いくつかある『刺激の少ない化粧品』のひとつが、防腐剤である『パラベン』が配合されていない『パラベンフリー化粧品』です。
パラベンフリー化粧品の説明文には、「パラベンは肌に刺激を与える」と記されています。

このことから「パラベンフリー化粧品は、安全だ」と信じている人がいますが、それは大きな間違いです。

むしろ、乾燥肌にとってパラベンフリー化粧品は危険です。
もし、あなたがスキンケアを行っているにもかかわらず乾燥肌が改善しないのは、パラベンフリー化粧品を使っていることが原因かもしれません。

    本記事の内容

  • パラベンフリー化粧品の意味がわかる
  • パラベンの安全性の有無がわかる
  • パラベンフリー化粧品のメリット・デメリットをご紹介

私は今から約20年前、1997年に美容業界に入りました。
基礎化粧品や、シャンプーなどトイレタリ―商品の製造・開発研究、OEMという化粧品ブランドの企画・開発・委受託製造から、企業に向けた営業販売、美容室向け商品のセミナー講師など、美容にまつわるあらゆる仕事を経験をしてきました。

そして、2001年にはこれまでの美容に関する経験を活かして、自社ブランドの化粧品を開発して、今まで10万人を超える乾燥肌の方に使っていただきました。
現在も愛用者の方たちと協力して、乾燥肌に対する知識と経験を積み重ねています。
今回は、これまでの化粧品、スキンケアの経験をもとに説明をさせていただきます

「パラベンは危険」と無実の罪を着せられるに至った黒歴史

パラベンが悪者にされる黒歴史は、今から40年ほど前、1980年に生まれた『表示指定成分制度』から始まります。

表示指定成分とは、厚生省(現・厚生労働省)が、「使う人の体質によって、ごくまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分だから、容器やパッケージ等に表示しなくてはならない。」と決めたものでした。

当時は化粧品を作る技術が乏しく、化粧品原料にはよくわからない不純物が含まれていました。
また、化粧品の安全性に関する研究も今ほど進んでおらず、そのため、当時の厚生省は、消費者に注意喚起を促すために113種類の化粧品成分を表記するように定めたのです。

このような表示義務を課せられると、何か悪い化粧品成分のように感じますが、実際は指定成分の化粧品原料とは言え、それほど刺激があるわけではありませんでした。
あくまでも「ごくまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分」です。
だから、ほとんどの人には無関係な制度でした。

それに、そもそも、大多数の人の肌に刺激を与えるなら、厚生省は禁止成分に指定していたはずです。

一般の人々に知られるパラベン像

でも、表示指定成分制度に目を付けた一部の化粧品メーカーがいました。

このような化粧品メーカーは、指定成分に定められたパラベンを含む113種類の化粧品成分をまるで高い毒物がある成分のように批判しました。
そして、「指定成分が配合されていない化粧品こそ安心して使えるのだ」という事実を誇張した知識を、広告を使って人々に植え込んでいきました。
ここからが、パラベンの悲惨な黒歴史の始まりです。

この広告効果は絶大です。
当時は、インターネットなんてありません。
一般の人には事実が誇張されていることを知るすべがないのです。
だから、指定成分が配合されていない当時の『無添加化粧品』は、爆発的に売れました。

この時に、他の化粧品メーカーが、「指定成分とは言え、それほど危険ではない。
指定成分を配合していない無添加化粧品だからといって、安全とは限らない」と、毅然として真実を語ればよかったのですが、そうはなりませんでした。
多くの化粧品メーカーが、誇張した宣伝法のマネをし始めました。

これにより、世の中には、「指定成分を配合しない無添加化粧品」が、無数にあふれかえりました。
最近でいうと、ノンシリコンシャンプーが流行ったのと同じ構造ですね。
そんな中、指定成分の中でもパラベンが悪者の筆頭に仕立てられました。
その理由は、以下の2点です。

  • パラベンは、防腐剤というカテゴリーで、合成物のイメージが強く、悪い印象を与えやすかった
  • パラベンは優れた防腐効果を持っていたため多くの化粧品に配合されていた。
    だから、パラベンを叩くだけで、多くの化粧品に悪いイメージを植え付けることができた

 
こうして、パラベンは、刺激のある防腐剤としての烙印を押されてしまいました。

表示指定成分制度が定められてから時間が経過するにつれ、「指定成分は悪者、無添加化粧品は正義」という構図が定着していきました。

悪者の筆頭であるパラベンは、「表示指定成分制度のことは知らないけど、パラベンが危険なことは知っている」と、多くの人に嫌われる存在になりました。

業界に知られるパラベン像

このように、一般の人に向けてはパラベンは悪者として扱われていたのですが、研究の現場では真逆のことが起きていました。

表示指定成分制度から時間が経過すればするほど、指定成分の安全性が高まってきたのです。

パラベンを取り扱っている会社からすれば、パラベンが悪者にされるのは死活問題です。
「何としても悪評を取り除きたい」と考えるのは当然と言えます。
だから、自社の技術を磨き、パラベンが刺激を与える根拠を徹底的に取り除いていきました。

その結果、私が化粧品業界に入ったころには、パラベンは化粧品原料の中でもトップクラスの安全を誇る成分になっていました。

私は、化粧品業界の裏と表がかけ離れている状況がまざまざと見せつけられる1997年に、化粧品業界に入りました。
その当時、化粧品の研究所で研修を受けており、その際に、研究者に確認と取りましたが、全員が口をそろえて「パラベンは安全な化粧品成分です」と教えてくれました。

当時、巷で言われているような「パラベンは危険だ」なんてことをいう研究者は一人もいませんでした。
それどころか、「化粧品にパラベン入れないと腐るから危険でしょ。いくら売れるからといってパラベンを配合しない意味がわからない」とまでいう研究者もいました。

そもそもパラベンに刺激があるのは、パラベンという成分の問題ではなく、技術力や精製度の問題だったので、そこが改善されれば刺激が無くなるのは当然だったのです。
これは、他の指定成分にも同じことが言えました。

つまり、もはや『表示指定成分制度』は形骸化して、何の価値も見いだせないものになっていました。
むしろ、化粧品を売るための宣伝材料に成り下がっていました。
当時の私は、「化粧品業界とは、事実よりも売ることを重視する会社が多いんだな~。こんな業界に入って大丈夫かな~」と、漠然とした不安を感じたものでした。

『表示指定成分』制度から、『全成分表示』制度へと移行

それから4年ほど経った2001年4月、化粧品の『表示指定成分』制度が廃止されて、『全成分表示』が義務づけられました

それまでは『指定成分』だけを表示すればよかった制度が廃止されて、化粧品に配合する全成分を表示する義務が課せられたのです。
指定成分表示制度が廃止されたことで、指定成分が悪者ではないということが、実証されました。

私は、「これでやっとパラベンの黒歴史も終わる。化粧品成分の正しい情報が発信されるんだ」と期待しました。
でも、それは淡い期待でした。
パラベンの黒歴史はまだまだ続きます

続くパラベンの黒歴史

指定指定成分制度が廃止されたことで、指定成分を悪者にしていた化粧品メーカーは無くなるかと思ったのですが、そうはなりませんでした。
彼らは、暴挙に出たのです。

表示指定成分制度が廃止されたにもかかわらず、そのことには触れず、『無添加化粧品』という名称のまま売り続けたのです。

このとき、インターネットが存在していたものの、個人で使う人はごく一部です。
だから、一般の人は、指定成分表示制度が廃止されたことなんて知りません。
知らない人が多いことを利用して、引き続き無添加化粧品を売り続けました。

ただ、インターネットが普及するにつれて、真実を知る人が増えることで、指定成分を配合しない無添加化粧品はどんどん衰退していきました。
今でも、「旧指定成分無添加化粧品」と宣伝して細々とやっているところはあるかもしれませんが、ほとんど絶滅したといってもいいでしょう。

このように、1980年から続いた「パラベンを含む表示指定成分を配合していない無添加化粧品化粧品」の時代は終わりました

でも、また新たな化粧品メーカーが生まれてきます。

パラベンを悪者の筆頭とした指定成分を配合しない無添加化粧品を販売していた化粧品メーカーはあることに気づきました。
表示指定成分制度は無くなったものの、パラベンの悪いイメージは消えていない。
パラベンを嫌っている人はたくさん存在する、と。

そこで、彼らは、それまでの指定成分から、パラベン単体を徹底的にたたく路線に舵を切ります。
そして、『無添加化粧品』に続く、新たなキーワードである『パラベンフリー』を生み出します

新たなパラベンの黒歴史がスタートします。

パラベンフリー化粧品の台頭

「指定成分表示が廃止される」と聞いたとき、無添加化粧品メーカーはさぞかし焦ったことでしょう。
それまで悪者扱いしていた指定成分が、無くなってしまうのです。
これでは指定成分が無添加だと宣伝することはできません。(一部の悪徳化粧品メーカーは引き続き宣伝していましたが。)

そこで、新たな生き残り戦略として、引き続きパラベンを悪者にしようと思いつきます。
これは私の想像ですが、ある実験結果を見て思いついたのではないかと推察します。

その実験とは、京都府立医科大生体安全医学講座(吉川敏一教授)の研究です。
この研究内容は、2005年8月25日に朝日新聞に掲載されたものでで、内容を簡単にいうと、「ファンデーションなど化粧品の防腐剤として広く使われているメチルパラベンには、 紫外線があたると皮膚細胞の老化を進める作用がある」とのこと。

これに目を付けた無添加化粧品メーカーは、「これだ!」と小躍りして喜んだことでしょう。
有名で、権威のある大学教授の研究によって、パラベンの毒性が立証されたというのです。
そして、それが権威ある朝日新聞に掲載されている。
表示指定成分にも勝るとも劣らないパラベンを叩ける根拠です。

そして、さらに巧妙なのは、これを機に、パラベンを単独で叩くために『パラベンフリー』という言葉を生み出したことです。

パラベンフリーという言葉が生まれた背景

インターネットで「パラベンフリー」という言葉がはじめて検索されたのは、2005年8月からです。
現在とは違い、新聞の発行部数も多く、「新聞に書かれていることは全て本当だ」と信じている人が多かったので、その影響力はすさまじかったと思います。

「パラベンフリー」という言葉を思いつき、はじめてパラベンフリー化粧品を売り出した化粧品メーカーがどこかは分かりませんが、当時は、かなり儲かったと思います。

やっていることはどうかと思いますが、非常に頭がいいなと思います。
なんせ、無添加化粧品の勢力が衰えた隙間に、ぴったりはまりましたからね。
まさに、入れ食い状態だったでしょう。

これに味を占めたパラベンフリー化粧品メーカーは、とにかくパラベンを叩く記事を探して、大々的に公表します。

有名なところでいうと、1984年に発表された「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」です。この中には、下記のような一説があります。

Methylparaben and Ethylparaben at 100 percent concentration were slightly irritating when instilled into the eyes of rabbits.

引用元:Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben

「100%濃度のメチルパラベンおよびエチルパラベンは、ウサギの眼に滴下したとき、わずかに刺激性であった」とあります。

この内容は、指定成分であるパラベンを叩く時にも使われていました。
実験の内容を誇張して、「パラベンをウサギを使って実感したら刺激性が立証された」といった具合に宣伝します。

そして、この宣伝を目にした人は、「パラベンは危険で、パラベンフリーは安全だ」と刷り込まれていきます。

本当は、原文を探して読み込めば間違いだとわかるのですが、探すにはちょっとした検索スキルがいりますし、原文は英語なので、確認しない人が多いでしょう。
今は、翻訳も簡単にできるんですけどね。

このように、リアルタイム、過去の記事などを引っ張り出して、パラベンの毒性を誇張して宣伝に使っています。
宣伝すればするほど、パラベンは悪者に貶められ、パラベンフリー化粧品は安全なイメージを確保していきます。

インターネットの弱点!「パラベンフリー化粧品は安全」と誤報が広まる

なぜ、パラベンの正しい情報は広まらないのか?

これはパラベンが、私たち消費者が触接消費する商品じゃないからだと言えます。
あなたも化粧品売り場にパラベンが売られているのを見たことはないでしょう。
もちろん、パラベン単体を購入した経験もないはずです。
このような場合、パラベンの真実をいくら伝えたところで利益に結び付かないから、どこもやらないのです。

想像してみてください。
例えば、誰かがお金や労力をかけて、パラベンが安全だと宣伝します。
多くの人がパラベンが安全だと知ったとします。
あなたもパラベンの安全性に確信を持ったとします。
では、あなたは、『パラベンの安全性を広めたその誰かさんの化粧品』を買いますか?
たぶん、買うことはないでしょう。

これが『乾燥肌に有効な美容成分』とかなら、きっとその化粧品を購入するでしょう。
なぜなら、化粧品を使う目的は、乾燥肌をはじめとする肌トラブルの改善です。
だから、効果的な美容成分が配合された化粧品には、大きな魅力があります。

でも、パラベンは単なる防腐剤です。
いくら防腐剤が化粧品を作る際に大切な成分であっても、大した魅力はないでしょう。

販売する側からしても、パラベンは多くの化粧品に配合されています。
防腐剤の安全性を立証したとしても、自社の化粧品の優位性にはつながりません。

だから、パラベンのような美容に直結しない化粧品成分の良さは、表に出にくいのです。

なぜ、パラベンが悪者になる情報は広がるのか?

一方、危険性は違います。
危険なものが配合されている化粧品を好む人はいません。
すべての人が使いたくないはずです。

特に、パラベンのように多くの化粧品に配合されている成分を「危険」だと宣伝すれば、ライバルメーカーの力を大きく落とすことができます。
そして、パラベンを配合していないパラベンフリー化粧品の優位性を高めることができます。

だから、パラベンの有毒性などデメリットを主張する情報は表に出やすく、大勢の目に留まります

また、情報というのはいいい内容より、悪い内容の方が隠されやすい特性があります。
特に、インターネットでは、この傾向が強いのです。

パラベンにかかわらず、インターネットで何かを調べるときには、調べる対象の特性を考慮する必要があるのです。
そうすることで、インターネット上にある情報の真意を見分ける力が身に付きます。

知らないと恥ずかしいパラベンが安全だという真実

現在でも、「パラベンは毒性がある」と信じている人がいますが、それは大きな間違いです。

しっかりと情報を精査すれば、簡単にわかる事実です。
もし、「パラベンは危険」という化粧品関係者がいたら、それは非常に恥ずかしい行為であり、自分の無知をさらしているのと同義です。

さきほど、パラベンフリー化粧品の安全性の根拠として、2つの研究結果を挙げました。
これらをしっかり読み込んで調べると、まったく真逆な内容であることが分かります。

現実とはかけ離れた実験方法

まず、朝日新聞に掲載された京都府立医科大生体安全医学講座(吉川敏一教授)の防腐剤が肌の老化を進める作用があるとされる研究記事。

実験の詳細を見てみると、今回の実験はシャーレ内の培養細胞での実験であり、メチルパラベンの溶液に24時間浸漬して細胞内部にメチルパラベンを取り込ませた後、細胞に直接、UV-B波(波長275-375nm)を照射しています。

このことから以下の通り、パラベンの毒性根拠にはなりません。

  • 今回の実験はシャーレ内の培養細胞での実験であり、化粧品に配合されたパラベンの使用状況とはかけ離れた環境で行っており、パラベンの毒性を証明する根拠にはならない。
  • 実験では直接細胞内部にメチルパラベンを取り込ませているが、実際の肌には皮膚の表面部分に角質層の保護膜があり、化粧品はこの角質層の上にとどまるため、細胞がパラベンに浸されるような状況にはならない。
  • 肌の上にとどまった化粧品に微量含まれるメチルパラベンは速やかに代謝されて、肌に悪影響を及ぼさない。
  • 実験では、細胞に直接UV-B波を照射しているが、肌の表皮(顆粒層)は紫外線を散乱し、 メラニンの生成によって内部の細胞を保護するため、直接UV-B波が肌に照射されることはない。

これらのことから、パラベンが含まれる化粧品の使用状況とはまったく無関係な実験内容であり、パラベンの毒性根拠になりえません。

さらに、現実とはかけ離れた実験方法

次に、1984年に発表されたCosmetic Ingredient Reviewの「Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben, Ethylparaben, Propylparaben, and Butylparaben」です。

この内容は、驚くべきものです。
英文を翻訳し、要約するとこのような内容です。

  • 慢性投与研究から得られたデータは、パラベンが迅速に吸収され、代謝され、排泄されることを示している。
  • 動物における急性慢性および亜慢性毒性試験は、パラベンがさまざまな投与経路によって実質的に無毒であることを示しています。
  • 100%濃度のメチルパラベンおよびエチルパラベンは、ウサギの眼に滴下したとき、わずかに刺激性であった。
  • 多数のインビトロ突然変異誘発研究は、パラベンが突然変異誘発性でないことを示している。
  • メチルパラベンは、げっ歯類に注射した場合、またはラットに膣内投与した場合、非発ガン性であった。
  • プロピルパラベン及びメチルパラベンのガン発生研究は陰性であった。
  • メチルパラベン及びエチルパラベンに関する催奇形性試験もまた陰性であった。
  • パラベンは、正常な皮膚を有するヒト集団において、事実上非刺激性である。
  • メチルパラベン及びプロピルパラベン、ブチルパラベンの生成物形​​成に対する光接触感作および光毒性試験は、有意な光反応性の証拠を与えなかった。
  • メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、およびブチルパラベンは、現在の使用実践において化粧品成分として安全であると結論づけられている。
  • ブチルパラベンは有意な光反応性の証拠を与えなかった。

引用元:Final Report on the Safety Assessment of Methylparaben,Ethylparaben,Propylparaben,and utylparaben

この中でパラベンの毒性を示していそうな結果は、ウサギの眼に滴下した結果ですが、この時使用されているのは驚きの『100%濃度のパラベン』です。
100%濃度のパラベンなんて、一生使う機会はありません

そもそも化粧品には、厚生労働省がパラベンの配合濃度上限を『1%』と定めています。
だから、仮にパラベンを使うと肌がキレイになる場合でも、MAX1%配合された化粧品しか使えません。

化粧品に配合できるパラベンの上限値100倍で行う実験なんて何の意味もないですよね。
しかも、パラベン100%濃度を塗布したにもかかわらず、わずかな刺激しかないということから、むしろパラベンの高い安全性が立証されています。

それに、100%濃度で塗布したら、パラベン以上に刺激がある美容成分は山のようにあります。
実際に、私は使用に耐えうるギリギリの高濃度まで配合したヒアルロン酸原液をテストしましたが、ばっちり刺激を感じました。
しかも、高濃度といってもたった3%です。
とてもじゃないですが、100%濃度のヒアルロン酸なんて怖くて使えません。
まぁ、ヒアルロン酸の形状的に、絶対に使えませんが。

アトピー性皮膚炎のなど、肌が過敏な状態に保湿薬として処方されるワセリンであっても、100%高濃度のものを使うと肌への刺激があります。
高濃度は刺激があるのは、当たり前です。

ほかの項目を見ると、すべてのパラベンの安全性が立証されています。
肌に塗布しても飲んでも無害、体内に吸収されても代謝、排出される。発がん性もなく、紫外線に当たっても光反応を示さないため安全。
こんなに安全なパラベンが悪者として広まったなと、ある意味感心してしまいます。

インターネットが普及した恩恵と弊害

ただ、インターネットの普及によって、検索技術も向上してきました。
おかげで私が化粧品業界に入った時と比べると、パラベンの安全性も一般の人にずいぶん知られるようになったと感じます。
実際に、『パラベン』と検索される頻度も、少しずつ減ってきています。

こうした情報は、『Googleトレンド』を使えば手に入ります。
Googleトレンドとは、 Google社が提供するキーワードやトピックの検索回数のトレンドをチェックできる、便利なツールのことです。
どんなキーワードが、どれぐらい検索されているのか見るのに便利です。

Googleトレンドで『パラベン』を調べてみると、2006年2月がピークの『100』に対して、2018年11月はわずか『33』です。

ただ、少なくなったとはいえ、いまだに『パラベン』を検索している人がいること。
そして、『パラベンフリー』を調べる人が微増していることが懸念材料です。

『パラベンフリー』を調べてみると、2005年7月までは『0』だったのが、2008年1月には『26』に跳ね上がっています。

一人でも多くの人に、正しい化粧品の知識を知ってもらい、乾燥肌などの肌トラブルを改善してほしいので、もし、あなたの周りに「パラベンは危険だ」という人がいたら、そっとこの内容を教えてあげてください
きっと教えてもらった人は喜ぶと思いますよ。

それでもあなたはパラベンフリーが安全な化粧品だと思いますか?

かなり長い道のりでしたが、パラベンの安全性を正確に理解していただいたと思います。

そこで再度、質問します。

あなたは、パラベンを毒性のある危険な成分だと思いますか?
パラベンが配合されていないパラベンフリー化粧品や無添加化粧品が安全だと思いますか?

私は、思いません。
むしろ、安全なパラベンを危険だと宣伝して不安をあおるような販売方法に嫌悪感すら抱きます。
もっと化粧品の真実を明らかにして、その情報をもとに宣伝してほしいです。

そうすることで、乾燥肌などの肌トラブルに悩む人が本当に求める化粧品にたどり着けるのです。

だから、『パラベンフリー』のような売らんがための無価値な言葉を使った化粧品は、乾燥肌の役に立つことはないでしょう。
むしろ、しっかりとパラベンが配合されている化粧品のほうが、乾燥対策ができると思います。

ちなみに、化粧品を作るために使用する原料そのものに、防腐剤はすでに配合されています。
一部、スクワランなど配合されていないものもありますが、ほとんどの原料に配合されています。
つまり、ほとんどの化粧品には配合されているのです。

でも、ちらほら見かけますよね。
容器を見ても、防腐剤は書いてません。
一体、どうしてるんでしょうか?
これには、ちょっとした抜け道があります。

『パラベンフリー化粧品』と『防腐剤無添加化粧品』の戦い

爆発的に売れた『無添加化粧品』でしたが、売れすぎたために、無添加化粧品を発売する化粧品メーカーも爆発的に増えました
こうなると、旨味が薄れてしまいます。
そこで、今度は、それまでの『パラベンフリー化粧品』を否定する化粧品メーカーが生まれはじめます。

  • 指定成分であるパラベンには毒性がある。
  • パラベンは防腐剤だ。
  • だから、防腐剤にも毒性がある。

という宣伝をし始めました。

これは、三段論法と言って、AはB、BはC、だからAはCであるという論法です。

よく考えると、AはCの部分がおかしいのですが、さらっと読むと、正しく思えてしまいます。
こうして、「パラベンだけでなく、防腐剤すべてに毒性がある」と宣伝する、新しい無添加化粧品が生まれました。

これが『防腐剤無添加化粧品』を販売する新興勢力です。

防腐剤を配合しない『防腐剤無添加化粧品』が腐らないカラクリ

通常は、化粧品にパラベンをはじめとする『防腐剤』を配合しないと腐ります。
これは開封した瞬間に、空気中の菌が混入するためです。
食品でも同じ現象が起こりますので、イメージはしやすいですね。

ですから、『パラベンフリー化粧品』であっても、『防腐剤』は含まれていました
フェノキシエタノールという防腐剤が使われることが多いです。

でも、『防腐剤無添加化粧品』となるとすべての防腐剤を悪者にしているので、防腐剤は配合できません。

現在は、全成分表示義務が課せられているので、化粧品に配合する成分はすべて記載する必要があります。
だから、もし、防腐剤を配合するとバレてしまいます。
でも、防腐剤を配合しないと化粧品は腐る。
腐ると化粧品は販売できないー普通はこうなのですが、実際には、『防腐剤無添加化粧品』であっても、腐りません
そこには巧妙なカラクリが存在しています

防腐剤を使わず化粧品を作る方法1
こっそり配合する

防腐剤無添加化粧品と言いながら、こっそりと防腐剤を配合することができます。

防腐剤を配合するので、もちろん腐りません。
本当は、容器やパッケージにパラベンを表記する必要があるのですが、書かなければわからないということです。
もちろん、薬事法違反です。このような化粧品メーカーがどれぐらい存在するのかはわかりませんが、存在するのは確実です。

2010年に東京都健康安全研究センターが、無作為に選んだ化粧品に使用されているパラベンの濃度を調べた報告があります。

平成22年度に試験検査した医薬部外品を除く149製品の化粧品において、代表的な防腐剤であるパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)に着目し、6種類のパラベンの検出頻度や検出濃度等について調査した。
製品にパラベンの表示があったものは64件(43%)であり、このうち、メチルパラベン60件、プロピルパラベン26件、エチルパラベン15件、ブチルパラベン11件、イソブチルパラベン4件を検出し、イソプロピルパラベンは検出しなかった。
検出したそれぞれの最高濃度は、0.77、0.19、0.25、0.19、0.02g/100gであった。
一方、パラベンの表示がない3件からパラベンが検出され、最高値は0。091g/100gのエチルパラベンであった。

引用元:化粧品中の防腐剤であるパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)の濃度/東京都健康安全研究センター研究 2011年報 第62号

149製品の中でパラベンの表示があった化粧品は、64製品。
残りの85製品には、パラベンの表示がない、いわゆるパラベンフリー化粧品です。
それなのに、3製品から、パラベンの成分表記をしていないにもかかわらず、パラベンが検出されました

割合にすると、3.5%です。
どんな理由で、表示しなかったのかまではわからないのですが、これが事実です。

化粧品を作る難易度としては、パラベンフリー化粧品よりも防腐剤無添加化粧品のほうが難しいので、「これは防腐剤無添加化粧品ですよ」と言いながら、防腐剤が含まれている化粧品のほうが多いと推察します。

防腐剤を使わず化粧品を作る方法2
化粧品から医薬部外品に変更

医薬部外品には、全成分表示義務がありません。
だから、防腐剤を配合しても、表示する必要がありません。
例え、防腐剤を配合しているのにも関わらず、「防腐剤無添加化粧品です」と宣伝していても、一般の人にはバレません。

実際に、全成分表示義務が施行される時期に合わせて、化粧品から医薬部外品になった化粧品はたくさんありました。その中には、防腐剤無添加化粧品も含まれていました。

医薬部外品を作るためには、化粧品と違い申請準備、申請期間など一定の時間がかかります。
だから、ある程度、計画的に進める必要があります。
全成分表示義務の施行時期に合わせて、化粧品から医薬部外品に変更した化粧品メーカーは、よっぽど配合成分を一般の人に知られたくなかったのでしょう。

偶然ではなく、事実を隠すために意図的に変更した化粧品が多数あったと推察します。

防腐剤を使わず化粧品を作る方法3
菌が繁殖する要素をなくす

「化粧品を作る際に、防腐剤は必須」だとこれまで言ってきましたが、防腐剤を使わずに化粧品を作る方法がないわけではありません。

それは、『純粋なH2O』を化粧品として売ることです。
H2Oとはご存知のとおり、水です。
でも、ただの水じゃありません。
純粋な水です。

なんだかわかりにくいかもしれませんが、私たちが普段慣れ親しんでいる水には、マグネシウムやカリウムなど、ミネラルと呼ばれる水以外のものが含まれています。
これらが含まれているから腐るのです。水素と酸素だけしか含まれていない水は、腐りません。

だから、防腐剤もいらないのです。
有効成分が配合されていないので、もちろん何の効果もありません

過去には、某有名化粧品メーカーが普通の水にそれらしい名前をつけて、化粧水として5,000円ぐらいで実際に販売していました。

防腐剤を使わず化粧品を作る方法4
防腐剤無添加化粧品を、滅菌する

詳しく言うと、一度、普通に美容成分を配合した「防腐剤無添加化粧品』を作ってから、その後に強烈な紫外線や熱を当てて滅菌します。

防腐剤を配合していないため、少しの菌でも残ってしまうとすぐに腐敗します。
ですから、腐敗予防のために、通常の化粧品よりも長時間滅菌作業を行います
すると、化粧品の中に紛れ込んでいた菌の死ぬ確率は上がります
と同時に、美容成分も死んでいますが。

しかしこれで菌もいないので、腐りにくい化粧品が完成です。
もちろん使用時に空気中の菌が混入しますが、一度限りの使い切りタイプにしておけば問題ありません。
その結果、美容効果のない防腐剤無添加化粧品使いきりタイプが完成します。

当然ですよね、紫外線や熱は、美容成分にとって大敵ですから。

防腐剤を使わず化粧品を作る方法5
腐りにくい化粧品成分でつくる

化粧品成分には、腐りにくいものがあります。
水溶性の成分は比較的腐りやすいのですが、油溶性のものは腐りにくい傾向があります。
だから、油溶性成分を中心にして、化粧品を作ると防腐剤を入れなくてもいいかもしれません。

でも、あくまで腐りにくいだけであって万全ではありません。
少なからず肌に刺激を与える可能性はあります。

また、化粧品に配合できる成分が限定されるために偏った製品になり、美容効果も限定的になります。

防腐剤を使わず化粧品を作る方法6
防腐効果のある防腐剤無添加化粧品にする

化粧品成分には、防腐剤以外にも、防腐効果のある成分があります

例えば、BGやエタノールなどです。
これらは防腐剤ではありません。
でも防腐効果があります。
だから「防腐剤無添加です」と言いながら、これらの成分が入っていれば、「防腐剤ではないけど、防腐効果のあるものが入っているのだな」と理解できます。

ただし、注意する必要があります。
それは、防腐剤に比べて、防腐効果は劣るため大量に配合する必要があるということです。

そのため、それ以外の有効成分の配合量が減ってしまいます
結果的に、美容効果が期待できない化粧品となります。

防腐剤を使わずに化粧品を作る方法7
全成分表示の抜け道を利用する

2001年の4月から、化粧品に『全成分表示義務』が課せられました。全成分表示義務とは、「化粧品に配合した成分を、パッケージや容器の裏面に表示しましょうね」という制度です。
すべてを公開することで、化粧品に対する消費者の自己責任を強めることが目的です。

今から考えると信じられないのですが、『全成分表示義務』ができるまでは、化粧品に何が配合されているのかまったくわかりませんでした。
当時、唯一わかったのは、表示指定成分だけです。

表示指定成分とは、1985年に「使う人の体質によってごくまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分は、パッケージに表示しましょう」という決まり事のことです。
でも、あまりに古い時代に決めたものなので、まったく意味を成さないものになっていました。

表示しなくてもいい時代には…

当時、表示指定成分以外は何を入れても表示する義務が無いために、いろいろな不正がまかり通っていました。

例えば、『●●無添加』と言いながら、こっそりと●●を入れているメーカーもありました。(●●の部分には、アルコールや防腐剤、香料、着色料などが入ります)
でも、全成分表示制度ができれば、それも無くなると思っていました。

全成分表示が義務化され、化粧品に配合した成分は全部、正直に表示しなければならなくなりました。

これによって、本当に配合されたものを誰もが知ることができる、と安心していたのですが、全成分表示には信じられない抜け道があったのです。

全成分表示の抜け道による危険性

化粧品の原料には、『キャリーオーバー』とよばれる成分が含まれています。
これは、抽出される際に使われたり、原料を安定する目的で配合されます。
本来、これらも表示すべきだと思うのですが、「原料を安定する目的で配合されるキャリーオーバー成分は、表示しなくともいい」のです。

例えば、乾燥肌の人は、化粧品に使われている成分を把握する必要があります。
でも、安定目的で使用している場合は、表示しなくてもいいわけですから、その中身は一般の人にはわかりません。

質の悪い化粧品メーカーの中には、キャリーオーバー成分にアルコール(エタノール)が含まれているにもかかわらず、「アルコール無添加化粧品」といってるところもあります。
これを信じていると、私のようにアルコールが刺激になる乾燥肌の人が使い、知らず知らずのうちに肌トラブルを起こす可能性があります。

化粧品の中身を知るには?

でも、表に出てこないキャリーオーバー成分を調べるには、どんな方法があるのでしょうか?

まず、化粧品メーカーに聞いてみましょう。
でもわからない場合も多くあるでしょう。
そこのスタッフも把握していないこともよくあります。
下手をすると、その化粧品メーカーの誰も知らないかもしれません。

なぜなら、多くの化粧品メーカーはキャリーオーバー成分まで気にしていません。
また、キャリーオーバー成分を知ってたって何の得もありませんから、スタッフには教えていないこともあります
化粧品メーカー側からすれば、都合の悪いことを知ることになるかもしれないのです。

だから、原料会社に聞くのがベストです。
さすがに、原料そのものを扱っているので、キャリーオーバーについても知っています。
プロとして「知らない」とは言わないでしょう。
もし知らなければ、「調べて」と言えば調べてくれます。

あとは、成分分析をしてくれる機関に持ち込んで、調べてもらうかですね。
ただ、結構お金がかかってしまいます。

このように、一応、キャリーオーバー成分を調べる方法はあるものの、使う人が自分で調べるのは非常に困難です。

最後の手段は、自分で使ってみることです。
私は結構これで判断することが多いです。
私の場合は、仕事柄、経験として役立ちますが、一般の人はあまりやりたくない方法ですよね。

まとめ:パラベンフリー化粧品について

以上が化粧品業界の裏側と言える例の、ほんの一部です。
『防腐剤無添加化粧品』に関するものだけでも、こんなにもの手法があります。
化粧品業界にいる私がいうのもなんですが、本当に裏の多い業界です。

お話ししてきたように、パラベンは安全性が確立されている成分です。
化粧品に配合することで大きなメリットはあっても、デメリットはありません

少しでも化粧品を売ろうとして、わざわざパラベンを悪者にして、いろいろな方法を考えて、一般の人に間違った知識を植え付けているのです。
こんなことに頭と時間を使うなら、効果の高い化粧品にその労力を使えばいいと思うのですが、今のところ化粧品業界にその考えはありません。

だから、化粧品を使うあなたが化粧品業界の裏側を知って、化粧品メーカの説明や広告宣伝を鵜呑みにするのではなく、少し疑いながら、怪しいところを正しながら、化粧品を選んでください
そうすれば、あなたが本当に求めている化粧品に出会えるはずです。