『花粉を水に変えるマスク』のテレビCMを見て、いろいろ驚きました。

最初は、『花粉を水に変える』というキャッチコピーと、CMが与えるイメージ通り、「花粉症に効果があるすごいマスクが出てきたんだ!」と感じました。

私自身、スギやヒノキなどの花粉にアレルギー症状があり、一定量以上が肌に付着するとかゆみ、赤みが生じます。また、体内に入ると発熱したような症状を引き起こし、頭が重くなり体がだるくなります。ひどいときは、座り込んで動けなくなります。

ですから、私はこのCMに大きな関心を持ちました。

ただ、今までの経験上、こういった画期的な技術を鵜呑みにすることの危険性は熟知しています。化粧品業界でもよくあることで、”画期的な効果効能”を宣伝する化粧品って、よくよく調べてみると、ウソやごまかしが多いです。

また、効果効能が本当だった場合、それと同等か、それ以上のデメリットが内包されている場合があります。(詳しく話すと長くなるので、ここはまたの機会にします)

ですから早速、私が思ったとおりに「花粉症に効果があるすごいマスク」なのか確認すべく、『花粉を水に変えるマスク』の公式サイトに行ってみました。

『花粉を水に変えるマスク』は、敏感肌でも使える?

  • 花粉・ハウスダスト等のタンパク質を分解
  • 汗、ニオイ・不衛生タンパク質を分解するので数日間使用可能
  • 分解作用は水分子レベルでの変化なのでマスクが濡れたり、湿ったりすることはありません

引用元:花粉を水に変えるマスク DR.C医薬株式会社

そこには、花粉を水に変える仕組みが、「花粉などのタンパク質を分解する」こと、「その効果は数日間続く」と書かれていました。

単純に、これが本当だったら、超がつくほど敏感肌の私は使えません。いや、多くの人が使えないのかもしれません。

なぜなら、私たちの肌はタンパク質でできています。だから、このマスクの効果である『タンパク質を分解する』という力は、私たちの肌も分解することになります。さすがに、花粉のように、肌を水にすることはないでしょうが、肌トラブルにつながる行為であることが想像できます。

肌に直接付着するマスクという商品の特性上、『肌に刺激を与える』のは致命的なデメリットではないでしょうか。

どうやらこの効果は、『ハイドロ銀チタン』によって生じるそうで、この濃度によって得られる効果の度合いが変わるらしいです。だから、このマスクには種類があり、通常は濃度の薄いマスクを使い、花粉ピークのときは濃度の濃いマスクを使うことになるそうです。

もちろん、濃度が高いほど肌に悪影響を及ぼす可能性も高まるのではないかと感じます。つまり、効果とデメリットが比例する商品です。

公式サイトを読み進めていくと、使用上の注意にこのようなことが書かれていました。

分解力による刺激で、頬・皮膚・口唇部のしびれや赤み・ヒリヒリ感を感じる場合があります。その際は使用を一時的に中止すると改善しますが、再利用により刺激が悪化する場合は、使用を中止してください。

やはり、敏感肌の私は使わないほうがいいようです。

ただ、マスクとしては致命的な効果ですが、”花粉”という物質をハイドロ銀チタンという触媒の力のみ(紫外線や熱などを使わず)で水に変えるというのは非常に画期的です。

そこで、興味本位でいろいろ調べてみました。すると、個人的には非常に残念なことが分かりました

商品として、残念な理由

公式サイトを見ても、『花粉が水に変わる』科学的根拠は掲載されていませんでした。FAQには以下のように説明があります。

医師の新しい発想で生まれたハイドロ銀チタン®️(Hyd[AgTiO2])は、タンパク質を分解する新素材です。
花粉・ハウスダスト・カビ等のタンパク質や、汗・ニオイ・不衛生タンパク質を分解して水に変える、DR.C
医薬独自のクリーン技術です。(公式サイトより)

企業秘密なのかもしれませんが、どうやら確実に効果が確立されているわけでないようです。

素材としての効果はあったとしても治験方法がコヨリに変わっていたり…マスクとして使った場合にどのようなメカニズムで『花粉が水に変わる』のかは定かではありません。これを見る限り、花粉対策と言えるほどの効果がないとわかります。まだまだ実験はこれから行うようです。

それなら、『花粉を水に変える』と大々的に宣伝するのは、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律のこと)に抵触します。しかし、『花粉を水に変える』は商品名であり、効果効能を謳っていないとのこと。非常に残念な説明です。

企業として、残念な理由

さらに残念なのは、「現時点では『花粉を水にする』と宣伝するのは行き過ぎであり、エセ科学だ」と指摘した医師に対して、40社のコラボ企業とともに集団訴訟を起こすという脅迫とも取れる行為などが行われているそうです。

商品の効果効能に対してはもちろんですが、この企業やそれに関わる人たちに大きな不快感と不信感をもちました。

化学的根拠が見せられない(まだ確定していない)中、大々的に広告宣伝を行う。
薬機法に抵触する部分は、「あくまでも商品名ですから」で逃げる。
自分たちに不利益な指摘に対しては、一個人を40社で訴訟する。
どれもが恐ろしい行為に感じます。

さらに、残念なことに、この素材をミズノ、はるやま商事、ワコール、福助など大手メーカーが採用するようです。

今年2月には「花粉を水に変えるマスク」を発売し、歌舞伎役者の市川海老蔵を起用したテレビCMで認知を高めた。今春時点でミズノ、はるやま商事、ワコール、福助、川辺、タオル美術館、ムーンバットなど採用企業は40社に拡大している。
引用元:「花粉を水に変える」新素材 導入企業相次ぐ/WWD JAPAN

こういった大企業は、この内情を知らないんですかね?どう考えてもイメージダウンにしかならないと思うんですが。

しかも、どこの企業も、肌に直接触れる商材を販売している企業ばかり。超がつくほど敏感肌の身としては、もっと素材特性を吟味して欲しいところです。

花粉症としてはとても残念ですが…

結論としては、今のところ、『花粉を水に変えるマスク』が花粉症に対して効果のある確証はない。
もし、効果があったとても、敏感肌には使えそうにない。
だから、私が使うことはないでしょう。
敏感肌の人にも今はオススメしません。

とはいえ、花粉症が苦しいのはとてもよくわかります。

私見ですが、素材で花粉をどうこうするよりも、物理的にシャットアウトするのが何よりも効果が高いと感じます。私が花粉症に効果があると思うのは、立体構造で口・鼻・頬を密封させるマスク(防塵機能付きマスクのようなもの)と、花粉症用の眼鏡の装着です。物理的に花粉を遮ると、アレルギー症状が出ません。

今回のマスク、花粉症でつらい時季が続くので、ものすごく期待していました。だからこそ残念です。
あ〜、誰か、本当に花粉対策に効果があって、敏感肌でも安全に使える商品を出してくれないかな…。
今後に期待します!