの人が経験する肌荒れ。
そこには一つの共通した原因が潜んでいます。
それは肌の保護機能、つまりバリア機能が弱まることです。
肌の保護メカニズム:バリア機能
私たちの肌には、外部のさまざまな刺激から守るバリア機能が存在します。
この重要なバリアを形成するのは、肌の最も外側を覆う僅か0.02mmの角質層です。
角層は、内部の水分や脂質が外に出てしまうのを防ぎ、肌の潤いを維持します。
この強固なバリアのお蔭で、肌はうるおいに満ちています。
バリア機能は湿度を保持し水分を保つことに加え、花粉や細菌の侵入を阻止し、乾燥や紫外線などの外的刺激から私たちの体を護る役割も果たしています。
バリア機能の弱体化による敏感肌の発生
角質層に保持される水分や脂質が減少すると、角層の細胞が乱れ隙間が生じます。
その結果、隙間からアレルゲンなどが侵入し、肌は刺激に対して脆弱になります。
春に肌トラブルが増えるのは、このようなバリア機能の低下により、肌が刺激に対して敏感になるためです。
冬の乾燥はバリア機能の低下の引き金
冬場は、空気の乾燥が肌の水分を奪い、結果としてバリア機能が衰えることがしばしば見受けられます。
春が来ると、それに加えて季節固有の刺激要因が働くため、肌のヒリヒリ感や発疹、赤みといったトラブルが顕著になる傾向があります。
バリア機能の衰えた肌に刺激をあたえるもの
春の季節がもたらす肌荒れのもととなるものには、何があるでしょうか?
肌に刺激を与える様々な要素を見ていきましょう。
花粉と黄砂
春の時期、花粉や黄砂のようなアレルゲンが空気中に多く存在します。
これらが弱ったバリア機能を持つ肌に付着すると、アレルギー反応を引き起こして肌トラブルの一因となり得ます。
花粉は、鼻水やくしゃみ、目のかゆみをもたらす「花粉症」の主な原因として知られていますが、肌荒れと花粉の間の関連性はあまり認識されていません。
しかし花粉由来の「花粉皮膚炎」と呼ばれる症状があり、肌のかゆみや赤みを伴うことで、花粉が肌荒れに影響を及ぼすことが示されています。
紫外線の影響
乾燥し、バリア機能が低下している肌は紫外線にも敏感です。
特に2月後半から紫外線量が増加することから、紫外線の影響を受けると肌の乾燥は進み、皮膚のバリア機能が一段と弱まってしまいます。
ティッシュやマスクの肌への影響
ティッシュやマスクの使用も、肌には刺激となることがあります。
花粉症の症状で鼻をかむ回数が増えると、ティッシュが肌に摩擦を与え、肌荒れを誘発する場合があります。
マスクによる直接的な摩擦もまた、肌を荒らす一因です。
ストレスがもたらす肌トラブル
春は新しい生活が始まる時期であり、人事異動や引っ越しなどでストレスが増えがちです。
このストレスがホルモンバランスを崩し、それが肌荒れを招く場合があります。
春の肌トラブルに優しいケア方法
春の肌トラブルを防ぐためには、乾燥や刺激を避けることが鍵となります。
春によくある肌トラブルに悩まされている方々は、次に挙げる対策を試してみてはいかがでしょうか。
徹底した保湿を
乾燥が原因で皮膚のバリアが弱まると、肌はより敏感になります。
入浴や洗顔の直後には迅速に保湿を行い、肌の水分を閉じ込め保護しましょう。
アレルゲンの接触を避ける
花粉や黄砂といったアレルゲンとの接触を避けることも、肌ケアの一環です。
花粉の防ぎ方としては、マスクや眼鏡、サングラスを活用することに加え、花粉が着きにくい服装を選ぶことも有効です。
自宅に入る前には、衣服についた花粉を落とすのも忘れずに。
屋内への持ち込みを防ぎましょう。
また、黄砂に関してはその微細な粒子が市販マスクでは防ぎにくいのが現状です。
黄砂の多い日は外出を控えるのが賢明です。
空気清浄器を使用し、それが花粉や黄砂に対応しているモデルであれば更に効果的です。
外出から戻った際には、早めの洗顔で付着物を取り除きましょう。
事前に予報サイトなどを利用し、花粉や黄砂の情報をチェックするのも一つの対策法です。
紫外線から肌を守る
紫外線対策も忘れずに行いましょう。
外出の際は
・日焼け止めクリームを塗布する
・適切な帽子や日傘を利用する
・UVカット機能のあるサングラスを選ぶ
といった方法で、お肌を紫外線から保護してください。
肌触りの良いマスクを選ぶ
マスクが肌に擦れて刺激になる場合は、肌に優しい材質のマスクに切り替えてみてください。
化学繊維製のマスクが原因で肌荒れを経験している場合は、自然素材のマスクに変更することを推奨します。また、ガーゼをマスクと肌の間に挟むことで、肌への摩擦を軽減できます。
鼻の周囲の皮膚をワセリンで守る
鼻のかみ過ぎで荒れがちな鼻周りには、ワセリンを塗布して保護するのが有効です。
柔らかいティッシュを使用することで、摩擦からくる刺激も和らげることも可能です。
栄養バランスの取れた食生活を心がける
健康な肌のためには、内側からのスキンケアも不可欠です。
栄養バランスの取れた食事を心掛け、毎食しっかりと摂るようにしてください。
肌を美しく保つためには、食べ物から得られる栄養が不可欠です。
特に乾燥肌に悩む方は、以下に挙げる栄養素を食事に積極的に取り入れることを推奨します。
【たんぱく質:】
細胞を構成する上で不可欠なたんぱく質は、肉や魚、豆製品、卵などに豊富に含まれており、皮膚のターンオーバーを助けます。
【ビタミンB2:】
エネルギーの代謝に関連するビタミンB2は、肌の新陳代謝を促進する効果があります。
疲れを感じたり口内炎ができやすい人には特に重要な栄養素で、レバーや納豆、アーモンド、卵から摂ることができます。
【ビタミンB6:】
ビタミンB6もまた、肌の新陳代謝を促し、皮脂の分泌調整に役立ちます。
ビタミンB6は、豚肉や鶏の胸肉、マグロ、カツオに含まれています。
【ビタミンC:】
ビタミンCはコラーゲンの産生を助ける成分であり、柑橘系果物やいちご、キウイフルーツ、野菜にも多く含まれています。
これらは皮膚細胞の健康を支える働きをします。
お風呂でリラックスする時間を持つ
ストレスは肌荒れを引き起こす原因になることがあるので、リラックスは重要です。
お風呂で湯船にゆったりと時間をかけて浸かることで、心も体もリラックスできます。
シャワーだけで済ませがちな方は、お風呂に入ることを習慣にしてみるとよいでしょう。
睡眠の質を上げる
肌の健康を維持するためには、十分な睡眠を確保することが肝心です。
睡眠は、成長ホルモンの分泌を促し、細胞の再生に重要な役割を果たします。
成長ホルモンの分泌は睡眠後3時間以内が最も活発で、肌の修復作業は夜の22時から2時の間に集中していると言われています。
肌荒れを感じた時は早寝を心がけ、夜更かしを避けましょう。
春の肌ケアに重要なこと
荒れた肌を防ぐためには、丁寧なスキンケアが重要です。
以下に、その要点をお教えします。
敏感肌向けのスキンケア商品を選ぶ
肌のバリア機能が弱っているときには、スキンケア商品も刺激になり得ます。
なるべく肌に優しい敏感肌専用のアイテムを選ぶことが肝心です。
しかし、敏感肌用の製品だからといって、自分の肌に合うかどうかはまた違う話になるので注意が必要です。
敏感肌専用のスキンケア商品は刺激が少なく設計されていますが、万人に合致する訳ではないので、試供品などで試用した上で肌の反応を見たうえで利用するようにしましょう。
肌への摩擦や熱いお湯を避ける
肌を強くこすり洗いするとダメージを受け、バリア機能が損なわれることがあります。
肌を洗う際は、慎重に行うようにしましょう。
特に、洗顔時やタオルで拭く時、スキンケア製品を塗布する時など、無意識に肌を擦ってしまうことがあるので注意が必要です。
熱いお湯での洗顔は、必要な皮脂を除去しすぎる可能性があるため、肌の健康を保つためにもぬるま湯でも洗顔をお勧めします。
まとめ
冬の寒さで肌が乾燥し、皮膚の防御機能が衰えてしまった状態で春の特有の刺激が加わると、肌のトラブルを起こすリスクが高まります。
保湿ケアをしっかりと行い、刺激を避ける工夫が必要になります。
花粉や黄砂、紫外線への対応をし、ストレスを溜め込まないよう努めることも大切です。
必要があれば、ティッシュやマスクの素材を肌に優しいものへと切り替えも検討しましょう。
また、肌に余計な負担をかけないよう敏感肌専用のスキンケア商品を利用し、肌をこすらない、熱い水での洗顔を避けることも心がけてください。
更新日:投稿日:2024.03.02