2005年8月25日、『化粧して外出するとシワやシミが増える?』という記事が朝日新聞に掲載されました。

当社にも、不安を感じた方々から、たくさんのお問い合わせがありました。

まず、記事の内容を説明します。

メチルパラベンは肌を老化させる?

新聞では、

「皮膚が吸収する濃度のメチルパラベンを添加した細胞に紫外線を当てると、通常より3倍もの脂質過酸化物が発生した」

ことが、

「京都府立医科大生体安全医学講座(吉川敏一教授)の研究でわかった。(中略)吉川氏らは、9月にイタリアで開かれる国際抗酸化学会で、研究結果を発表する予定だ」

と報道されました。

脂質過酸化物とは、肌の皮脂が活性酸素と結び付いた(酸化した)もので、シミやシワ、ニキビの悪化等の肌トラブルの原因となります。

ということは、報道のとおり、メチルパラベンは肌にとって危険で、シミやシワを増やすのか?

ちょっと待ってください!この記事には、3つの疑問点があります。

メチルパラベンは悪!の記事にある3つの疑問点

疑問1
メチルパラベンは肌に吸収される?

1つ目は、皮膚の構造についてです。

記事には、「皮膚が吸収する濃度のメチルパラベンを添加し」とあります。

まず、メチルパラベンは、水溶性の成分です。人の皮膚表面には、皮脂と汗で出来た『皮脂膜』があり、その次に、バリア機能を果たす『角質層』があります。このふたつの働きによって、水溶性の成分は肌内部へ進むことができません。

つまり、肌の構造上、メチルパラベンを『皮膚が吸収する』ことはありえません。

疑問2
悪意のある不可解なメチルパラベンの実験方法

2つ目は、実験の方法についてです。

実験の記事中の実験はメチルパラベンを直接皮膚に塗布しています。メチルパラベンそのものを肌に塗布しています。

でも、常識的に考えて、私たちが日常生活の中で、純度100%のメチルパラベンをそのまま肌に塗ることはありません。

メチルパラベンは、化粧品に配合されている、何十種類とある成分のうちのひとつです。当社でも0.3%程度しかパラベンを配合していません。現実的に考えて、メチルパラベンを高濃度で配合している化粧品なんて、世の中にないでしょう。だから、仮にメチルパラベンを皮膚が吸収したとしても、実験と同じ結果になりません。

(実験が、どれくらいの濃度のメチルパラベンを使用したものなのか、どれくらいの量のものか、人間の皮膚で行われたのか、動物実験なのか、など新聞記事では詳しいことはあきらかになっていません。)

100歩譲って、仮に皮膚に吸収し、紫外線の影響を受け、「老化の元凶となる「脂質過酸化物」」が増えてしまった、と仮定します。

その場合でも、「脂質過酸化物」が増えないように、その働きを抑制する作用をもつ成分を配合すれば問題ありません。

ちなみに、私が作った化粧品には、下記の成分を配合しています。

  • 保湿クリーム・メイク落とし洗顔料では、トコフェロール
  • 古い角質除去・携帯用保湿スプレーでは、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル

このように、万が一、紫外線の影響をうけ 、「老化の元凶となる「脂質過酸化物」」が増えてしまったとしても、十分に対処ができる処方になっています。

疑問3
スゴそうだけど、実はたいしたことない学会の発表

3つ目は、学会での発表です。

記事にもあるように、この実験結果が発表されるのは『学会』です。「学会で発表される」と聞くと何だか、すごい事実が判明したと感じてしまいます。でも、実際は、ぜんぜんすごくありません。

『学会』とは、あくまでもそれぞれの意見を出し合う場であり、様々な意見がとびかいます。メチルパラベンが肌にとって危険だ、という、吉川教授が発表する内容とは、まったく逆の説が発表されることもありえます。つまり、ただ言いたいことを言うだけの場だということです。だから、中には信じられないぐらいレベルの低い発表もあります。

また、新聞記事は「こういった内容の発表がされる」という事実だけの報道です。 記事でもありますように、「化粧して外出するとシワやシミが増える?」と、『?』がついた内容であるのが現状です。

こういった3つの疑問を考慮すると、「メチルパラベンでシミができる」というのは、あまりに信ぴょう性の無い不確かな情報であることが分かります。

つまり、「実験結果が学会で発表される」ことや「新聞で報道された」ことと、「実験結果が正しい」こととは、なんの関係もないのです。

では、なぜ、こんなことが新聞に掲載されるのか?
なぜ、わざわざ学会で発表されるのか?
不思議だと思いませんか?

ここからは私見ですが、その秘密に迫りたいと思います。

なぜ、メチルパラベンについて、このような記事が報道されたのか?

もっとも気になる部分が、「皮膚が吸収する濃度のメチルパラベン」というくだりです。

これが、通常の化粧品に配合されるメチルパラベンの濃度であれば、何も問題はありません。通常なら、メチルパラベンを数%配合した水溶液で実験をするはずです。一般の人に役立つ実験なら、一般の人が日常的に使う量で行わなければ意味がありません。

でも、 文中の表現から察するに、通常の化粧品では考えられないほどの高濃度で実験をした可能性が感じられます。

もし、そうだとすれば、実験そのものの成果よりも、メチルパラベンをおとしめることによって発生する何らかの利害が絡んでいると想像できます。

実際、この報道のあとで、「メチルパラベン無配合」を大きく宣伝した化粧品が売れ始めました。

悲しいことですが、化粧品業界では、このようなことが今までにも何度もありました。つまり、わざと『悪者』を作って、その『悪者』が配合されていませんよ、といううたい文句で自社の化粧品を売るメーカーが存在するのです。

残念ですが、このような行為は、化粧品業界のモラルの低さを象徴しているとも言えます。

過去にも、通常では考えられない状況下で実験をして、その結果、環境ホルモン、発がん性などが叫ばれてきました。そして、そのあとに、その悪者に仕立てた成分を配合していない化粧品が大々的に宣伝されて売られるのです。

さらに、悲惨なのは、こういった誤った情報をうかつにも信じて、同じことをする化粧品メーカーが増えていくことです。

どんなに肌にいいもの、体にいいものでも、過剰な摂取を行えば、何らかのトラブルが必ず起きます。こんなことは化粧品だけに限らず、食品にも言える当たり前のことです。

でも、そんな当たり前のことはどんどん忘れられていきます。偽の情報や流行に流されて、「本当に肌にいいもの」よりも「売りやすいもの」が増えているのが現状です。

ですから、私は、単なる学会の発表を鵜呑みにせず、しっかりと実験内容、真意を見極めてから判断をして化粧品づくりを行っていきます。

また、少しでも正しい情報を多くの方に知っていただくために、このようなホームページを利用して、情報を発信しています。少しでも、皆さんに正しい情報を公表して、業界自体のモラルを向上させたいのです。

皆さんの知識が増えれば増えるほど、ウソをつくモラルの低い化粧品メーカーは無くなると考えています。あなたも、どうぞ知識を増やして、自分の肌を守ってください。

私が化粧品やスキンケアに関する情報をまとめた「敏感肌の人が知るべき7つのポイント」を公開しています。こちらも、ぜひあなたのスキンケアに役立ててください。